映画を支えた人達を讃える『毎日映画コンクール表彰式』参加レポ
こんにちは!
そぜです。
『今日何観よう?』のお手伝いができるように
お茶の間や映画館からつながる良質映画を厳選紹介しています。
まだ、余韻が残っています。。
2023年に世に出た約676本もの日本映画を代表する作品と顔ぶれが一堂に会した時間
『第78回毎日映画コンクール』に出席してきました。
このような場に参加するのは初めてで
Discover usさんのご厚意でご招待いただき、
念願のシネマニストのみなさんとも初対面。
一瞬で同志になり、期待に溢れた空間をみんなで作り上げていく印象で
開演前から何とも言えない良き一体感が生まれていました。
表彰式のスター登場、関係者のスピーチが起こるたびに
極上な筋書きの無いドラマ映画を観ているかのような気持ちに。
とても、とても良い時間でした。
映画を愛する人が集まって凝縮されるとこんなエネルギーになるのか
と感じた2時間半でした。
表彰式では司会の生島ヒロシが【会のオンタイム終了】をミッションに
スピーチされる方々への愛のある牽制を投げつつ、
要所かつ簡潔な講評とインタビューをするなど
全体を通じてしっかりまとめ上げていました。
プロですね。
今回の受賞結果は一番下に紹介していますが
特に印象に残った作品および受賞者をフォーカスしてレポートしますね。
ドキュメンタリー映画賞:『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』
(寺田和弘監督)
2011年3月11日に起こった東日本大震災で、宮城県石巻市の大川小学校は
津波によって全校児童の7割に相当する74人の児童と10人の教職員が亡くなった。
この惨事を引き起こした事実・理由に対して行政からの反応は薄く、
説明に嘘や隠ぺいがあると感じた親たちが2人の弁護士と共に市と県に対して提訴。
10年にもわたる裁判の結果、裁判史上、画期的な判決がなされるまでのドキュメンタリー。
舞台には寺田和弘監督と被害者の親たち、そして弁護士の方もいらっしゃって
この映画が持つ意義と裁判で判決がなされた後でも行政は全く動いていない事への
痛烈な憤りを伝えていました。
このような実際の事故・事件を映画にし、世論を変えたケースはいくつもあります。
特に印象に残っているのは2012年に公開された「トガニ」の公開。
韓国で公開されてから460万人以上もの観客を動員。社会現象となり、
その影響で「障がい者や13歳未満の子供たちに対する虐待への時効撤廃を定めた法案
(通称トガニ法)」が改正され、そのモデルとなった加害者に有罪判決が下され、
まさに、映画が世界を変えた一作でした。
今回の『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』も
映画が世論を変えるチカラをひしひしと感じました。
本受賞を受けて全国で3月よりリバイバル上映がされるとのこと。
裁判後の行政が一刻も早く動いてもらうよう、世論の一部として是非見届けたいと思いました。
男優助演賞:宮沢氷魚『エゴイスト』
男優主演賞:鈴木亮平『エゴイスト』
男優主要部門は「エゴイスト」が主演助演そろっての受賞でした。
生憎、本作はまだ観ていませんが、
受賞スピーチでとにかく二人の本作への想いが伝わってきました。
特に鈴木亮平さんの
「異性愛者の自分が同性愛者の役をやることで、観た時に
『これは間違いなく自分達の物語だな』と思ってもらえるような映画に
しなければいけないなという思いがあった」
のコメントにはものすごく真剣に作品に向かい合う姿勢と本気度が感じられ、
ますます好きな俳優になりました
(もともと世界遺産検定1級合格の同期でしたので親近感はありました笑)。
こちらもオンデマンドでリリースされ次第観たいです。
大藤信郎賞:『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)
授賞式には今回特別賞も受賞された鈴木敏夫(スタジオジブリ プロデューサー)が登壇されました。
受賞した後のコメントが一番泣きました。。
「この賞は亡くなった高畑勲が欲しがっていたんです」。
スタジオジブリを宮崎駿を一緒に立ち上げた高畑監督を引き合いに出して
受賞の喜びを語っていたのが印象的でした。
君たちはどう生きるかは個人的にジブリ作品でTOP3に入るくらい大好きな作品なので
本当に嬉しかったですし、鈴木敏夫さんが登壇されて感動ものでした。
日本映画大賞:『せかいのおきく』(阪本順治監督)
脚本賞:阪本順治『せかいのおきく』
録音賞:志満順一『せかいのおきく』
完全に盲点でした。
どんな映画化も当日まで全く知らなかったし、
なんなら発表されるまでずっと「せかいの”きおく”」だと思っていたくらいです(申し訳なし)。
あらすじは、江戸末期の貧乏長屋を舞台に贈る人情時代劇。
武士の娘でありながら長屋で暮らす女性と糞尿売りの青年の純愛を軸に、
貧しいながらもたくましく生きる江戸庶民の暮らしぶりをモノクロで描く作品で、
一言でいうと「クソを題材にした映画」
ただ作品自体に送られる主要賞をほぼ独占。
大賞と面白い映画認定でもある脚本賞も獲ったという事で俄然興味が湧きました。
壇上では阪本監督のセンス抜群の名スピーチが
「くそまみれの映画を作ってやろうと業界にケンカを売った形になった」
「くそ真面目に、やけくそで、なにくそと思って、へたくそですが描かせていただきました」
「4年前にパイロット版のつもりで15分の短編を作り、やっと長編になったが撮影は12日。クランクアップでも配給が決まっていなかった。受賞してこんなこともあるんだなという気持ちでいっぱい」
阪本監督、最高でした。
その後も各受賞者のスピーチは感謝に満ち溢れたものばかりで
作品の裏で本人が感じた事を聴ける貴重な機会でした。
このような機会に参加できて本当に感謝です。
Discover usさんありがとうございました!
