細田守 と 宮崎駿
( 配慮してるつもりですが、作品に詳細に触れるのであなたにとってネタばれかもしれないし、敬称略です。)
細田守。
新海誠とともに、否応なしに内外から日本のアニメ制作を牽引する” ポスト宮崎駿 “の役回りを期待される存在と思います。
実際、制作会社スタジオ地図は日本テレビ放送網と提携関係にある。
細田守と宮崎駿とは因縁浅からず。
スタジオジブリの就職面接を受け最終選考まで残りながら、宮崎駿から才能を認めた上で直筆の不採用通知を受け取る。
東映動画に入社。
スタジオジブリから『 ハウルの動く城 』の監督に招致され出向。
ロケハンも行い、製作発表まで行われたが、制作は頓挫し降板。
その後紆余曲折を経て、フリーとなり『 時をかける少女 』以降、評価と興行成績ともに快進撃が続く。
そうした事情から、ぼくは細田守作品を観る時、宮崎駿作品と対比して考えてしまいます。
こじつけ、考え過ぎとは思いますが・・・・。(笑)
たとえば『 となりのトトロ 』は姉妹が父親と田舎暮らしを始めるが『 おおかみこどもの雨と雪 』では姉弟が母親と田舎暮らしを始める。


母親の花が「 何が自然だ。 今日植えて、明日育つわけがないだろう 」と言われるシーンには笑ってしまった。 サツキとメイは一晩で木々が育つのに出会うから。
その台詞を言うのは『 千と千尋の神隠し 』で釜爺を演じた菅原文太。


細田守作品と言えば、
現実の生活で閉塞感、無力感を抱いている主人公が別の世界( ネット空間、超時空空間など )と出会い、自由な全能感をひと時味わうが、そこでも困難に遭遇。
トラブルを解決し元の現実世界に戻るが、愛する人、大切な人は別の世界にいて別れることになってしまう。
しかし別れても互いの心は通じている・・・・といったところでしょうか。
『 おおかみこどもの雨と雪 』は全能感の『 となりのトトロ 』とはそこが違います。
さて、現在公開中の『 果てしなきスカーレット 』
すばらしい。

「 果てしなきスカーレット」Ⓒ2025 スタジオ地図
これまでのファミリー向けの作風とは違い、宮崎駿作品では『 もののけ姫 』に相当する作品。
まさかの「 ハムレット 」をモチーフをしていて、
復讐に燃えるスカーレットと彼女を救おうとする聖は、サンとアシタカに対応してると感じます。
「 生きるとは 」「 死ぬとは 」「 魂とは 」「 人間とは 」を
壮大なスケールのある映像美で魅せている。
アカデミー長編アニメ賞やアニー賞に推せるだけのクオリティがある。
細田守監督 ワンステップ上がりましたね。
断言しますが、大傑作です。
金曜ロードショーを待たず、大スクリーンの劇場で観るべし。