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私の好きな映画

かこ
2024/09/14 17:09

80年代の女子プロレス

Netflixシリーズ「極悪女王」の試写に招待頂きました。
 

筆者が幼い頃はテレビで毎週プロレスが放送されており、父と一緒に視聴していた。
子どもながら、ジャイアントスイングやサソリ固めなどのワザも理解していたと思う。
そして今回試写会の機会を頂き視聴した際、女子プロレスラーファンの友人に誘われ、プロレス観戦した記憶が急に蘇ってきた。
主役はクラッシュギャルズ、そして極悪同盟、ジャガー横田といった、豪華な選手ばかりだ。
ということは筆者はすでにリアルな「極悪女王」を体験していたという事になるのだが、筆者の話しはここまでにして、5話の最終話まで視聴したレビューを執筆していこう。
もちろんネタバレはなしで。


 

目次
1.あらすじ、キャスト
2.臨場感ある試合とプロレスの見せ方
3.経営戦略と選手たちの本音
4.後楽園ホールとプロレス飯
5.プロレスで強くなれたのか


 


1.あらすじ、キャスト


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松本香は内職で家計を支える母と妹と明るく暮らしていたが、放蕩者の父がダンプカーの音を響かせて戻ってくると、家の中は修羅場と化す。父を殺したいほど憎んだ雨の日、香は誘われるままに全日女子プロレスの練習場に足を踏み入れる。一目でジャッキー佐藤の輝きに魅せられた香は、高校卒業後、女子プロ入門のオーディション会場に駆け込み、ぎりぎり入門を許される。なんと試合会場の外で焼きそばを焼きながら、香に声をかけてくれたおっちゃんは、全女を運営する松永高司社長だった。その松永兄弟のもと、同期の北村智子、長与千種、本庄ゆかり達と厳しい練習、先輩レスラーからの過酷な指導に耐える日々がスタートする。運動神経の良い智子やゆかりとは対照的に、香と千種はプロテストに落ち続け、香に至っては営業部として業直伝に回される始末。そんな落ちこぼれの二人は、練習場のリング下でジャッキー佐膝への憧れを語り合い、強くなるしかないと誓い合う。やがてプロデビューを果たした千種はリングで輝きを放ち始め、飛鳥とクラッシュ・ギャルズを結成し、スターの階段を駆け上がる。そんな親友の背中を羨望と嫉妬の入り混じる思いで見つめる香は、会社からヒール転向を命じられる。本庄改め「クレーン・ユウ」とヒールに転向した香は「ダンプ松本」として、レスラーとしての生き残りをかけ、奇抜なメイク、革ジャンに竹刀というスタイルで、リング内外で暴れ回ることに。テレビ放送の視聴率が爆上がりする中、クラッシュ・ギャルズの全国のファンを敵に回した香と家族には激しい誹謗中傷の嵐が吹き荒れるが、かつての親友、千種への対抗心が香の闘争心を掻き立てる。そうして、国民的アイドル・長与千種と全国民の敵・ダンプ松本の「敗者髪切りデスマッチ」の火蓋が切って落とされることに。
(デジタルパンフレットより引用)
 

 


2.臨場感ある試合とプロレスの見せ方


70年代の女子プロを牽引してきたのはビューティーペア、そして80年代の主役は極悪同盟ダンプ松本、クラッシュギャルズの長与千種とライオネス飛鳥、本作の主役だ。
本作は全編通してその選手たちの熱い死闘が繰り広げられる。カメラが選手たちの動きを追うように舐めまわし、選手と同じ目線のアングルが視聴者にとって、同じリング上にいるような臨場感が味わえる。
野球やボクシング映画なども同様、選手の素早い動きに合わせたカメラワークに感心するばかりだ。筆者がスポーツ映画が好きな理由には、それも含まれている。

そしておそらく、当時の経営戦略を映し出したかのようなプロレスの見せ方にとても興味が沸いた。どのように展開するかによって、客の入り数が全く違ってくるのだろう。
ただ見せればいいという事ではない、それは次の章で触れるとして、ダンプ率いる極悪同盟のルールは「反則」だ。
チェーンを使用した首絞め、パイプ椅子で相手を殴る、もちろん流血は当たり前。ダンプサイドのレフリーも存在するほどだ。

