私の好きな映画

静香
2025/08/28 14:51

この世界の片隅に(トークショーレポあり)

昨日テアトル新宿にて『この世界の片隅に』を鑑賞してきました。

この映画は2016年公開で今年で9年目となり、「戦後80年・すずさん(主人公)生誕100年」という節目の年のため期間限定で8月に公開されています。

そして昨日は映画終了後舞台挨拶で、すずの妹のすみちゃん役の潘めぐみさんと、片渕須直監督のトークショーもあり、とても嬉しかったです。ちなみにこの映画を観たのは私は今回が初めてでした。

 

このお話は昭和8年頃すずがまだ幼少のころからスタートします。戦前の広島市江波で   海苔梳きの家で育ちます。戦前の広島はとても美しく文化が発展していて人々が幸せそうでした。モダンな雰囲気も感じます。すずはある時、のちの夫となる北條周作さんに見初められ、広島の呉市へ嫁ぐことになります。呉の嫁ぎ先は小高い山の上の日本社屋の家です。段々畑などからは呉の港が良く見えます。呉は軍港でした。

 

北條家の優しいご両親や、性格がきつめの小姑の義理の姉、ほんわかしている晴美(義姉の娘)と一緒に暮らしていきます。その中で遊郭で暮らしているリンとも出会います。

そして世の中はどんどん戦局が悪化し、軍港のある呉は敵国からターゲットにされ空爆も激しくなります。その中で様々なことが起こり、そして8月6日…広島に原爆が落ち、8月15日終戦の日を迎えます…

 

すずはぼうっとした優し気な子ですが、この激しい時代の中で乗り越えていく強さを持ち、周作とも愛を深め、北條家の本当の家族の一員となっていきます。

 

この映画は戦前・そして終戦の日の後少しまでの広島市や呉市の日常を優しい絵柄で丁寧に描く物語です。その中である意味本当のこの時代のリアリティが描かれているように思います。映画の中で強い衝撃はそこまでないのですが、この映画の最初の場面で広島弁でほっこり海苔を届けに船で向かっているすずを見たときに、「ああ、きっと本当にこういう子がこの時代にいたのだな。そして昭和8年頃は本当に平和だったんだろうな。これから苦しい時代がこの人達を待っている。この場面が夢や幻のようで辛い。そして儚い。」と観ていた私の心の中を駆け巡り、まだ何も起こっていないにもかかわらず涙が溢れてきました。

 

この映画にはある意味昨今では薄まってきているように思う、隣人への愛や精神的な日本人らしさのようなものが、日々の日常の登場人物たちのやり取りで随所に現れているように思います。

昭和8年は私の祖母が生まれた年です。(今年で92歳です)人への愛と食物や物を大切にする心、感謝をする心を祖母は持っているように感じます。きっとこの時代は色々なことがあり、きれいごとだけでは済まされなかったと思うけれど、尊い精神性を持つ人たちが多かったのではないかと思います。

だからこそ、戦前の広島が爆弾で壊滅的になっていく様を見て、このような戦争はしてはいけない、家族がバラバラになっていく様・原爆症になっているすみちゃん、苦しむのはそこで住んでいる住民なんだと、改めて思いました。

 

トークショーで片渕監督が話していたので印象的だったのが、すみちゃんはエリザベス女王やマリリンモンローと同い年だそうです。この年代の方たちは戦後そのあとの人生で花が開いていっているということです。すみちゃんは原爆症でそのあとどうなったかは原作でも描かれていないようで想像に任されますが、幸せに暮らして花が開いた人生を送っていてほしいし素敵な旦那さんと家庭を築いてくれたらうれしいなと思います。

すずも、原爆で母と死に分かれた養女の子も、北條家で幸せに暮らせてたらなと思います。

 

この映画は戦前・戦後直後のある意味何気ない人々の暮らしを描いていますが、時代が時代なだけに本当にこんなことがたった80年前にあったんだよなと気づかされます。誰も防空壕や時限爆弾、爆弾が落ちてくるなんて昭和8年頃は思ってもみなかったと思います。平和であること、何気ない日常を家族や友人、職場の人達と過ごせることが、何よりも尊く奇跡なのかもしれません。

 

トークショーで潘めぐみさんは、この映画を後の世代にも渡していきたい、それが役目のように思うと仰っていました。私も同じように、自分が生きている世界が平和であり、あとの世代の人たちにも明るく歩いてもらえるような未来を創る義務が、今を生きる私たちにあるように思います。またそれと同様に、戦後80年が経ち戦争当時の記憶を持っている人が大分少なくなりました。そして昔の知恵などを持っている人たちも亡くなってきています。私自身も自分の祖母が受け継いできた草履づくりや田舎寿司の作り方などの文化の継承、そして生き様を少しでも吸収して、次の世代の未来へ託せるような役目がしたいなと、この映画を通して感じました。

 

「この世界の片隅に」はさらに詳しく描いている「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」というのもあり、こちらも必見です。

私は映画館でこの映画を初めてこのタイミングで観れたことは、何よりも幸せだし色んな気づきのきっかけになりました。

 

本当に出会えてよかったと思う映画です。

毎年毎年、ずっと受け継いでもらいたい、そんな映画でした。

I feel so grateful for everything I have.
 

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1 件の返信 (新着順)

トークショーのレポート嬉しいですー!ありがとうございます。私。一番好きな映画なんですが映画館で観たことないんですよ(さらに、の方は映画館で観ました)どうしても多忙で行けませんてましたが、今いろんな戦争映画を観て勉強してます。
生き抜く大きなヒントがたくさんあり、背筋が伸びます。映画を通じてあるべき世界を語り継いで行きましょう!


静香
2025/08/30 16:43

コメントありがとうございます!
一番好きな映画なのですね。テアトル新宿は特別な音響システムが入ったらしく、爆弾のシーンや色んな音がよりリアル感があって聞こえて良かったです。
トークショーでは監督や潘さんのこの映画を100年後も観てもらえるように伝えていきたいという強く優しい気持ちが伝わってきてとても良かったです。
本当に良い映画ですね😊