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Nami
2023/04/26 15:59

映画『Village/ヴィレッジ』”同調圧力”と”嫉妬”の壁

(c)2023「ヴィレッジ」製作委員会

村”という閉ざされた世界を舞台に、現代社会の闇を写した異色のサスペンス・エンタテインメント映画『Village/ヴィレッジ』が現在公開中。本作は、日本アカデミー賞最優秀監督賞を受賞した藤井道人×映画『流浪の月』で日本アカデミー賞優秀助演男優賞を受賞した横浜流星×数々の衝撃作を世に送り続ける映画会社・スターサンズと、日本映画界を激震させる逸材が集結しました。

公開翌日の4月22日(土)、キャストや監督、プロデューサーが登壇した公開記念舞台挨拶に参加してきました!ということで今回は、映画『Village/ヴィレッジ』のあらすじ&考察レビューをご紹介します!


映画『Village/ヴィレッジ』あらすじ

(c)2023「ヴィレッジ」製作委員会

夜霧が幻想的な、とある日本の集落・霞門村。神秘的な「薪能」の儀式が行われている近くの山には、巨大なゴミの最終処分場がそびえ立つ。幼い頃より、霞門村に住む片山優は、美しい村にとって異彩を放つこの施設で働いているが、母親が抱えた借金の支払いに追われ希望のない日々を送っている。かつて父親がこの村で起こした事件の汚名を背負い、その罪を肩代わりするようにして生きてきた優には、人生の選択肢などなかった。そんなある日、幼馴染の美咲が東京から戻ったことをきっかけに物語は大きく動き出す。(引用:映画『ヴィレッジ』公式サイト)


息が詰まるほど窮屈な村が映し出す”同調圧力”の壁

(c)2023「ヴィレッジ」製作委員会

生ぬるい世界観が心地悪くて、息苦しくて、ずっと霧がかかったような晴れない気分で映画を見終えました。ある架空の村の、架空の物語なのに、現実社会でも感じる感情がいくつもあって完全なフィクションとは線引きできず、でもどこか惹かれる。この感情がぐしゃぐしゃする感覚、以前に同監督の映画『ヤクザと家族 The Family』でも味わいました。さすが藤井道人監督です。

本作で描かれる”同調圧力”という世界。あるコミュニティに属した瞬間から始まる自分と他人の境界線を消さなければならない異様な空気。話し合いの場で周りと違う意見が言いづらい。仲間の誘いを断れない。こういったプレッシャーを感じる場面が社会には沢山あります。協調性という名に化けた同調圧力に疲れ果てている人は、世の中に沢山いるのではないでしょうか。

(c)2023「ヴィレッジ」製作委員会

本作の舞台である霞門村は、息が詰まるほど窮屈で”生きづらい世界”を象徴したような集落です。犯罪者を父に持つ主人公・優は、村に住む人々から冷めたい視線や陰口を言われ、職場ではモラハラやアルハラを受けるなど、村全体から孤立した存在とされます。彼を責めるつもりがない人も、手を差し伸べるようなことはせず、ただただ傍観しているだけです。そのような状況でもしも彼を目の前にしたとき、自分だったらどのような行動を取るのか。自分は村を敵に回してまで、彼の味方になろうと行動できるのか。そのような行動ができたら良いですが、実際はなかなか難しいと思います。それも”村”という一つの社会の中では。たとえ自分の中の正義があったとしても同調圧力に負けて捻じ曲げてしまうかもしれないと思うとゾッとします。自分の信念を持ち続けることの難しさ、覚悟の大きさなど人生で直面する様々な葛藤と重ねて見ると新たな気づきがあるかもしれません。


感情を掻き乱す要因・透くんの嫉妬心

(c)2023「ヴィレッジ」製作委員会

おそらく鑑賞した多くの人が怒りを覚えたであろう透くん。一ノ瀬ワタルさんのリアルすぎるお芝居のおかげで、鑑賞中に怒り呆れのため息をつきたくなってしまうほどのクズさでした。でも、完全には否定できない存在でもあったように思います。透くんのクズが加速した原因である”嫉妬”という感情。透くんは限度を超えてしまいましたが、嫉妬という感情は人間生きていれば誰しも抱える感情だと思います。”隣の芝生は青い”という言葉があるように、自分のものより他人のものの方が良く見える心理というのはごく普通にあることだと思います。大切なのは、嫉妬という感情に直面した時に自分の原動力にできるかどうかだと思います。透くんは、隣の芝生が青く見えるから自分の芝生を青くするのではなく、隣の芝生を腐らせようとしたところが良くなかった。もしも自分の芝生を青くするために努力したら、彼はどんな大人に変わっていたのかな。透くんは結果的にはクズですが、彼の全てを否定することはできない感情を掻き乱される存在でした。


横浜流星と作間龍斗の繊細な芝居

(c)2023「ヴィレッジ」製作委員会

最後に、俳優さんについて触れたいです!というのも本作の大きな見どころの一つは、横浜流星さんの闇堕ちした演技といっても過言ではありません。ドラマ『初めて恋をした日に読む話』の無敵ピンクで世の女性をメロメロにさせていた人と、無精髭で髪もボサボサ、輝きのかけらもない役でスクリーンに写っている人は本当に同一人物ですか!?と疑うほど、今まで見たことがない横浜流星さんでした。とにかく目のお芝居が繊細なんです。終始全く光のない目、たまに見せる切なくて悲しい目、怒りの目、喜びの奥にある怯えた目、同調圧力の片隅でなるべく存在を消して生きていたからこそ表情には出せない心情が目だけでビンビン伝わってきました。特にラストの何を思っているのか理解はできないけれど何か凄く訴えかけてくるような”目”のお芝居には震えました。イケメン俳優から実力派俳優へ一皮も二皮も剥けた横浜流星さんのお芝居をぜひ、スクリーンでご覧いただきだいです。

(c)2023「ヴィレッジ」製作委員会

そして本作でもう一方衝撃を受けた俳優さんがいます。それが、黒木華さん演じる美咲の弟・恵一役の作間龍斗さんです。本作では吃音のある青年を演じており、セリフはあまりないものの声の震えや表情の動きがリアルでとても印象に残る素敵なお芝居をされていました。恥ずかしながら作間さんのことは本作で初めて知ったのですが、何に衝撃を受けたかというとまさかのHiHi JetsというジャニーズJr.の方だったということです。エンドロールにもジャニーズという明記はなく、ブレイク前の若手俳優さんかと思っていたのでかなり衝撃でした。作間さんに限らず、最近のジャニーズさんってお芝居上手い人多いですよね!歌やダンスなどで鍛えたリズム感や芸術感性が、セリフの間や細かな表現に繋がっているような気がします。作間龍斗さんがジャニーズをされている姿はまだ拝見していませんが、アイドルとしても俳優としても今後がとても楽しみになりました。


映画『 Village/ヴィレッジ』

公開日:2023年4月21日(金)

配給:KADOKAWA

監督:藤井道人

出演:横浜流星、黒木華、一ノ瀬ワタル、奥平大兼、作間龍斗、古田新太、中村獅童


ということで今回は、映画『 Village/ヴィレッジ』を紹介しました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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Nami

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