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2024/04/05 17:41

マフィア映画の金字塔、ゴッドファーザー

これを観ずして、なにを観る!

ゴッドファーザーPart Ⅰ

監督・脚本:フランシス・フォード・コッポラ

原作・脚本:マリオ・プーゾ

出演:マーロン・ブランド、アル・パチーノ

時間:175分


第1作は第45回アカデミー賞3冠、第2作は第47回アカデミー賞6冠に輝き、その後16年の時を経て完結編が製作されたフランシス・フォード・コッポラ監督の傑作シリーズは、意外にも半日程度(約9時間)あれば全て鑑賞可能です。スターウォーズシリーズより全然短い!

では、早速紹介していきまっしょい。


私がこんだけ映画を観てきた中で、1番好きな映画は何かと聞かれたら、これ以外無いのです。『ゴッドファーザー』

若かりし頃に観て大衝撃を受け、好きな映画のジャンルが決まったのもこの作品との出会いがあったから。その後、タランティーノのおシャンティ作品に触れ広がっては行きますが、兎にも角にも外せないのは、マフィアやギャング、日本のヤクザ映画なんです。正に推し映画。

タイトル『MARIO PUZO'S GOD FATHER』

元々はこのマリオプーゾが書いた小説。それをプロデューサー、アルバート・S・ラディが映画化しました。当時は、本物のマフィア連中がこの小説に腹を立てていた為、映画化の妨害が酷く、劇中に出てくるジョニーという歌手は、フランク・シナトラだと思われていたので、実際にシナトラからもかなり嫌がらせがあったようです(ドラマ『The offer』で描かれています)

ゴッドファーザーが出来るまでを描いた傑作ドラマ

描かれているのは、家族の物語


マフィアの抗争を描いた作品かと思っているかもしれませんが【家族の物語】なのです。

特に、主人公のマイケル(アル・パチーノ)の圧巻の人生録。パラマウントは、最初アルパチーノを起用する事を拒んでいたのですが、そのまますすんでいたら、今この作品を観る事が出来なかったかと思うと、またまた震えが止まりません。あぁ、ラディとコッポラありがとう。

ドン・コルレオーネまたの名をゴッドファーザー(マーロン・ブランド)の娘コニー(コッポラ監督の妹、タリア・シャイア。「ロッキー」のエイドリアン役でも有名)の結婚式が自宅の庭で開かれています。外では明るく皆が飲めや歌えの大騒ぎ。イタリア人らしく、皆が明るく祝福しています。一転し、ドン・コルレオーネの部屋には、この時ばかりと挨拶がてら「お願い事」をしにきます。

ここでのやり取りで、コルレオーネ一家の家業が何で、何を大切にし何を重んじているのかがわかります。また、外とな明暗を極端に描く事で、裏家業という事も表現していました。

コルレオーネ家には息子が3人と、息子同然に育てた養子のトム(ロバート・デュパル)がいます。トムは弁護士であり一家の相談役です。

長男ソニー(ジェームズ・カーン、私は彼の出演作「ミザリー」も好き)は感情的で短絡的、女遊びもお盛んです。次男フレド(ジョン・カザール)は典型的な出来損ない。どうやっても上手く行く気がしない三男マイケル(アル・パチーノ)は家業とは無縁で、大学出で戦争にも行き英雄として帰って来たのです。

そんな中、麻薬の仕事を持ちかけてこられますが、断ります。これが大きく運命を動かしていきます。実は、ドン・コルレオーネは非常に人や先を見る目があり、ただの乱暴な野郎ではない事が色々な場面で出てきます。この辺がまた私の心をくすぐります。素敵です。

