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カッツ
2025/12/09 13:53

砂の器

『砂の器』は松本清張原作、野村芳太郎監督による作品で、丹波哲郎、森田健作、加藤剛、島田陽子らが出演する、日本映画を代表する感動作である。原作は未読だが、映画の方が優れていると評され、松本清張自身もこの映画を称賛している。
物語は、東京・蒲田で発生した殺人事件を追う二人の刑事の姿を軸に展開する。手がかりの乏しい中、日本各地を奔走する捜査の過程で、若い刑事がある新聞投稿に注目し、そこから事件の糸口をつかむ。戦争の混乱の中で人が入れ替わったり、ハンセン氏病が社会から受け入れられず、父と幼い息子が過酷な運命に翻弄され放浪の旅に出たり、やがて息子が大作曲家として大成していたりと、物語は壮大である。社会の偏見と制度の壁に阻まれながらも懸命に生きようとした親子の姿が、事件の背景に静かに浮かび上がってくる。
また、劇中で作曲されたことになっているテーマ音楽も印象的で心に残る。『砂の器』は、日本映画史に残る名作であり、何度でも観返したくなる作品だと思う。

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