あどけない少女系ヒロインがヤバい宇宙貨物船をサバイバル!『エイリアン:ロムルス』
■エイリアン:ロムルス
《作品データ》
リドリー・スコット監督による1979年の『エイリアン』と1986年のジェームズ・キャメロン監督『エイリアン2』の間を描き、リドリー・スコットが製作、『ドント・ブリーズ』を手掛けたフェデ・アルバレスが監督・脚本・製作総指揮を務めたSFサバイバルスリラー。西暦2142年、宇宙の植民地・ジャクソン星にて、人生の行き場を失った6人の若者たちは、廃墟と化した宇宙貨物船を発見し、生きる希望を求めて探索を開始する。しかし、そこには生物に寄生して急成長を遂げる恐怖の生命体がいた。主人公レイン役を『プリシラ』のケイリー・スピーニーが演じ、他デヴィッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセード、スパイク・ファーン、アイリーン・ウーが出演。
・2024年9月6日(金)より、TOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー!【PG12】
・上映時間:119分
・配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
【スタッフ】
監督・脚本・製作総指揮:フェデ・アルバレス/脚本:ロド・サヤゲス
【キャスト】
ケイリー・スピーニー、デヴィッド・ジョンソン、アーチー・ルノー、イザベラ・メルセド、スパイク・ファーン、エイリーン・ウー
原題:ALIEN: ROMULUS/製作国:アメリカ/製作年:2024年
公式HP: https://www.20thcenturystudios.jp/movies/alien-romulus
〈『エイリアン:ロムルス』レビュー〉
リドリー・スコットが監督ではなかったが、斬新なスリラー映画『ドント・ブリーズ』を手掛けたフェデ・アルバレス監督が新たに作った『エイリアン』シリーズ作品『エイリアン:ロムルス』。なるほど、『エイリアン』と『エイリアン2』の間の時間軸の作品らしく、『エイリアン』っぽい密室空間でのSFホラーを見せ、
原点回帰の『エイリアン』シリーズ作品ながらちゃんと新しいものを見せている。
まず、『エイリアン』にも出てきた宇宙貨物船での攻防、サバイバルの展開になる前の、主人公のレインとアンディがジャクソン星とやらで悪戦苦闘するシーンがわりと面白い。地球ではない別の惑星なのに『ブレードランナー』の近未来の世界観よりも肌触りがリアルで、100年も先ならそういう派遣労働環境になってるかもと思わせるものがある。さらにその漂流してきた放棄されたユタニ社の宇宙船に忍び込む直前のレインがタイラーらと合流して宇宙船で宇宙に飛び出す時のシーンもまたちゃんとしたドラマがある。
そのどちらにも鍵になるのはアンドロイドのアンディの存在である。慣れているレインにはとぼけたお友達アンドロイドなのだが、アンドロイドに対して疎ましく思っている人間がいるという近未来で、アンドロイドを使って人間の寛容・不寛容を描いている。また、今回の主人公のレインとアンディの仲が終始微笑ましく、レインのアンディに対する優しさには癒される。まさか『エイリアン』シリーズを見て、「癒される」というワードが出るとは思わなかった。このレインを演じたケイリー・スピーニーは『エイリアン』シリーズのシガニー・ウィーバーや『マッドマックス:フュリオサ』のアニャ・テイラー=ジョイのような強いヒロインとはちょっと違う。どこかあどけない少女然としたものを保ちながら、宇宙貨物船内をサバイバルする芯の強さを見せている。
『エイリアン』1作目での懐かしい宇宙貨物船のシーンには当然のように懐かしのフェイスハガーがいておなじみのSFホラー/サバイバルに。後半には別のクリーチャーも加わり、一層ハラハラ・ドキドキな展開になる。これでこそ『エイリアン』であり、非常に懐かしい。
目新しさこそは薄いが、『エイリアン』シリーズらしい躊躇なきグロ、ゴア描写は健在。ほんのちょっとだけ新しい展開の『エイリアン』シリーズはシリーズ作に相応しいSFホラー作品である。