cine-ma
2025/12/29 11:24
2025年に観た映画(59) 「兄を持ち運べるサイズに」

上映最終日に駆け込みで観賞。危ないところでした。
「琥珀色のキラキラ」「チチを撮りに」に始まり、中野監督作品はタイトルのネーミングセンスが抜群。今回も思わずクスリ、ニヤリとしてしまいます。原作物の映画化が続いていますが、どの作品も一貫して家族と近親者の死がモチーフとなっている。最近の2作品においては、そこに3.11が落とした陰が加わってもいます。
母は長男を、父は長女を贔屓するものだと(私の経験値として)認識していますが、この兄と妹が育った一家もそんな感じらしい。「こんな兄貴は嫌だ」の代表格のようなろくでなしの兄に長年鬱屈した感情を抱いてきた妹の理子(柴咲コウ)が、兄へのわだかまりを氷解させるまでの寛容の旅(大袈裟?)を描いた本作。
ある家族を題材に、他者との関係性や向き合い方を“非オーソドックス”に語り掛けてくる手法が、映画の中のお伽噺でもあり寓話的でもあるのが中野作品。今回は「家族とは?」というテーゼに直接的に向き合いながら、理子が「かつての家族」を肯定し、「今の家族」をより愛すべき存在として見つめ直す機会を得たことで、観客もシアワセのお裾分けに与る。
どんな家族に対しても性善説を唱えているかのような優しい眼差しを絶やさない中野監督の流儀に、最後はやっぱり泣かされてしまいました。
№58
日付:2025/12/18
タイトル:兄を持ち運べるサイズに
監督・脚本:中野量太
劇場名:小田原コロナシネマワールド SCREEN5
パンフレット:あり(¥990)
評価:6

(c)2025「兄を持ち運べるサイズに」製作委員会





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