十人十色の物語が繋がる「アット・ザ・ベンチ」
とある公園にある、1つのベンチ。
朝の犬の散歩で休憩がてら座ったり、お昼になったら座ってランチを食べたり、夜になったら夜空を見ながら座ったり。
ただの1つのベンチが、様々な人の色々な人生に関係しています。
そういう些細で気がつけないような日常を豊かにしてくれる発想を、最大限にまで膨らませた作品が、「アット・ザ・ベンチ」です。
奥山由之監督によって集められた精鋭たちによる、オムニバス形式の映画作品となっています。
脚本には、生方美久、蓮見翔、根本宗子(敬称略)を迎え、キャストには広瀬すずや今田美桜を始めとする超豪華なメンバーが名を連ねています!
これだけで、見る価値があると思いませんか、、??
オムニバス形式の作品、日本だとあまりありませんし、私もほとんど見たことがありませんでした。
有名なものだと、「ナイト・オン・ザ・プラネット」が最近まで再上映されていたかと思います。
本作は、日本版「ナイト・オン・ザ・プラネット」と言っても良いかと思います!
ただ、「アット・ザ・ベンチ」の特色は、美しくてレトロな映像に、“笑い”が加わっている点です。
私は劇場で本作を鑑賞したのですが、それぞれの編で観客からくすくすと笑い声が聞こえてきたのが印象的でした。
日本の映画鑑賞スタイルは、とにかく静かに、音を立てないようにマナー良く!っていう形式です。
そのため、余程のことがない限り、笑い声が聞こえてくることはないと思います。
でも、本作は何度も笑いが起こるんです。
オムニバス形式であるからこそ、一つ一つのエピソードが短くて、飽きさせない工夫がされています。
その中で、全く異なる雰囲気の作品たちに共通してコメディ要素が含まれているんです。
人間ドラマに紛れるコメディがわざとらしくなくて、あくまで自然に、リアルに描かれる部分が新鮮で、とても素敵でした。
人の人生を覗いているような、そんな面白さがずっと続いていく映画だなと思います。
⚠️以後はネタバレを含みます⚠️
本作において、奥山監督が脚本を執筆したのは第4編のみです。
この第4編、本当に衝撃的な作品でした。
ただの公園のベンチから始まる物語が、SFの領域にまで発展するからです、!!
私は「STAR WARS」から映画にハマったSFファンですので、この展開には前のめりにならざるを得ませんでした。
第4編のストーリーは、ベンチの撤去のための事前調査に訪れた役所の職員たちが、実は地球外の生命体で、、というものになっています。
この展開、誰が予想できるんですかね。
でも、1度その設定に気がつくと、しっかりと伏線がはられていたことにはっとさせられます。
この第4編に登場する、ベンチとエイリアンの会話シーンが、引きの固定された画角のみで映されたのが、個人的には衝撃的でした。
そういう場面こそ、多くのショットを使って、インパクトのある画を!と思いそうですが、奥山監督はそうではありません。
「自分が想像できる余白を残すと、その人は作品に関わることができる」
これは、奥山監督がとあるトークショーで仰っていたことの要旨です。
とても素敵な考え方だなと思います。
映画は、ただ受け身で見るだけのものじゃなくて、それを通して色んなものを感じたり、考えたり、研究だって出来るような文化だと思うんです。
だからこそ、こういう考えを持って映画を作ってくださる監督はすごいなって。
本作は、誰もが関わることのできる作品です。
あなたも、1つのベンチから紡がれる物語に思いを馳せてみませんか?
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投稿を表示オムニバス大好きです、この映画は気になるなぁ♪
でも、これまだレンタルになって居ないんですかね?
探したけど見当たらなかったのが残念、観たいなぁ?
レンタル可能になれば借りたいです、楽しみだな♪