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tetsu8
2023/07/28 10:00

谷啓の「図々しい奴」

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渡辺プロ社長の渡辺晋は、クレージーキャッツのメンバーをバラ売りすることを目論み、植木等は東宝で、ハナ肇は松竹へ、谷啓は東映へ売り込むことを考えていた。東映の岡田茂は、その頃東映にも喜劇路線を導入しようと渥美清を起用したりしていたが、谷啓も面白いと考え、両者の思惑が一致し、起用が決定した。

 

作品は柴田錬三郎原作の図々しい奴に決まった。しかし、これはつい三年前(61年)に松竹で映画化されたものであった。ちなみに主役の戸田切人は杉浦直樹で、津川雅彦(伊勢田直政)、牧紀子(美津枝)、高千穂ひづる(多嘉)、他に東野英治郎、小沢栄太郎、沢村貞子、渥美清などが出演していた。
 

また63年には大映テレビでドラマ化もされ、大部屋俳優だった丸井太郎が切人役に抜擢され、映画で切人だった杉浦直樹が直政役で出演した。他に久我美子(美津枝)、菅原謙次、姿三千子、玉川伊佐男、河野秋武、佐竹明夫らに加え、原作者の柴田も出演した。このテレビ版の主題歌を歌っていたのが谷啓であり、その流れから東映版の「図々しい奴」が企画されたようである。ちなみに、丸井太郎がその後は役に恵まれず、67年に自殺してしまったのは有名な話である。
 

東映版「図々しい奴」は翌64年に公開された。切人役は谷啓で、他ににとって初の主演作となっている。テレビ版で直政役だった杉浦直樹がそのまま直政役で出演。つまり杉浦は松竹版、テレビ版、そして今回の東映版と全てに出演しているわけである。他に佐久間良子(美津枝)、長門裕之、上原ゆかり、中原早苗、南廣、浪花千栄子(多嘉)、根岸明美、西村晃などが出演している。
 

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その五か月後には続・図々しい奴(64年)も公開されている。基本的にスタッフ、キャストは前作と同じで、谷、杉浦、佐久間、長門、上原、中原、南、浪花、根岸らは引き続き同じ役で出演、新たには多々良純、大泉滉、潮健児などが加わっている。また、原作の柴田錬三郎と作家の水上勉が二等兵の役で出演している。

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