フランスを届けるロードムービー 「ボンジュール、アン(Bonjour Anne) 」(2016)
★ Stellaより一言!
フランス映画を中心にご紹介していますが、フランスやパリに因んだアメリカ映画や、食に関連する映画も、少しずつお届けしたいと思います。
●はじめに
以前から知っていたタイトルではあるが、あまり興味をもってみようと思ってなかった作品。フランシス・フォード・コッポラの妻エレノア・コッポラが自らの体験を基に、自身初の長編劇映画として撮り上げた大人のロード・ムービー。主演はダイアン・レイン、共演にアルノー・ヴィアール、アレック・ボールドウィン。アメリカの俳優・女優と、フランスの俳優アルノー・ヴィアールは「メトロで恋して」の監督でもある。
●ストーリー
著名な映画プロデューサー、マイケル・ロックウッドを夫に持つアン。仕事と子育てに追われ、忙しい日々を送ってきたが、その子育ても一段落したいま、人生の転機を迎えようとしていた。そんな中、夫とともにカンヌ国際映画祭にやって来た彼女は、その後のバカンスを楽しみにしていたが、マイケルは急な仕事でブダペストへ飛ぶことに。耳の具合がよくないアンは飛行機を諦め、車でパリに戻るマイケルの仕事仲間ジャック・クレマンに同乗させてもらうことに。7時間もあれば到着するはずの道のりが、人生を楽しむ術を知り尽くしたフランス男が真っ直ぐ帰るわけもなく、アンはジャックの気ままな寄り道旅に付き合わされるハメになってしまうが…。
●引用される音楽
組み合わせには一貫性がないが、取り合えずフランスのシャンソンやクラシックの名曲が選ばれ、バックミュージックになっている。
⓵Que reste-t-il de nos amours?(残されし恋には?)
ジャジーな人気歌手のシャルル・トレネの名曲の一つで、私のレパートリーの1曲でもあるが、ジャックが車を運転しながら歌い、カジュアルな1曲として引用された。フランソワ・トリュフォーのドワネル・シリーズの「夜霧の恋人たち」でも冒頭から歌われている。
②Je te veux
サティの有名曲。ピアノ演奏がドライブ中に流れてくる。幸せな気分になる名曲といえる。
③シシリアーニ
フォーレの名曲の一つ。エンドロールでは紹介されていないが、ドライブ中に流れてくる。
●●感想!
★リヨンのレストランが登場したり、ワインや食通の男性のうんちくを聴けるので面白いのだが、グルメ・ガイド番組ではないので、ほどほど感も必要かと思った。
★プロバンスには立ち寄ったことがあるので興味深く、セザンヌの「サントビクトワール山」のある風景を観て旅する。途中、エンストをお越して立ち寄る人里はなれた場所で、マネの「草上の昼食」の絵画が引用され、夜はレストランで軽くダンスをするが、ルノワールの「ブージヴァルのダンス」が引用される。フランスの名画が紹介され、ガイド番組としてもたっぷり感はある。
★友人の経営するバラ園から、大量のバラ等の花束がアンに届けられるが、ちょっとキザかと思う。熟年の大人の恋愛にはよいのかも知れないが、グルメもライト志向になっている現代としては、全般、時代とはアンマッチな気がした。
★フランスを代表する、グルメ、音楽、そして絵画等が紹介され、ある意味、おなか一杯になった。
★★最後に、フランス人の男性と、アメリカ人の女性は、そもそも、食やアートへの感性は似ていても、拘り方が違うのではないかと感じた。
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投稿を表示DISCASでのレビューにも書きましたが、
フランス男のほうはフランス料理、美術や旅の風景などを小道具に口説こうとしますが、
主人公はアメリカ文化しか知らない人間じゃなくて、夫の日本料理のグチに始まりナイトウエアとしてのきもの、数独、俳句と日本文化になじんでる。
国際人でフランス文化にコンプレックスなく、男の魂胆見透かして相手しているのがおもしろい。
エレノア・コッポラ自身一家で何回も日本に来ている知日派で石岡瑛子とは親友だし、夫もオペラから料理までイタリア文化に造詣が深く、ワインまで作ってる。
ダイアン・レインはブレイクした『 リトル・ロマンス 』でパリからベネチアに来ているのが本作では逆になってるのが興味深いです。
あさイチでのインタビューで「 フランス人男性との結婚( クリストファー・ランバート )がどういうものか知っています (笑)」と答えてました。
大人の女性の余裕を感じさせる、いい意味でのプライベート・ムービーでした。
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