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カッツ
2025/12/22 13:14

座頭市物語

1962年/監督:三隅研次

1962年公開の『座頭市物語』は、勝新太郎の当たり役として知られる座頭市シリーズの記念すべき第一作であり、シリーズ中でも最も“座頭市らしさ”が凝縮された作品だと感じる。

盲目であることからヤクザたちに蔑まれ、侮られる座頭市。しかし彼は居合斬りの達人であり、圧倒的な技で相手をなぎ倒していく。その弱者としての立場と、剣の腕前とのギャップが痛快で、観る者の心を強く揺さぶる。

第一作の座頭市は、後のシリーズに比べて善人として描かれておらず、賭場では盲目であることを逆手に取り、ヤクザを騙して大金をせしめるしたたかさも持ち合わせている。また、ヤクザの親分も単なる悪人ではなく、人情味のある人物として描かれており、物語に奥行きを与えている。凄腕の浪人・平手造酒(天地茂)との対決も印象的で、なぜ二人が斬り合わねばならなかったのかという疑問は残るものの、物語の流れとして避けられない宿命のようにも感じられる。

シリーズが進むにつれ、座頭市は“目の見えない超人”として描かれる傾向が強まり、初期作にあった人間味や哀しみが薄れていったように思う。その意味でも第一作は、弱さと強さを併せ持つ座頭市の原点が最も鮮明に刻まれた作品といえる。

1960年代の日本は、まだ国力が十分とは言えず、世界から侮られることもあった時代である。そんな中、弱者でありながら誇りを失わず、侮りに対して毅然と立ち向かう座頭市の姿は、多くの日本人の心に深く響いたのではないだろうか。

 

 

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