好きで買ったDVD　～モスクワは涙を信じない～

『モスクワは涙を信じない』という映画をご存じでしょうか？

1979年制作、1982年に公開されたソ連映画です。

アメリカの第53回アカデミー外国映画賞を受賞した作品です。ウラジミール・メニショフ監督は授賞式には出席しておらず、代わりにソ連大使館員がオスカーを受け取りました。そのニュースがソ連で流れ、初めて監督は自分の作品が受賞したことを知ったそうです。そんな時代のソ連映画なのです。

1985年にレーガン大統領がゴルバチョフ書記長と初の首脳会談を行うにあたり、「謎めいたロシア人の心」を知るために本作を繰り返し観たということです。この作品が典型的なソ連人を描いたリアルな作品だったということでしょう。

題名の「モスクワは涙を信じない」とは「泣いたところで誰も助けてはくれないものだ」という意味を持つロシア語の格言なのだそうです。映画の最後の方で、泣いている主人公に親友が言うセリフでもあります。

学生時代に高田馬場の映画館にて2本立てでかかっていたときに観て忘れらない作品でした。実は私と映画好きの親友A子の目当ては、もう一つの映画の方だったので、この作品は全くのノーマークでした。なのに、むしろ全く知らなかった本作に感動してしまって大好きな作品となりました。残念ながらDISCASではレンタルされていません。いつかはレンタル開始されるのかな？と期待していたのですが、一向にレンタルされないので、ＤＶＤ化されてないのかな？と思っていましたが、数年前にアマゾンで販売されていることを発見👀即決購入しました‼️👍

🎦モスクワは涙を信じない🎦　150分

監督：ウラジミール・メニショフ

出演：ヴェーラ・アレントワ | アレクセイ・バターロフ | イリーナ・ムラビヨーワ .

どんなお話かというと。。。

第一部：1958年、田舎からモスクワに出てきて働いている3人の女性、カーチャ、リューダ、トーニャ。田舎から出てきた高卒の労働者向けの女子寮で生活する3人にはそれぞれの夢がある。寮や工場の様子は当時のソ連を映し出しておりとても興味深い。

●カーチャ：聡明で上昇志向が強く、工場で働きながら、大学に行き資格を取りたいと日夜勉学に励んでいる。リューダが企画したパーティで知り合ったテレビカメラマン・ルドルフと出会い恋に落ちるが、妊娠していることを知るとルドルフは去っていき、シングルマザーとなる。

●リューダ：明るく活発。流行の服を着て、常にいい男を探している。いい男と結婚するためには嘘も方便だと思っている。その成果もあり、有名ホッケー選手であるグーリンと結婚する。

●トーニャ：3人の中では一番大人しく控えめ。同僚の工員ニコライと恋におち結婚する。

第二部：20年後の3人を描いていく。

●カーチャ：娘のアレキサンドラは大学生になっている。カーチャは寝ずの努力で夢が叶い、今では工場長になっているが、妻のいる男と不倫中。女性としての充実した幸せは得てはいない。そんな関係に疲れた頃、電車の中でゴーシャと名乗る男と知り合い、意気投合。ゴーシャは男は家の中で一番偉いもの、女は男に従うものだという古い考えの持ち主で、自分が工場長で地位のある女性だということを言えないまま交際を続ける。

●リューダ：夫のグーリンは酒に溺れて選手としての地位を失い落ちぶれていた。リューダは彼と離婚してクリーニング店で働いているが、相変わらずいい男（彼女にとっていい男とは地位の高い男性のこと）を探している。

●トーニャ：共働きで平凡だけど3人の子供にも恵まれて、幸せな家庭を築いている。

3人3様の女性の生き方から、「こんなはずではなかった」人生を映し出していくことで、ロシア人のみならず世界中の人たちの共感を呼び、勇気を与えてくれる秀作。

第一部は20歳前後の女性らしく、きゃぴきゃぴな雰囲気を当時３０代の女優たちが生き生きと演じています。本当に少女に見えるので不思議。特にカーチャ役のヴェーラ・アレントワ（メニショフ監督の奥さんです）が可愛らしいことこの上ありません。

２０年後の第二部は、年を重ねて実年齢に近い女性たちを演じていますので、一部とのギャップが大きいです。男性陣は一部のときから老けた若者（笑）って感じでしたので、さしたるギャップはありません。尚、カーチャが２時間の睡眠を得るために目覚し時計をかけて泣きながら眠り、音が鳴って目が覚めると２０年後になっているという場面転換が監督のお気に入りだそうです。私もお気に入りです。