2025年マイ・フェイバリット
大変ご無沙汰しています。ゲーム制作でずっと忙しくしていたらDiscover Usサービス終了とのことで、2025年に鑑賞した162本の中からマイ・フェイバリットな作品をご紹介させていただきます。
今年は本当に豊作でした!5年に1本レベルの快作がぽんぽん出てきて、どうなってるんだという感じでした。
そんな中のマイ・フェイバリット10+α。
ベスト枠は去年から予告していましたが、「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦[九龍城寨之圍城]」です!

2023年のTIFFで観て魅了され、今年の本公開で結局40回近く観に行ったでしょうか。
香港で展示中のセットにも2回ほど足を運びました。
何度観ても泣けて、頑張ろうという気持ちが湧いてくる壮絶なアクション映画です。
12月からAmazon Primeでも見られるようになりましたが池袋新文芸坐では年末年始に上映がありますので都内の方は是非そちらで!
続いてFAVORITE10は以下の通りです。
第1位は「F1/エフワン」。

予告編ではなんかクイーンの曲使ってるブラピがロートル演じてる作品ぐらいの印象しかなかったのですがあまりに評判ががいいのでOAFFの隙間時間に観に行ってみてびっくり!
スポーツ観戦で叫んだことがある人ならみんな分かる世界が見事に再現されていました。それも3点差で負けてて二死満塁からのサヨナラホームランでシーズン優勝キメる時ぐらいアドレナリンが出るやつです。見逃している方は是非。
第2位「フロントライン」

新型コロナウィルスの集団感染が起こったダイヤモンドプリンセス号で奔走した人たちを描いた作品。誇張なしで全人類観るべき作品でした。人道とは何かが描かれており、描くべき情動を過剰にならないラインで描写するバランスが凄まじい。その部分がこれだけ緻密にコントロールされている邦画はほとんど初めて観ました。日本の医療はこういう人たちで支えられているというのを痛感しました。
第3位「私たちの話し方[看我今天怎麼說]」

手話が使えることは水中でアドバンテージになるというエピソードから始まる、香港の難聴者同士のコミュニケーション文化を活き活きと描いた作品。実際の難聴者とCodaである子役を始めとしたキャストの演技が素晴らしいのです。OAFFで公開されたのを鑑賞し、その後香港でも観たのですが、来年日本でも一般公開が決まっています。是非ご覧ください。
第4位「ハウス・オブ・ダイナマイト」

残念ながら現在はNETFLIX限定配信なんですが、期間限定で劇場鑑賞できたので行ってきました。昨年ベストの「ソウルの春」と同じ、最初から最後まで手に汗握るポリティカルサスペンスです。ある日突然米国のレーダーに捉えられた出所不明の一発のミサイル。軌道計算で米国本土に到達することが予測されたそれに対して米国政府内の対応は。信頼できるオタク、キャスリン・ビグローによるヒリヒリする作品です。国防長官の娘に対する選択の凄みと、Rファーガソンがめちゃくちゃよかった。
第5位「名無しの子[無名之子]」

ドキュメンタリー、結構好きなんです。こちらは中国残留孤児とその家族をテーマにしたドキュメンタリー作品。黑社會を舞台にしたゲームを作っていることもあり、そういう裏の世界の話(「ヤクザと憲法」など)とか特に好きなんですけど、本作にはなんと初代怒羅権総長や横浜怒羅権総長が出てきます。浅学で怒羅権のルーツが残留孤児2世だって知らなかったので驚きました。怒羅権はどちらの国にも居場所がない人間の居場所だという言葉がとても腑に落ちました。
第6位「政党大会 陰謀のタイムループ」

タイトルを見て分かる通りタイムループものなんですが脚本がめちゃくちゃよくできてます。最初の仕掛けだけでも十分面白いんですが、中盤明かされるもう一つの仕掛けのせいでループから抜け出す為の難易度が一段上がるのが素晴らしい。政治的なメッセージも熱いです。
第7位「セプテンバー5」

ミュンヘンオリンピックでパレスチナ武装組織ががイスラエル選手11名を人質に取り立てこもった事件を報道する米国ABCのスポーツ中継クルーを描いた作品。一見派手な題材を過激さを排除して手堅く描く地味な作品なのですが、放送機器のフェティッシュな映像や生中継でリアルタイムで差配していく緊張感がたまりません。
第8位「バウンド・イン・ヘブン [捆綁上天堂]」

中国ではまだまだ珍しい女性主人公のノワール作品です。中盤まではちょっと胸焼けしそうな濃いメロドラマという趣きなのですが、ラストの疾走で度肝を抜かれました。OAFFのコンペティション部門でグランプリを獲りましたが諸事情で中国国内で上映禁止になり世界でも見る手段ががほぼなくなったのが残念すぎる作品。いつか公開されますように。
第9位「シータイ・戯台~笑劇の霸王別姫~[戯臺]」

民国時代の中国を舞台に、征服者によって無理難題を申し付けられた京劇劇団の一座が四苦八苦する様子を描くコメディ映画……なのですが、昨今の政治状況を鑑みると非常に重層的な抵抗の物語が見えてきます。こんな作品が出てくる限り人の叡智と仁義を信じたくなりますね。CJIFFで上映されましたが是非一般公開されて欲しい逸品。
第10位「ドライブ・クレイジー タイペイ・ミッション」

米国からやってきた麻薬捜査官が凄腕ドライバーであるかつての恋人と台北の街を縦横無尽に駆け回るアクション快作。この邦題はワイルド・スピード3 TOKYO DRIFTを完全に意識したもので、内容もワイスピシリーズに目配せがバンバンあります!ワイスピファン必見!
FAVORITE10は以上です。
今年観た162本の内訳はこちら。

番外編として、今年はこれまでの生涯で最高の映画鑑賞体験ができたのでそのお話を書いておきます。
台湾にある国家電影及視聴文化中心(TFAI)という機関で今年、「奇峯無邊 銀河無際:杜琪峯與銀河映像」という、私の敬愛するジョニー・トー監督作品の特集上映が行われました。
そこで上映されたラインナップに含まれていたのが、権利問題でもう日本でも香港でも上映されない「鎗火(邦題はザ・ミッション 非情の掟)」と、日本では劇場公開されなかった「我左眼見到鬼」。
前者はDiscover Usで最初にご紹介した大傑作香港ノワールで、後者は涙なしでは見られない究極のラブストーリーです。
「エグザイル・絆[放・逐]」と合わせたこの3作が私のジョニー・トーべスト3なのですが、なんとこの3作が同日上映されることがわかり、それを観る為だけに台湾に行ってきたのでした。
当然日本語字幕なんてついてないのですが、これらの作品を改めてスクリーンで観られたことは生涯忘れられない経験になりました。今年は更に夜の香港を疾走する物語であるPTU 4K版を香港の夜の劇場で観る機会もあり、鑑賞体験としては最高の1年でした。
そんな私が完全に個人の趣味で作っている無料ノベルゲーム「紅蜘蛛/Red Spider」シリーズですが、今年9月にリマスター版をリリースしました。本シリーズは香港ノワールの魅力を広く伝える為に作っている作品で、数々の珠玉の香港ノワール作品へのオマージュ満載。更にゲーム内の元ネタ事典でそれぞれの引用元について解説しています。Win/Mac/Android/iOSで完全に無料でプレイできますのでよろしければ是非遊んで見てください!それでは皆様よいお年を。


