2025年に観た映画(57) 「女性の休日」

世界経済フォーラムがジェンダー・ギャップ指数を初めて発表した2006年以降、1位の座を独占し続けている国、アイスランド。
本作はこの国で1975年10月24日に起きたエポックメイキングな出来事を、それを企てた当事者たちへのインタビューと、その歴史的“事件”に賛同しその場に居合わせたアイスランドの女性たちの声を集めたドキュメンタリー作品。
「ドマーニ!愛のことづて」でも描かれていた「女は黙って家事手伝い」の社会常識は、長年万国共通の問題だったようです。いや、当時の男社会においては問題としてすら認識されていなかったと言うべきか。
アメリカ人のパメラ・ホーガン監督は米国を「ジェンダーギャップ指数では世界42位(2025年)という惨憺たる順位」と嘆いていらっしゃいますが、日本はというと148か国中118位という順位に沈んでいる。
日本で男女雇用機会均等法が施行されたのは1986年4月。その翌年に某IT企業に入社し社会人となった私の同期は男性ばかりで、女性社員はというと制服が用意され、お茶汲みも当たり前の一般職採用が大半でした。唯一ひとりだけいたSE職の女性の先輩社員はとても仕事が出来る人だったけれど、昇進面で差別されていたのは明らかだった。女性が総合職採用され始めたのは1990年代に入ってから。遅々とした足取りで今日に至っています。
そんなジェンダー“後進国”の一員である私(♂)にとっても、50年前にこの国の女性たちが一致団結して起こした企ては痛快そのもの。銃を手に血を流さずにはいられない男どもの闘争とは異なり、いつの世も女性が主導する“反乱”は実に平和的でもあります。国を変えた自分たちの行動を、ユーモアを交えながら誇らしげに振り返る女性たちに、拍手を送りたくなりました。
この歴史的快挙が近隣諸国に与えた影響は小さくなかったと思いますが、はたして同じ事が日本で実現可能でしょうか?当時の人口が21万8千人のアイスランド(現在は39万人)は、いわば「中核市」に指定されている宇都宮市や高崎市、八王子市や横須賀市といった規模に相当します。これに対して日本の人口は当時も今も1億人超え。
SNSなどなかった時代に知恵と工夫を凝らした当時のアイスランドの女性たちを見習って、どこかの市区町村がこんな反旗を翻してはくれないものか・・・そんな期待を抱かせる1本でした。
№57
日付:2025/12/13
タイトル:女性の休日 | THE DAY ICELAND STOOD STILL
監督:Pamela Hogan
劇場名:あつぎのえいがかん kiki スクリーン1
パンフレット:あり(¥1,300)
評価:6

(c)2024 Other Noises and Krumma Films.

(c)2024 Other Noises and Krumma Films.




- "THE DAY ICELAND STOOD STILL" & "WOMEN'S DAY OFF"
ー イントロダクション
ー 監督のことば
ー ストーリー
ー プロダクション・ノート Q&A パメラ・ホーガン × フラプンヒルドゥル・グンナルスドッテイル(プロデューサー)
ー スタッフ
ー キャスト
- ABOUT "WOMEN'S DAY OFF" 「女性の休日」とは
ー コラム 称賛ではなく、連帯を ― 「女性の休日」は何を問うているか 塩田潤(日本学術振興会特別研究員 PD・龍谷大学)
ー HISTORY アイスランドの歴史とジェンダー平等の歩み
ー AT THE TIME 当時の活動、資料
ー SONG Afram stelpur 『進め 女性たち』
ー コラム 条件なき平等のために ― 2016年の「女性の休日」のときのこと 朱位昌併(アイスランド語翻訳家)
ー BOOK 『本当にやる!できる!必ずやる!:アイスランドの「女性の休日」』
- DEMOCRACY & SOCIAL MOVEMENT
ー コラム 「友・敵」から「友・友」へ ― アナキズムの方法 ブレイディみかこ(ライター・コラムニスト)
ー 次世代アクティビスト座談会
- SISTERHOOD
ー コラム 浜田敬子(ジャーナリスト)
ー 「女性の休日」プロジェクト ~kinologue配給日記
ー コラム 山内マリコ(作家)
ー SISTERHOOD SYMBOL PATTERN 西村知子(編み物講師・通翻訳者・ニットデザイナー)
