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2025/01/14 10:11

「現実的に夫婦の物語の中で起き得るもの」単独取材『嗤う蟲』後篇

映画『ビリーバーズ』や『女子高生に殺されたい』の監督を務めた城定秀夫監督と、映画『愛がなんだ』や連続テレビ小説「まんぷく」に出演した乃木坂46の元メンバーで本作『嗤う蟲』主演の深川麻衣にタイトルに隠された意味や大変だったエピソードを聞いた—


(c)2024映画「嗤う蟲」製作委員会

はじめ:耳に残るワード“ありがっさま”は本作の代表セリフですが、このワードをチョイスした経緯は?
城定:三河弁をベースにした言葉です。この作品のエンタメ的要素として“合言葉”のようになれば良いなと思います。

はじめ:「#ありがっさま」が想像できました。また、本作のキッカケとなったのは“村八分事件”なのか、また別のものがあるのでしょうか?
城定:台本に関してはいろいろと変遷があり、実は最初のタイトルは『村八分』でした。実際にあった村八分事件を当時は取り入れていこうという方針でしたが、若い夫婦の移住物語になっている手前、「逃げればいいじゃん」みたいな部分に直面してしまい、結果として、物語は“とんでもない目に遭う夫婦の悲劇”という方向よりも、“現実的に夫婦の物語の中で起き得るもの”という方向にシフトしていきました。夫婦の関係が壊れてく様を、外的要因より内側からジワジワ腐って壊れていくような作りになりました。

(c)2024映画「嗤う蟲」製作委員会

はじめ:タイトルのこだわりも感じていて、「嗤」という漢字は“嘲け笑う”意味も持ちつつ、「蟲」もあえて“虫”ではない。全部で4つも“虫”という感じが組み込まれていて、群がる・複数が寄って集る(蝕む)イメージも納得でき、個人的に素晴らしいネーミングセンスだと感じました。

城定:ありがとうございます。プロデューサー含め、集まって会議して、決めなきゃいけないギリギリのタイミングで決まりました。

はじめ:深川さんに伺います。ラストのシーンなど大掛かりなシーンも印象的でしたが、撮影の中で大変だったエピソードがあればお聞かせください。
深川:ラストシーンは非常に寒い時期だったにも関わらず、エキストラさんも沢山集まっていただき、寒さをしのぎながら撮影したのを覚えています。大勢の人の中を走って逃げるシーンがあるのですが、みなさん全員が予想できない動き方をします。私も決まった型というより本当に人の波をかき分けたり、逃げるために必死でした。何テイクか撮影しましたが、その“ライブ感”があの緊迫したシーンとマッチしていると思います。みなさんのおかげで迫力のあるシーンになっています。あと、今回ワンカット撮影を多用しているので、感情を強く表に出すような長いシーンの時は特に緊張感がありました。出演者・スタッフ全員で本番に向けて丁寧に動きを確認しつつ、撮影したときの緊張感も記憶に残っています。


 

(c)2024映画「嗤う蟲」製作委員会

映画『嗤う蟲』
~あらすじ~

田舎暮らしに憧れるイラストレーターの杏奈(深川麻衣)は、脱サラした夫・輝道(若葉竜也)と共に都会を離れ、麻宮村に移住する。麻宮村の村民たちは、自治会長の田久保(田口トモロヲ)のことを過剰なまでに信奉していた。二人は、村民たちの度を越えたおせっかいに辟易しながらも新天地でのスローライフを満喫する。そんな生活のなかで杏奈は、麻宮村の村民のなかには田久保を畏怖する者たちがいる、と不信感を抱くようになっていく。一方、輝道は田久保の仕事を手伝うことになり、麻宮村の隠された<掟>を知ってしまう。それでも村八分にされないように、家族のため<掟>に身を捧げることに……。
2025年01月24日(金)公開[PG12]
上映時間:99分 / 製作:2024年(日本) / 配給:ショウゲート
(C)2024 映画「嗤う蟲」製作委員会

■監督
城定秀夫
■脚本
内藤瑛亮、城定秀夫
■出演者
深川麻衣
若葉竜也
松浦祐也
片岡礼子
中山功太
杉田かおる
田口トモロヲ
■音楽
ゲイリー芦屋
■ヘアメイク
吉田真佐美
■スタイリング
山口香穂
■公式サイト
https://waraumushi.jp/

■本予告

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