【鬱・トラウマ・絶望映画マニア】『イカゲーム(シーズン2)』
Netflixにて配信開始から3年、未だに世界中に熱狂的なファンを生み出すサバイバル&アクションドラマ『イカゲーム』の続編『イカゲーム2』。今回も不可解&理不尽なサバイバル&デスゲーム「イカゲーム」に参加する者、捜査する者、運営する側の群像視点で描き、
参加者同士の人間模様やサバイバルを中心にしつつ、意外な曲線を見せた展開はある意味衝撃で、前作以上に過激でズッシリと重いサバイバル&デスゲームである!
序盤は前作と同様にコン・ユが演じる“めんこ男”による「イカゲーム」へ誘うパートになるんだけど、今回はギフンらが彼を積極的に探しているので、彼に関わるシーンが長い。これに加えて、一部のギフン以外の参加者達と前作にも出て来た警察官のファン・ジュノの動きも群像的に見せる。
そして、お待ちかねのデスゲーム「イカゲーム」はギフン以外は新キャラではあるが、前作以上に様々な登場人物にスポットを当てている。
今回はギフンの友人で元海兵隊員のチョンべに
番号001番でギフン&チョンべと主に行動するヨンイル、
ラッパーのサノス、サノスの腰巾着になる124番の男、
天然パーマ&眼鏡のヨンシクと彼の母親クムジャ、
トランスジェンダーのチョ・ヒョンジュ、 仮想通貨運営で失敗したイ・ミョンギ、
妊婦のジュニ、巫女のソンニョ、100億ウォン借金おじさんのイム・ジョンデなど、
個性豊かな面々が各ゲームにあの手この手で切り抜ける。
今回の「イカゲーム」の参加者の人物相関は第二ゲームの時のチームとゲーム間毎で行われるゲーム続行か中止かの◯✕投票での◯派閥と✕派閥でだいたい形成され、生き残り重視が✕派で金銭欲が勝る方が◯派に付き、それぞれの執着で人間の本性が剥き出しになる。前作との違いはこの◯✕投票が何度もあり、この流れがかなり重要になる。
ゲームについてはそれこそ楽しみにしている方が多いから詳細は書けないけど、無慈悲な罰は前作と同様で、運よりも個人のスキルや素早い作戦力、人間力が重視で、どれも見応え抜群。前作よりも韓国独自の遊びが見られ、それこそ『イカゲーム』らしさが感じられる。
全体的にギスギスした人間模様が見られる中で、海兵隊繋がりのチョンべとデホのムードメーカー師弟コンビと
ヨンシク&クムジャの母子、
この二組が見ていてほっこりとして、個人的には応援したくなる。特にクムジャは前作の001番のような年寄りポジションなので余計に目を引く。
あと、前作よりも女性キャラが多く、しかも妊婦やトランスジェンダーがいる辺りはよりSDGsやジェンダーに配慮したキャスティングになっている。その一方で、旧態然とした価値観を持っているキャラもいるが、それこそこれらの問題の本当の所の現状なのかも。
それと、今回は1話と7話から考えると「ギャンブル」、あるいは「二者択一」がテーマになっている。それは生か死(金or失敗)を選ぶ場面が多く、◯✕投票が多かったりしたのも原理としてはめんこ男のホームレスへの施し方法と変わらない。
あと、人間の本能、本性もテーマになっている。強い者が弱い者を叩いたり、強い者に媚を売ってすり寄ったり、力で制圧したり、肝心な所で逃げ出したり、
至る所で人間の本性・本能が見られる。
終わってみれば前作がいかに正攻法の作りだったか痛感する展開ではあるが、ギフンの目的と全体的にギャンブル性が強い性質から考えれば納得出来る。感覚的には『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの2作目『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』を見た時のような感触に近いが、
懐かしい遊びと生死を賭けた二者択一が散りばめられたデスゲームは『イカゲーム』ならではである!
■イカゲーム(シーズン2)
世界中を興奮させた孤島で行われるサバイバルデスゲーム「イカゲーム」に参加する人々を描いた『イカゲーム』の続編に当たるサバイバル&アクションドラマ!2年前に「イカゲーム」に参加して唯一生き残り、優勝したソン・ギフンは金融業を営むキムとウソクらと手を組み、街で賭けめんこに興じながら「イカゲーム」に誘うめんこ男の行方を追うことに。前作と同じく主人公のソン・ギフンをイ・ジョンジェが演じ、他チョ・ユリ、イム・シワン、ヤン・ドングン、カン・エシム、イ・ソファン、イ・ジヌク、パク・ソンフン、カン・ハヌル、パク・ギュヨン、コン・ユ、イ・ビョンホン、ウィ・ハジュンが出演。
・12月26日(木)よりNetflixにて独占配信。
・全7話
【スタッフ】
原作・監督・脚本・演出:ファン・ドンヒョク
【キャスト】
イ・ジョンジェ、チョ・ユリ、イム・シワン、ヤン・ドングン、カン・エシム、イ・ソファン、イ・ジヌク、パク・ソンフン、カン・ハヌル、パク・ギュヨン、コン・ユ、イ・ビョンホン、ウィ・ハジュン
原題:오징어 게임2/製作国:韓国/製作年:2024年