私の好きな映画

cine-ma
2025/07/08 10:21

2025年に観た映画(29) 「フロントライン」

私の場合、2020年2月の終わりから出社が制限され、出張は禁止され、会議はほぼzoomやTEAMSによるリモート開催となりました。
志村けんさんや岡江久美子さんが立て続けに亡くなり、世間を震撼させたCOVID-19。

あれから5年。
気が付けば公共の場でマスクをする人は半減し、感染者数や死者数もよくわからない。コロナウイルスは既に弱体化したのかと調べると、若者の致死率はインフルエンザと差がなく、65歳以上の高齢者の死亡率は未だにインフルの数倍~十数倍。ワクチンに関してはあの尾見さんが今頃になって「若い人には接種をお勧めしない、と前々から申し上げている」といった話が届いたりと、相変わらずモヤモヤしている。

あれから5年。
半ば義務感を伴って観に行きました。そして本作はなかなかの“観応え”がありました。

(c)2025「フロントライン」製作委員会
(c)2025「フロントライン」製作委員会
(c)2025「フロントライン」製作委員会
(c)2025「フロントライン」製作委員会

ダイヤモンドプリンセス号が横浜大黒ふ頭に到着したのは2020年2月3日の夜。まさにコロナ禍黎明期、日本国が未知のウイルスに対して何の予防策も整えていない段階で来日した“感染の巣”。
災害派遣のボランティア組織であるDMAT。門外漢でありながら最前線で対応に当たった医師と看護師達の1ヶ月を描いた本作。

あくまでも現場で奮闘する医師や看護師、クルー達の目線で話は進む。彼等が守るべき対象として、乗客が描かれる。彼等の活動を脅かす存在として、マスコミとSNSが登場する。この三者に対して各々ちゃんと抑揚がきいていて、マスコミや彼等を批判する連中には必要最低限の役割しか与えられていないし、そういった外野の批判に対しても耳を貸さない。撮り手側のスタンスが実に明快で、それが清々しくもある。

役者陣がいい。小栗旬と窪塚洋介と松坂桃李、そして森七菜がいい。特に窪塚と森が素晴らしい。作品を通して抑制された、弁えた演出にも好感が持てました。

エンドロールで、監督の名前の直前に「企画・脚本・プロデュース」増本淳とクレジットされているのが目に留まる。彼のプロフィールを見て、本作が骨太な娯楽作品である事に合点がいった。

これまで世に送り出された様々な実録物と立て付けは大差ない。ただ一点、これが数年前の極々身近な出来事だったという事を除けば、です。そしてこの点が持つ本作の意味は、観客にとってとても大きなものなのです。
事実を基にして作られた作品ですが、あくまでもフィクション。これで何かが判った気になってはいけない。ただ、事実を基にした作品としても、フィクションとしても、そのバランスの妙も含めて、本作は佳作だと思えました。今年度観に行っておいてよかった作品の1本となりました。

№29
日付:2025/7/6
タイトル:フロントライン
監督:関根光才
劇場名:シネプレックス平塚 screen4
パンフレット:あり(¥1,100)
評価:7

(c)2025「フロントライン」製作委員会
(c)2025「フロントライン」製作委員会
(c)2025「フロントライン」製作委員会

 

パンフレット(¥1,100)
  • イントロダクション
  • ストーリー
  • インタビュー 小栗旬
  • インタビュー 松坂桃李
  • インタビュー 池松壮亮
  • インタビュー 窪塚洋介
  • インタビュー 森七菜/桜井ユキ/美村里江
  • キャスト・プロフィール
  • 登場人物
  • インタビュー 関根光才監督
  • インタビュー 増本淳(企画・脚本・プロデュース)
  • レビュー 現実感と娯楽性の奇跡的な配合による普及×不朽効果 SYO(物書き)
  • レビュー 映画『フロントライン』は社会に何を問うのか。医師の視点。 山本健人(医師)
  • タイムライン
  • プロダクション・ノート
  • インタビュー 阿南英明(結城英晴のモデル)× 近藤久禎(仙道行義のモデル)
  • インタビュー 堀岡伸彦(立松信貴のモデル)
  • インタビュー 高橋善明(真田春人のモデル)
  • インタビュー 和田祥子(羽鳥寛子のモデル)
  • クレジット

 

 

 

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