昨年のコンサートの楽曲 映画「ロバと王女(Peau d'Âne)」など<ご紹介>
■はじめに
昨年5月に、プロの声楽家をいれて5名で演奏したコンサート“♪サロン・フランセVol.1”では、
10の映画に登場する曲を、サティやラヴェルのピアノ演奏と、フランス語のシャンソンや歌曲の歌唱でお届けした。
その中で、私が演奏(歌唱)した4曲のうち、関連の映画「ロバと王女」(1970)と1曲をご紹介する。
■「ロバと王女(Peau d'Âne)」(1970)
フランスのミュージカル映画で、監督はジャック・ドゥミ、出演はカトリーヌ・ドヌーブとジャン・マレーなど、音楽はミシェル・ルグラン。
ジャック・ドゥミとミシェル・ルグランのコンビのミュージカル映画の中では、「シェルブールの雨傘」や「ロシュフォールの恋人達」に比べると、日本ではあまり知られてない。
娘である王女との結婚を望んだ王の物語であるシャルル・ペロー作の童話『ロバの皮』を原作とする。フランス国内の観客動員数は約220万人にのぼり、J.ドゥミ最大のヒット作となった。
■楽曲「愛のケーキのレシピ」の概要
後に「ニュー・シネマ・パラダイス」のトトの中年期の役を演じたジャック・ペランが、本作の王子役で、王女のドヌーブは、王子のために、愛のケーキのレシピを作る。ルグランの曲は楽しいのだが、歌詞がケーキ作りのレシピになっているので、暗譜はあきらめ、歌詞を見て歌った。コンサートでは、以下の様なケーキ作りの単語を参考資料でご紹介した。★歌詞の中で、卵を2週間置いておくと、ひよこになるよというところで、YouTubeでも、ひよこが登場する部分がありウィットがある。
ジャック・ペランは、「ロシュフォールの恋人達」でもドヌーブの恋人役だったですね。
★ それ以外のフランス、米英の映画からピックアップして、以下にご紹介する。 ■パリの空の下セーヌは流れる(1951年) アコーディオン伴奏が似合う、有名なタイトル曲だが、この作品は最後に痛ましい殺人事件となってしまう(ネタバレ)のが切ない。 ■赤い風車(1952年):アンコールで全員で歌う。 画家T.ロートレックの人生を描いた米英映画。G.オーリックの音楽で「ムーランルージュの歌」は有名曲で、よく取り上げられている。映画では英語の詩で歌われている。 ■鬼火(1963年)やショコラ(2000年) ルイ・マル監督作品の「鬼火」の主演のモーリス・ロネは当時のイケメン系の男優の一人の様。この男優について言えば、「鬼火」は自死だが、なぜか「死刑台のエレベーター」、「太陽がいっぱい」でも殺人との関係が深い。エリック・サティのアンニュイな2曲が、退廃的な映画のイメージに合っている。 「ショコラ」の方でもサティが使われているが、ジョニー・デップの「マイナースイング」の曲の方がサントラ盤にも取り入れられ、目立っている。 [*ルイ・マル監督の作品では、「死刑台のエレベーター」も、マイルス・デイビスの音楽と、アンニュイなジャンヌ・モローの存在で、作品が引き締まっている様に思う。] ■夜霧の恋人達(1968年) F.トリュフォー作品の中でも、大ヒットの「大人はわかってくれない」で始まるアントワ―ヌ・ドワネルシリーズの中では中盤の作品。タバール夫人役のデルフィーヌ・セイリグの出演によって、華やかさが出ている貴重な作品。音楽は、シャルル・トレネのシャンソン「残されし恋には(I wish you love)」が冒頭から流れてくる。 ■主婦マリーがしたこと(1988年) 当時は違法とされていたが隣の奥さんの堕胎を手伝った主婦マリー(イザベル・ユペール)は裕福になるが、夫の密告によって絞首刑になるというえぐい作品。C.シャブロルらしい辛口な作品の一つ。歌うことが好きだったマリーがレッスンで、E.ショーソン「リラの咲くころ」を歌うシーンを発見した。(*難しい歌曲だけど、この歌唱は気に入っている。) [*夫役のF.クリュゼは「最強の二人」で知られるが、同じシャブロルの作品「愛の地獄」も、なかなか良かった。主演・助演にかかわらず、一度観た俳優や女優の他の作品を観て楽しむのも、映画狂にとっての醍醐味といえる。] ■エディット・ピアフ~愛の讃歌~(2007年) シャネル等と同様に、伝記ものでもあり今世紀のフランス映画の代表作だと思う。 当然ピアフの曲は沢山使用されているが、主演のマリオン・コティヤールもシャンソンが好きな人の様。 |