赤ちゃん泥棒/ブラッドシンプル / サントラ 洋画オリジナル
### 赤ちゃん泥棒 (Raising Arizona, 1987)
「赤ちゃん泥棒」のサウンドトラックは、コーエン兄弟のアクション・コメディを彩るカーター・バーウェルの陽気で風変わりなスコアが特徴。ニコラス・ケイジとホリー・ハンター演じる夫婦が赤ちゃんを誘拐するドタバタ劇を、バンジョーや口笛を織り交ぜた軽快なカントリーとフォーク調の音楽が表現。バーウェルのスコアは、映画のスラップスティックなユーモアとテキサスの田舎の雰囲気を強調し、特に追跡シーンやコミカルな対決で活気づける。「Wayfaring Stranger」など伝統的なアメリカ民謡も効果的に使用され、物語の奇妙な温かさを引き立てる。全体として、映画のハチャメチャなエネルギーを音で体現した一枚だが、単体ではやや断片的で映画の文脈に依存する印象も。コーエン兄弟のカルト的な魅力と80年代のノリを楽しむサウンドトラック。
### ブラッド・シンプル (Blood Simple, 1984)
「ブラッド・シンプル」のサウンドトラックは、コーエン兄弟のデビュー作であるネオノワール・スリラーを彩るカーター・バーウェルのミニマルで不気味なスコアが中心。フランシス・マクドーマンドとジョン・ゲッツ演じる浮気と裏切りの物語を、ピアノとシンセサイザーによる控えめだが緊張感ある音楽が演出。バーウェルのスコアは、テキサスの田舎町の孤独感と殺人事件の不穏さを強調し、特に「The Watching」のような曲はサスペンスを増幅。フォー・トップスの「It’s the Same Old Song」など、60年代ポップが劇中のバーや車のシーンで皮肉な効果を加える。1999年のディレクターズ・カット版では一部楽曲が差し替えられたが、オリジナル版の雰囲気を保持。全体として、映画の暗くスタイリッシュな世界観を音で深化させた一枚だが、単体ではスコアのミニマリズムがやや単調に感じることも。ノワール愛好家に響くサウンドトラック。