番外編:シネマニストとの(下手すれば)朝まで生談義
会の終了後は全員集合して写真を。
私はオフラインでは初参加。
もちろん今までの積もる話もあり、
高揚感を胸に有志で飲みに行くことに。
とはいえ12人もの大人数を徒歩圏内で味もしっかり美味しいおしゃれな居酒屋を
見つけるのは難航を極め。。。。
ると思ったら私が電話した口コミ高評価の徒歩2分本格的居酒屋がさくっと空いてました。
やはりみんな引き寄せエネルギーの塊ですね。
居酒屋での話はもう映画の内容にとどまらず、
お気に入りの映画館、座る席、食べるもの、ポップコーンにオイルかけサービスの代償等
さすが映画鑑賞のプロフェッショナルだけあってこだわりが随所に感じられ
もうこのまま朝までいっちゃいたいと思う楽しさでした。
いつもはSNS上で交流していますが一度会うと
また一味違った繋がりも生まれて有意義でした。
盛り上がる中、泣く泣く終電に間に合うようその場を後にしましたが
これからも映画を大切な”特技”として、
映画好きの人はみんな仲間の精神で発信を続けていきたい
と強く誓った一日でした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
第78回毎日映画コンクール 受賞結果
日本映画大賞:『せかいのおきく』(阪本順治監督)
日本映画優秀賞:『ほかげ』(塚本晋也監督)
外国映画ベストワン賞:『TAR/ター』(トッド・フィールド監督)
男優主演賞:鈴木亮平『エゴイスト』
女優主演賞:杉咲花『市子』
男優助演賞:宮沢氷魚『エゴイスト』
女優助演賞:広瀬すず『キリエのうた』
スポニチグランプリ新人賞(男性):アフロ『さよなら ほやマン』
スポニチグランプリ新人賞(女性):サリngROCK『BAD LANDS バッド・ランズ』
監督賞:石井裕也『月』
脚本賞:阪本順治『せかいのおきく』
撮影賞:鎌苅洋一『月』
美術賞:上條安里『ゴジラ-1.0』
音楽賞:ジム・オルーク『658km、陽子の旅』
録音賞:志満順一『せかいのおきく』
アニメーション映画賞:『アリスとテレスのまぼろし工場』(岡田麿里監督)
大藤信郎賞:『君たちはどう生きるか』(宮崎駿監督)
ドキュメンタリー映画賞:『「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち』(寺田和弘監督)
TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・日本映画部門:『劇場版 美しい彼~eternal~』
TSUTAYA DISCAS映画ファン賞・外国映画部門:『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』
田中絹代賞:薬師丸ひろ子
特別賞:鈴木敏夫(スタジオジブリ プロデューサー)
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投稿を表示ダメ沢さんの乾杯の合図、撮っていたなんてさすがです👏😂🍻
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投稿を表示先日はお会いできて大変光栄でした!
たった4日前の出来事なのに、一気に現実に戻ったせいかずっと前のことのように感じます笑。
映画好きが集まって過ごす時間は濃厚でしたね〜✨
そちらの卓でも映画談義に花が咲いていたのですね!
リアルで会うとまた一体感が生まれますよね☺️
またぜひお会いしましょう!
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