晴れやかな鑑賞後感✨「セールスガールの考現学」
今回は先月みた映画のなかで一番面白かった「セールスガールの考現学」をご紹介します。
モンゴルのセンゲドルジ・ジャンチブドルジ監督・脚本による2021年の作品。
ジャンチブドルジ氏はモンゴル映画界を代表する監督で国内外において受賞歴多数、本作はニューヨーク・アジアン・フィルム・フェスティバルにてグランプリを受賞しています。
個人的に初モンゴル映画でした。
モンゴルといえば砂漠や平原のイメージかと思いきや、本作の舞台はモンゴルの都市ウランバートル。
「VIVANT」にも近代的な都市部はちょっとでてきましたが、住宅街、大学の校舎、車やバスが行き交う街並みなどが主な風景で、市井の人の暮らしぶりを感じることができます。
※一部、ちょこっと平原も登場しますが・・
そしてもうひとつ、主人公のバイト先・アダルトグッズショップも舞台として登場します。
モンゴルにもこういうお店ってあるの・・という要素も加わり、新鮮な映画体験でした。
《おもな登場人物》
●サロール(バヤルツェツェグ・バヤルジャルガル)
親の希望で原子力工学を専攻する女子大生。実は絵を描くのが好きでかなりの画力の持ち主。
ケガをした友人の代打でアダルトグッズショップのバイトをはじめる。
●カティア(エンフトール・オィドブジャムツ)
ショップのオーナー。高級住宅街にひとり暮らし、みるからに素人さんじゃないオーラ全開。
ぱっと見まだあどけないサロールを「子どもは雇えない」というものの、次第に意気投合。
●サロールの男友達
俳優志望らしい。同じ大学なのかそうでないのか、一緒にたばこをふかしたりと気心知れた感じ。
●サロールの家族
ごく普通の両親と年の離れた弟。
《女子大生サロールがわが「道」を見いだすまで》
主人公サロールは化粧っ気もなく、いつも物憂げ。
親が言うままに大学に通うせいか、どことなく生気がありません。
思いがけずアダルトグッズショップでバイトすることになり、そのオーナー・カティアと親しくなるなか、カティアの意味深なコトバ―オシャレや人生、ひいては性についての名言?―を受けて、無表情なサロールなりに自分の「道」を模索し始めます。
次第に変化していくサロールは、シーンを重ねるごとに可愛くキレイになっていく・・
自分の「道」を見いだせていない=「輝いていない状態」なのだと改めて知らしめるかのように、サロールはどんどん輝きだすのです。
彼女の変貌ぶりもみどころではないでしょうか。
《コメディ要素が随所に》
静かな映像のなかに、コメディ要素が多数詰め込まれているのも本作の魅力かと思います。
物語は、サロールの友人がバナナの皮で滑りケガをするところからはじまります。
この長回しワンカット、ATGの「家族ゲーム」みたいな雰囲気も感じられ、ベタですがシュールな笑いに誘われます。
私が好きだったのは、薬(精力剤?)を誤って飲み脱走した犬を、バスに乗ったサロールが発見する、というシーン。追いかけるでもなく、ただ見つめる様子が面白いです。
男友達と一線を越えようと試みたものの「事件」が起きて・・というくだりはただ笑いを誘うだけにとどまらず、彼女が現状を打開する契機となります。
《音楽もなかなか良い!》
モンゴルの人気シンガーソングライター「マグノリアン」によるテーマ曲がとてもエモいです。
作中、サロールの心情にシンクロするように演奏する彼が何回か登場します。
この登場の仕方も現実と非現実が錯綜しつつ、さりげないのに高揚感ありで・・
サロールの成長物語にピッタリだと感じました。
サロールが歩き出した「道」とは・・?
まだという方はぜひチェックしてみてください・・!
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投稿を表示こちら今年WOWOWで放送されていたのを観たのですが、思わぬ拾い物すぎて、とても好きな作品となりました☺
オープニングから心を奪われましたし🍌、サロールがカティアと出会って成長していく姿がとてもよかったですね!
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投稿を表示サロールとカティアの関係性も、二人で開放的なドライブにでかけるシーンでかかる音楽も好きです✨静かでシュールな笑いに同じくクスッとなりました(笑)
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