2025年に観た映画(45) 「ナイトコール」

映画鑑賞も通常料金が今や2千円ですか。私はシニア料金なのでそれほどお財布には響きませんが、2時間以上拘束された挙句につまらないと、それなりにガッカリもしてしまう。
せっかく観るなら面白い作品がいいに決まっているものの、イマイチな作品が続くとモチベも下がる。後悔しない作品選びのためのレビューサイトもステマの横行が著しい。そんな中、ろくな宣伝もないままに劇場の上映スケジュールにひっそりと(?)組み込まれていながら、とある国で大ヒットしていたり賞を取っている作品というのは、もしや拾い物?的な期待感が膨らみます。
「ベルギーのアカデミー賞に当たるマルグリット賞で作品賞を含む最多10冠に輝いた」という本作もそんな1本。
先ずは物語が幕を開けるプロローグが上手い。万国共通、困った時の24時間サービスを営む黒人青年マディに舞い込んだ仕事の依頼。
お人好しなマディの日常が一変し、あれよあれよという間にドツボにハマる展開は実にスピーディ。少々不穏な街として描かれる首都ブリュッセルで繰り広げられる、巻き込まれ系クライム逃走劇&追走劇。果たしてマディの運命や如何に。
会話がフランス語なので意外な気がしていたら、ベルギーにはフランス語圏(ブリュッセルはここに該当)とフラマン語(≒オランダ語)圏とドイツ語圏があるらしい。大規模なデモの様子が描かれていますが、移民問題、人種差別、南北経済格差といった様々な課題も抱えている模様。そんな現状も街の風景に取り込みながら、追う側と追われる側/欺く側と欺かれる側とが自分の首を掛けた“鬼ごっこ”は、シンプルに見応えがありました。
ただシンプルかつオーソドックスな展開だけに、観客をあっと言わせるようなエピローグは難しかったか。
「決して開けてはいけない“鍵”もある」とは少々陳腐な宣伝コピー。スターや監督目当てでもなければ話題の作品でもない、配給会社の目利きを信じて劇場に足を運んだ本作でしたが、
「(ベルギーで)ヒットしたのも判る」けど「最後にもう一捻りあったらなぁ」
というのが感想です。
№45
日付:2025/10/19
タイトル:ナイトコール | LA NUIT SE TRAÎNE
監督・共同脚本:Michiel Blanchart
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN9
パンフレット:あり(¥880)
評価:5.5

- イントロダクション
- ストーリー
- バックグラウンド
- キャスト・プロフィール
- 監督プロフィール&コメント
- ミヒール・ブランシャール監督インタビュー
- ジョナサン・フェルトレ(マディ役)インタビュー
- シンプルにして明快なコンセプトのスリラーに、どん底からの“叫び”を注入した新人監督の挑戦 高橋諭治(映画ライター)
- 劇中使用楽曲 La Nuit N'en Finit Plus (Petula Clark)
- クレジット
