DISCASレビュー

カッツ
2025/10/13 07:45

ラストエンペラー

清朝最後の皇帝であり、後に満洲国の皇帝となった愛新覚羅溥儀の波乱に満ちた生涯を描いた、壮大な叙事詩的歴史映画である。
中国の皇帝として生まれながら、時代の激流に翻弄され、戦争と政治の渦の中でその身を流されていく溥儀の姿が、大きなスケールで描かれている。紫禁城の荘厳な美しさと、孤独な少年皇帝の姿が対照的に映し出され、観る者に深い余韻を残す。
音楽は坂本龍一が担当しており、その繊細で壮麗な旋律が物語の哀しみと威厳を見事に彩っている。公開当時、音楽と映像の美しさが大きな話題となり、世界的にも高く評価された作品である。
歴史の中に埋もれた一人の人物の人生を通して、権力の儚さ、人間の孤独、そして時代の残酷さを静かに問いかけてくる名作である。
 

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