どの業界でも新しいスターが生まれると、
そのスターを贔屓する傾向がみられ、行動が正当化されるのが事実。反則なのに正当化、矛盾しているが、これには経営陣の思惑もある。ではこのまま3章に突入しよう。

 


3.経営戦略と選手たちの本音


記憶が正しければ、全日本女子プロレスはフジテレビ、全日本プロレスは日本テレビが主に中継をしていた。番組の人気度を測る世帯視聴率は2020年頃から個人視聴率へ、そして今では、コア視聴率と言ってさらにポイントを絞られるようになった。それだけではなくTVerなどの再生回数も重要視されている。
様々な生活スタイルが生まれるなか、家族そろってテレビを観る時代はおわり、世帯だけでは判断できないのは納得だ。
 

しかし80年代の娯楽はテレビオンリー、世帯視聴率が全てと言っても過言ではない。
ゴールデンで数字を取るためにはテレビ局にとって大人気のプロレスは外せない。
また全女サイドは、次々に新しいスターを作り出し、売り出すには放送してくれるテレビが必要になってくる。双方にとって最高のビジネスパートナーだ。
それにはプロレスの見せ方が重要になる。
見せ方とは個人抗争、乱闘、ヒールvsベビーフェイスの軍団抗争と言った、様々な抗争アングルだ。加えて雑誌のインタビュー等で私生活までライバル視するような形も個人抗争にあたるのだ。
このような抗争が試合を面白くさせ、プロレスワザもテレビ放送もギリギリの所を攻める!これが当時は大ウケしたのだ。
 

本来ならここで、作中で多く使われるプロレス用語を引用したいが、興醒めするかたもいらっしゃると思うのであえて引用しないが、台本がないのは選手の心だけだ。
みな踊らされていた。自分の心と現実に違和感を覚え、現場を離れる者も現れた。
そして悲しいことに、ペア同士の揉め事にも発展していくのだった。
 

 


4.後楽園ホールとプロレス飯


ここで少し休憩タイムを取ろう。
プロレス飯も見どころの一つ、それはヤキソバだ。後楽園ホールで行われた本作のイベントで筆者も頂いたが、プロレスの聖地で食べるヤキソバほど美味しいものはないだろう。
名物のヤキソバでお腹を満たしたら、選手の応援にも更に力が入る。このようなシンプルな推し活が素晴らしい。味覚も、視覚も、場内に鳴り響く帰れコールの一体感も、訪れる人々の欲求をも満たし、興奮をMAXにするのが後楽園ホールなのだ。
 


5.プロレスで強くなれたのか


まだ練習生だった頃の長与千種と松本香。
ふたりが自身の幼少期を振り返り、たどり着いた答えが「プロレスで強くなりたい」「生きてる証を実感したい」という決意だった。
それに、スターになる選手は勝手に光だすという現象(これは本当だと思う)も手伝い、憧れのスター選手や同期に光を感じ、同じプロレスの道を歩みたいとも思ったはずだ。
 

しかし松本香という純粋で優しい少女が、極悪女王のダンプ松本になるにはそう時間が掛からなかった。
純粋だから極悪に対しても手加減できず、真面目なのだ。
 

それでもいつかは全てをやり尽くす時が来る。本人からしてみれば、現実に戻された感覚だろう。選手それぞれ、そのタイミングは違うが共通していることは皆、リング上以外に心でも戦っているという事実だ。
作り出されるギミックを跳ね除け、本当の意味での強い女子プロレスラーとは何か。
「極悪女王」は私たちにそれを教えてくれる作品だ。
戦う少女たちの物語をぜひ見届けてほしい。
 

Netflixシリーズ「極悪女王」は9月19日より全世界に向けて配信スタート。

 

 

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 


 


 


 

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4 件の返信 (新着順)
すた☆みな バッジ画像
2024/09/15 14:11

