海がきこえる~高知県出身者から観たコラム~
先日約30年ぶりにリバイバル上映を期間限定でしている、ジブリ作品の『海がきこえる』を劇場で観てきました。この映画を観るのは2回目で劇場では初めてでした。
この作品は私にとって、とっても思い出深い作品なのです。
なぜなら私は高知県出身だからです。しかも映画で出てくる高知の風景は私が高校生まで過ごしていた高知市内がリアルに表れています。余談ですが私の実家から徒歩15分ぐらいのところが高知城だったり帯屋町だったりします。なのでこの作品は高知県民にとってノスタルジックでもあり、かつ故郷に想いを馳せられる本当に胸がキュッとなる作品なのです。
この映画が公開されたのは1993年。平成前半の空気間が作品全体に漂っています。
もちろんスマホや携帯はありません。物語は高知の高校(恐らくモデルは実在する高知の大手前高校です)に東京から武藤という美人の女の子が転校してくるところから始まります。
主人公の杜崎くんは高知で生まれ育った男の子。もちろん土佐弁バリバリ。親友はクラス委員をしている松尾くん。眼鏡男子でとても良いやつです。
武藤さんは都会の女の子ですが、家庭の事情で母親の実家がある高知に転校してきたのです。もちろん標準語。だからクラスや同級生とはなじめず、また彼女の性格も相まってクラスで浮いた存在になっていきます。ただ勉強もスポーツもできる美人なのでまぁ目立つ。
松尾君はそんな武藤さんに惹かれていきます。
ある日ハワイに修学旅行へ行ったときに武藤さんは杜崎くんに「お金を落としたから貸して」といきなり言ってきます。いいやつの杜崎くんはお金を貸してあげます。そこからこの二人の因縁というか物語が動き始めます。
武藤さんは両親が離婚して父親が東京に暮らしています。ある日ひょんなことから武藤さんに付き添ってあげて杜崎くんは東京に行ってあげるのです。そこでもまた物語が動きます。
このお話は高2・高3そして大学に入って少ししたところまでを描いています。
最後、同窓会をする場面で、よさこいや文化祭に参加しない武藤さんを一度詰めていた女子が、「この前偶然武藤さんにおうたよ。なんや高校の頃は嫌いやったけど、再会したらなんかなつかしゅうてなぁ。久しぶり~!って言うて話したんよ。あの頃はほんまに世界が狭かったんやなぁ」と、同窓会で杜崎くんや松尾君に話すのです。「まぁ、武藤さんも世界狭かったからおあいこやな」とオチをつけて。
そして武藤さんと高校時代仲が良かったゆみちゃんは、「りかこ言うとったよ、東京に会いたい人がおるって。お風呂で寝る人やって言うとった。」と。
そして最後は…
エンドロールに原作の絵が流れつつ、透明感のある歌声が流れます。
とてもノスタルジックでこの時代の若者のリアルが表れつつ、自分の10代や大学時代の青春を思い出して、最後は涙が出てきました。
私は元々が土佐弁なので、言葉や風景全てが懐かしくそして自分の心に染みわたりました。
この映画を始めてDVDで観たときも感動したけど、まさか映画館で観れると思っていなかったので、本当に本当にうれしかったです。
実家に帰省するときにつかう高知空港のロビーは今とあまり変わっていません。というか高知の風景、お城だったり鏡川やはりまや橋、海の風景は30年経ってもあまり変わってないように思います。
だけど東京はこの30年で風景が変わったのではないでしょうか。これも対比ですね。
私は田舎育ちで今も両親が高知で暮らしていますが、自分が高知県出身なことがこの年になって凄く良かったなと思います。この映画は青春を平成で過ごして人にはとても刺さるのではないでしょうか。色々な人に観てもらいたい作品です。
リバイバル上映をしてくれて本当にありがとうございます。
残りあと少しの期間のようですが、行けたらまた行きたいなと思います。
☆海がきこえる リバイバル上映について
https://filmaga.filmarks.com/articles/325027/
☆レンタルはこちら
https://movie-tsutaya.tsite.jp/netdvd/dvd/goodsDetail.do?titleID=0080687056