『心の旅路』(Random Harvest)
『心の旅路』(原題:Random Harvest)を先日鑑賞しました。この映画は1942年戦時中にアメリカで公開された映画です。日本での公開は1947年。この映画の原作は1941年の小説『心の旅路』(ジェームズ・ヒルトン著)を元にされているそうです。
ネタバレ少し入りますがあらすじです。
舞台は第一次世界大戦末期の1918年頃、イギリスの陸軍軍人(ロナルド・コールマン)は戦時中の出来事等による後遺症で記憶喪失・言語がうまく話せなくなり、イギリスにある精神療養所に入所している。軍服に見を包んだ彼は、ちょうど戦争が終わった時に療養所を抜け出して街を彷徨う。途中タバコ屋によるが彼の様子を見た女主人が療養所を脱走した者だと分かると通報しようとする。その場に偶然居合わせたポーラという踊り子(グリア・ガースン)はそれを彼に教えて脱走を助ける。行く場のない彼に同情したポーラは自分の踊り子の舞台まで連れて行き、「戦争は終わったのよ!楽しもう!」などど励ます。そして次第に彼らは惹かれ合っていき、軍人(記憶喪失なのでスミスと名付けられる)とポーラは結婚をしてリバプール郊外の花が咲いていて小川もある素敵な家に引っ越し子どもを産む。スミシィとポーラはとても仲が良く、スミシィも次第にスムーズに話せるようになり作家の道を目指しはじめ、とうとうリバプールの新聞社から採用の連絡が入る。その打ち合わのために新聞社に出かけたスミシィは途中で交通事故にあってしまう。そして目覚めた時には、ポーラと過ごした約3年の記憶がすっかり消えてしまい、前に住んでいた自宅へ「チャールズ」として戻っていく。
スミシィが突然消えてしまったポーラは心身を崩して子も亡くなってしまう…
チャールズは父の事業を引き継ぎ大成していくが、それを知ったポーラは名前を変えて、彼の秘書として働くことになった。ただ記憶は取り戻さないし、チャールズは自分の姪(義理)と結婚しようとしてしまう…
大体のあらすじはこんな感じです。
ポーラが愛したスミシィは、再開しても思い出さない。そして人への愛を3年間の記憶喪失とともに失ってしまっているよう。同じ人間であっても愛した人でないことを感じながら、それでも健気に仕事を支えていくポーラ(名前を変えた後はミス・ハドソン)が本当に健気で…
また、演じているグリア・ガースンも美しすぎる女優さんでした。
義理の姪はチャールズを幼い頃から慕っており、彼を純粋に愛して婚約まで行くのですが、チャールズの目は本当は自分を見ておらず、思い出せない誰かを深く愛していることを悟っていくのです。
チャールズ(スミシィ)は紳士的な人で人から好かれる理由もわかりますが、自分よがりにも見えました。だけど戦争による後遺症などその当時ならでは深い傷が彼の記憶をそのようにしていたのかもです。私はポーラに感情移入をしながら見ていたので、彼に全てを伝えたいけどそれをすることで愛した「彼」が戻る訳でもなく、自分がむなしくなり彼を縛るだけだと分かって、ずっと仕事のパートナーとして支えるのです。あんなに表情豊かで多幸感のあったポーラは、ミス・ハドソンの時は表情を鉄壁にして彼・会社を支えます。スミシィや子を失った悲しみを持ちながら踊り子ではなく速記の勉強などをして秘書になったのです。
チャールズが議員になる時に求婚され受け入れますが、それは「愛」がある結婚とは言えず、前の結婚とは違うのです。同じ人であっても。彼への愛はあっても。
愛していたのは、「スミシィ」だから。
ただこの映画は最後はとってもとってもハッピーな結末を迎えます。
奇蹟を描いた物語に思います。
そしてその人を愛し続けて健気に支えて待っていたポーラがそれを起こしたのだと思います。
この映画の舞台は第一次世界大戦末期からその後のイギリス、そして映画の公開は第二次世界大戦中。このようなことがもしかしたら実際にも起こったのかもしれません。
また主演の2人の演じ分けがとても見事でした。
ロナルド・コールマンは日本でも人気がありコールマンの口ひげはトレードマークとなり、日本では「コールマンひげ」と呼ばれていたそうです。グリア・ガースンは「心の旅路」と同じ年に公開された「ミニヴァー夫人」でアカデミー主演女優賞を取ったようです。
どちらも素敵な俳優さんたちでした。
この映画は記憶喪失ものですが、この映画は凄く凄く心に響きました。
人を愛することの大切さを凄く感じました。
心があったかくなる映画でした(o^^o)
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投稿を表示ご無沙汰しております。さっちゃんです。
本作は昔、DISCASさんでやっている映画会(会員の人数は最大時7人、現在ではオヤジ3人)でお題になりました。
メロドラマなんですけど原作がジェームズ・ヒルトンで脚本、演出、俳優陣すべてがしっかりしているので観ていておかしいところはありません。ただ、現在の観客にとってポーラの忍耐と献身がどこまで理解できるかという点は心配ですが。
モノクロの画面と相まってしっとりした心の動きにひたれる名作だと思います。
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投稿を表示しっかり作ってある映画は何十年前の物でも、いいですね。いわゆる名画ですね。最近は歳を取ったせいが、10代の頃に見た映画で、思い出に残っている映画をDISCASで借りて観ています。
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投稿を表示この映画はもう60年近く前にテレビで見て以来、何度も見ています。昔もお昼にテレビで白黒の外国映画を流していました。早めに学校から帰ると映画を観たものです。母親と一緒にこの映画を観た記憶があります。先週も数年ぶり見ました。記憶喪失映画の決定版です。古い映画ですが、お奨めです。