【ニューノーマル】チョン・ボムシク監督インタビュー / 「背中合わせになっている"日常の恐怖"を描いてみたい 」
Summary
韓国ホラー歴代興収 2 位『コンジアム』の監督であり、〈K ホラーの巨匠〉と呼ばれるチョン・ボムシクが最新作 『ニューノーマル』でも観客を魅了し続けている。本作は、奇妙なサスペンスを中心とする一方、物語に組み込まれている各登場人物の感情は、現実に基づく人々の孤独と恐怖を反映し、予測不可能な体験型スリラーとなっ ている。第 26 回富川国際ファンタスティック映画祭のクロージング作品に選ばれ、わずか 10 秒で完売し話題を呼んだ。さらに、ファンタジア国際映画祭では、「独創的でカリスマ的なエネルギーで観客を魅了する新ジャンル映画」として評価され、前例のないジャンル映画としての『ニューノーマル』の魅力を際立たせた。そんなチョン・ボムシク監督に本作を撮るに至ったキッカケや、次回作品について聞いた(取材:はじめ・ミロシネマ / 文:はじめ)
はじめ:キャスティングが難しかった役は誰でしたか?
チョン:チョン・ドンウォンの役の俳優を選ぶことが難しかったですね。このキャラクターに似合う人という視点だけでなく、意外性も必要だったので「え、この人が!」と思ってもらえるような俳優を探していました。特に韓国にはたくさん子役がいるので。一般的には子役の演技は習慣的というか、リアルさに欠けるような演技が多いので、私が望んでいる茶目っ気がある子供がなかなかいませんでした。さらに、他人に会った時に”見知らぬ人に会った”という気持ちをうまくふわっとして表現できる俳優さんを探すことが、一番大変でした。なので、一番子役のキャスティングに苦労しました。
ミロシネマ:本作品を撮るきっかけについて、監督ご自身の体験談がありましたか?
チョン:パンデミックや新型コロナウイルス、その他にも本当に恐ろしい事件がたくさん起きています。ある意味、映画よりも映画的と言いましょうか。現実では映画以上にショッキングな事件も本当にたくさん起きていることに気が付きました。私が以前手掛けた『コンジアム』という作品の中には幽霊が出たり、超常現象的な恐怖が出てくるため、今回の『ニューノーマル』では真の恐怖を描いていると言えます。『コンジアム』と『ニューノーマル』のように”背中合わせになっている日常の恐怖”を描いてみたいという、そんな思いがきっかけになりました。
はじめ:ありがとうございます。強く印象に残ったシーンが”若者の孤独”にフォーカスしたシーンでした。一般的には”お年寄りの孤独”が描かれるかと思いますが、”若者の孤独”にフォーカスした経緯があれば教えてください。
チョン:今回、この物語を書いたときは過去ではなく、実際に起きた事件や事故などの様々な資料を集めて、物語を作り上げました。資料だけではなくて、「生命・孤独死」についてのドキュメンタリー映画も見ました。やはり私も孤独というと、お年寄りの方に限られると思っていたのですが、韓国では青年孤独死も年々増えていて、今社会問題になっています。世の中が生きにくく、就職ができないとなるとお金がなくなるという負のループです。家の中に閉じこもってしまって、外出することがなくなり、うつ病になってしまって、やがては死に至る。この現実問題がありながら、知らない人が多いと感じました。さらに調査を進めていくと、イギリスや日本には孤独死を防止する部署もあると聞きました。ですから世界的に深刻な問題として捉えられているこのテーマに対して、様々な国は試みようとしていながら、韓国ではまだ対策が施されていない状況でした。したがって、映画の中でこのテーマを取り上げて、"孤独"というものを表現しようと思いました。
はじめ:ニュースだけではなくて、映画という媒体を使って社会的な問題を世界に広められるということは、新しい表現方法だなと思いました。ありがとうございます。
チョン:そのように好意的に見てくださって、本当にありがとうございます。今回、この作品には社会的な事件や事故を取り入れていて、私が重要視していたことが一つありました。それは映画を作る以上はジャンルとしての"エンターテイメント性を忘れちゃいけない"ということです。ただ単に事件や事故を羅列しているだけでは、ニュースやドキュメンタリーと変わらないということになるため、映画として楽しめる部分もたくさん取り入れて、伝えようとするのが一つの私の原則でした。
ミロシネマ:次回撮ってみたいジャンルや作品などあれば教えてください。
チョン:古典的な日本の怪談で、日本のホラー時代劇のシナリオを今準備しています。私は日本の古典作品がとても好きで、日本の古典映画も本当に大好きです。韓国で「日本の古典映画について、どれくらい知っていますか?」と聞かれたら、誰にも負けないくらい知っています。
はじめでは、日本のホラーを超えてしまうかもしれないですね。
チョン:一生懸命頑張ります。
はじめ:最後に、本作の魅力を教えてください。
チョン:改めてこの質問をいただいて、ちょっと考えてみました。以前海外の映画祭に行った時に、その現地で様々な方から賞賛していただいた中のお言葉をお借りすると、この作品は奇抜で魅力的なエネルギーに溢れている、新しいジャンルの映画です。サスペンスあり、笑いあり、可愛さあり、ブラックユーモアあり。それらの独特な悲観論が一つのキーワードだと思っています。是非、劇場で鑑賞してください。
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~あらすじ~
ソウルでは、女性ばかりを狙う連続殺人事件が多発し、世間を賑わせていた。ある日、マンションで一人暮らし をしているヒョンジョン(チェ・ジウ)の元に火災報知器の点検をしに来たという中年の男性が訪ねてくる。図々 しく家の中に入ってくる怪しげな男性に不安を覚えるヒョンジョン。一方、デートアプリでマッチングした相手と 待ち合わせをしているヒョンス(イ・ユミ)。しかし、そこに現れたのは思いも寄らない人物だった。交差する 2 つ の出来事が予想だにしない結末を巻き起こす…
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『ニューノーマル』
2024 年 8 月 16 日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
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配給:AMG エンタテインメント
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©2023 UNPA STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.
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公式サイト: https://newnormal-movie.jp/
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作品概要
監督・脚本:チョン・ボムシク『コンジアム』
出演:チェ・ジウ「冬のソナタ」、イ・ユミ「イカゲーム」、チェ・ミンホ(SHINee)「ザ・ファビュラス」、 ピョ・ジフン(Block B)「ホテル・デルーナ」、ハ・ダイン、チョン・ドンウォン
2023 年/韓国/韓国語 5.1ch/113 分
原題:뉴 노멀(英題:NEW NORMAL)/字幕翻訳:根本理恵
提供:AMG エンタテインメント ストリームメディアコーポレーション/配給:AMG エンタテインメント
©2023 UNPA STUDIOS.ALL RIGHTS RESERVED.
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投稿を表示この度は貴重な体験をさせていただきありがとうございました。監督ご自身から作品への想いを直接お聞きできて、感無量でした。いつもながらサポートとフォロー本当にありがとうございました✨
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