人はそんなに簡単に死なない

この台詞が喧嘩三昧ホルモン過多の中学生たちと、最後の刹那の命と重なり、ただの喧嘩漢祭りにならずに済んでいる。2009年公開。

いわゆるヤンキー漫画の映画化。原作者が芸人品川祐で主役もご本人。おしゃクソ野郎が芸人を経て、この作品のメガホンをとっている。実は多才だ。だから出演する芸人さんも沢山いるし、漫才やコント師達はまさに芸達者でお芝居がとても上手。その為、随所に笑いが散りばめられ、更には間の取り方も上手い。脚本も監督自ら書いているので間違いない。

【ストーリー】

私立中学に通うヒロシ（成宮寛貴）は、ヤンキーに憧れて、わざわざ公立へ転校する。

初日から喧嘩。

ただ面白いのが、憧れてるけど喧嘩が強かったり、喧嘩に狂ってる訳じゃない。どっちかといえば、口が達者で丸く収めたいタイプ。

でも、転校した狛江北中学校にいたヤンキー、達也（水嶋ヒロ）はその狂犬ぶりが凄い。

『喧嘩するのに理由なんか必要か？』

個人的には絶対に必要です、はい。ですが、彼は言葉よりも拳なんです。

達也の他に森木（浪岡一喜）ルパン（綾部祐二）ワン公（若槻徹）がいて、まんまと喧嘩して仲間に入りました。この辺は、本当男の子らしいなぁと思いましたね。女子には絶対にありません。喧嘩したら一生許しませんからね。

【ヤンキーの喧嘩シーン】

ちなみにこの映画、10分に一回は喧嘩している。その喧嘩のシーンを見ていると、殴り合うって我慢強くて打たれ強いし、そこに生まれ持っての体幹の強さがあると思います。プロレスもそうだけど、ある種喧嘩も映像で見せる場合は、ショータイムとして華がないといけませんね。

【絶妙な台詞運びとテンポ】

達也とヒロシとの掛け合いは、品庄の漫才みたいなテンポと言葉選びで見ていても楽しいです。

達也の自宅には元ヤクザの親父がいるのですが、なんと遠藤憲一さん！親子喧嘩を相手の子達蹴りながらとか笑える要素も盛り沢山。

おまけに騒ぎを聞きつけて到着した刑事は哀川翔、とベテランの登場も嬉しい。しかも、この2人もずーっと『ばかやろ、このやろ』って言ってるし笑

【仲間と友情】

喧嘩ばっかりしてる狛江北中のメンバーに、もちろん喧嘩を売ってくる奴らもいる。［鬼兵隊］という族の加藤（レイザーラモンHGこと住谷正樹）と赤城（増田 修一朗）。しかもクリスマスから年明けまで、毎日お互い喧嘩していたら、それは嫌い嫌いも好きの内。いつしか一緒につるむ様になります。ところがこれ族からしたら面白くない訳で。抜けたいなら達也達を連れてこいと、赤城を人質にします。そんな事聞かされたら黙っていられないのが、ヤンキー魂。

しかし、高校を初日で退学になったヒロシは、お姉ちゃん（中越典子）の彼氏ヒデ（上地雄輔）に仕事を紹介され、仕事初日だったのです。そこで仕事よりも喧嘩を優先させてしまうヒロシ。しかもお姉さんをぶってしまい、それを咎めるヒデにも酷い事を言ってしまいます。

【ここがポイント】

ここまでは、正直ただの喧嘩三昧の中坊たちの話だったのですが、お姉さんの彼氏ヒデが仕事中に高い所から落ちて意識不明となります。

この時、クソガキだったヒロシが大人になる瞬間が訪れます。

財布のシーンは、もぅあんな事されたら目眩するわぁ。後悔しまくりのヒロシでしょうが、それが彼を自立への道へ押し上げます。

正に大人の階段登った代償は大きかった。きっと人は簡単に死なない、訳もなく。しっかりと地に足を付けたヒロシの成長物語なのです。

【アツいぞ、ヤンキー映画】

独断と偏見！私が選ぶヤンキー映画たち

◎東京リベンジャーズ

これはもう最近のヤンキー映画No.１でしょ！男の子だけでなく、若い女子もおばさまも。皆が観ているのも凄い。
 

◎ごくせん

ドラマシリーズも3シリーズ続き、更には映画版も出たという、大人気シリーズ。時のイケメン俳優達が揃って出ているのも嬉しい。
ちょっとだけヤンクミの物真似した事あります。

◎ホットロード

女子なら絶対読んでた漫画！（作:紡木たく）これも映画化されてます。

【なんと続編が待ってます】

11月17日からは、この後日談『OUT』が公開されるのです！しかも、品川祐監督のリアル友達である、井口達也さんが原作。この名前でピンときますよね？そうです"狂犬"達也のモデルとなったのが、この井口達也さん。

今回の新作は、達也が年少あの狂犬達也に喧嘩を我慢させる事が本当に出来るのか？逆に喧嘩しないでどうやって魅せてくれるんでしょう。進化したヤンキーアクション映画、早く観たい！

キャストはアイドルグループJO1から与那城、大平、金城さんが登場。私はそこにシソンヌのじろうさんと千鳥の大吾さん、この芸人さんに注目です。と言いながらも、この芸人さんと絡む場面が1番の楽しみなんです。必ず素晴らしいケミストリーを起こしているはず！じろうさんは今回、嫌な奴の役らしく演技力を存分に発揮しているのでは？と期待してます。