80年代の女子プロレス!真ん中(長州力風)な世代にはたまらない作品です。
マッハ文朱、ミミ萩原、ビューティーペアの後、もっとも興奮したクラッシュギャルズ✖極悪同盟
の抗争で女子プロレス人気は不動に。
クラッシュギャルズの宝塚的な人気とダンプ松本の「極悪ぶり」はプロレスだけではなく、「茶の間のヒール」にもなっていました。バラエティー番組「夕やけニャンニャン」の司会片岡鶴太郎が再三、テレビでダンプ松本を挑発したため、生放送中に乱入、鶴太郎を襲撃しスタジオが大混乱したことを思い出しました(タイガージェットシンがアントニオ猪木を襲撃したことのオマージュかとも思いますが)
地面師続く「はまる作品」になると思います。


かこ
2024/09/15 15:22

すたみなさん!
情報が凄すぎて、同じ歳のわたしでも何を言っているのかサッパリわからない😂
確かマッハ文朱のギャグありましたよね?マッハふみふみって言うギャグ、無かった?でも夕ニャンのダンプ乱入は覚えています🔥それがタイガージェットシンとアントニオ〜なんですね😆
地元のプロレス観戦に誘ってくれた友人は女子プロ志望でした。当時は女子プロレスラーが曲まで出してアイドルでしたよね🤔✨すたみなさん、配信スタートしたら観て下さいね!

椿五十郎 バッジ画像
2024/09/15 11:35

小学校の頃夢中になってプロレスみてました。全女もみましたが、かこさんのコラムを読んで、こんな人間ドラマがあったとは、思いもよりませんでした。メイクを落としたダンプ松本は非常にチャーミングでしたもんね。いろいろな悩み、苦しみがあったのですね。
ちょっととある理由で本作は目を通せないのですが、詳細なコラムを拝読して、ちょっと見た気になっているダメオヤジです(;^_^A
それにしても、かこさん、プロレス初心者っておっしゃってますが、いやいや、よくご存知だと思いますよ(笑)本作にそれほど詳細に80年代プロレスについて語られているのでしょうか?それともいろいろ調べられたのでしょうか?いずれにしても素晴らしいですっ


かこ
2024/09/15 15:13

椿さん、極悪女王を鑑賞できないのですね🥲本作を鑑賞するまでは全くプロレスには興味有りませんでしたが、遥か昔、
近所のジャスコへ女子プロ観戦に行ってました(ポスターの写真を貼れないのが残念)なんとなくビューティーペアの曲も覚えていますし、クラッシュギャルズの曲も覚えています☺️
80年代の抗争は少し調べてみました!
そしたらドラマもその通りに描かれていて感激です🔥
今じゃテレビで放送できない内容ですよね、そういった点は昔は面白かったなぁと思いました😊

Black Cherry
2024/09/14 21:36

「純粋だから極悪に対しても手加減できず真面目」とは…!なるほどです✨
プロレス、全然詳しくないのですが、みてみたくなりました☺️


かこ
2024/09/15 00:44

私もプロレス初心者なのに、なぜか遥か昔の記憶が蘇ってきました😊
ダンプさんが優しくて、いつも人を優先して自分は我慢をしている感じなんです😌そんなダンプさんが、初めて自分の気持ちを開放したときのシーンが最大の見せ場だと思うので、ぜひ😄✨

はじめ バッジ画像
2024/09/14 20:53

かこさんの記事読んでて、経営や建前などが横行していた時代でもえるなって改めて思いました💡そこをどう生き抜いていくかが見ものですね😁


かこ
2024/09/15 00:38

うん、生き抜く力は必要だと思う🔥
ドラマでも描かれていた部分は結構リアルなんじゃないかなぁ、と感じておりますよ☺️プロレス業界に限らず、色々ある世界😅

はじめ バッジ画像
2024/09/16 07:24

芸能界やスポーツ界隈の特に昭和なんてそういう時代ですよね〜。僕も密かにああいうスポ根精神意識するときあります😁

かこ
2024/09/16 08:34

スポ根とブレない精神、大事かも🔥