そんな父コルレオーネ、外出先で何と襲撃され瀕死の状態になります。しかもフレドの前で。ポンコツフレドは大事なその時、震えて銃を落としてしまうと言う大失態。勿論、麻薬の仕事を断ったのが原因で、相手はタッタリアファミリー。ここで一気にドンを殺して権力抗争のトップの座を狙ってきます。何とか一命を取り留めても、様々な手を使い父コルレオーネを狙ってきます。そんな時、たまたま見舞いに来たマイケル。誰も見張りが居ない事を知り、嫌な予感。機転を効かせて父コルレオーネを守ります。ここからは、抗争が激化。それと比例するように、堅気のマイケルの変貌ぶりは、観ているこちらが興奮してワクワクしちゃう!実は父の血を受け継ぎ、誰よりも極悪非道な事を冷静かつ非情に行動出来るのは、マイケルなのです。

コルレオーネ家、縁の地であるシチリアでのロケもあり(コッポラ監督はこだわったらしい)裏切りや黒幕を暴き、果ては世代交代までを描ききります。この作品で、どんでん返しの気持ちよさや、迷う事なく相手に拳銃をぶっ放す爽快さを覚え、1人の男の変わりゆく姿からは、恐ろしい程の色気と哀愁を覚えたのでした。そして、ラストシーン。愛する妻ケイ(ダイアン・キートン)の質問に答えるマイケルを見ると、いつも震えが止まりません!くぅぅうううーーー!抱いて、抱いてくれー。ハァハァ。興奮したまま次へ。

ゴッドファーザーPart Ⅱ

出演:アル・パチーノ、ダイアン・キートン

時間:200分


 

マイケルの孤独。


あのマイケル(アル・パチーノ)のその後。前作ゴッドファーザーは、裏切られたり黒幕を暴いたりと、スリルとバイオレンスのバランスが良かったですが、今回はパパコルレオーネの時代とは違い、更に複雑な人間模様が描かれます。Part Ⅰが華やかなコルレオーネ家の世代交代を描いているのなら、今作はマイケルの苦悩です。冒頭から残されたコルレオーネ家の家族は、マイケルの頭痛の種です。亭主を殺されたコニー(タリアシャイア)は、マイケルが許せません。次男ですがポンコツで弱いフレ(ジョンカザール)は、弟に指図されるのも内心穏やかではありません。しかし、心優しいが故に過ちを犯す、実に人間味があり、そこがまた悲劇を生みます。パパコルレオーネの頃からの腹心達も、ざわつき始めて、なんなら愛する嫁のケイも裏家業から足を洗わないマイケルに不信感。はぁ、マイケル。孤独よね。

ゴッドファーザーとなったマイケルは、父コルレオーネと同様、命を狙われてしまいます。こんな時に誰を信じていいのか。パパコルレオーネの時は、絶対的な友人や仲間、そして家族の結束がありました。


父ヴィトの若い頃との二重構造


こんな時、パパなら、、と思いを馳せる場面で今回は、若かりし頃のパパコルレオーネ、ヴィト・コルレオーネ(ロバート・デニーロ)の生い立ちを挟む事で描いています。

若かりしヴィトは、赤子のフレドが肺炎になれば切なく涙を浮かべて心配し、家族を養う為に悪事に手を染めていきますが、移民の出世物語にも見えます。それでいて、やはり非情な部分も見せますが、なんだか爽快な気持ちにもなるのが不思議。このPartⅡの素晴らしさは、マイケルが悩む姿と共に、このヴィトのパートが入る所にあります。1900年代初頭のニューヨークの街並みの再現や、全体的にセピア色でヴィンテージ感もある。この二重構造が作品に奥行きを出していて、シリーズで1番渋いんです、正にいぶし銀ゴッドファーザー。悩む、マイケル。悲しむ、マイケル。怒る、マイケル。

だけど、誰よりも家族、ファミリーとしての繋がりを大切にして愛しているのに、届かない想い。1人、ママに「パパはどうだったのかな、本当の胸の内は」と尋ねてみたり、最後にまだ大学生で海軍に行くと決めた時の、パパコルレオーネのお誕生日のシーンが出るのも、秀逸です。パパのようにやれる資質は十分過ぎる程あるのに。人は彼から離れてしまう。苦悩しまくる色気ダダ漏れの、アルパチーノ。にこりともせず、影を落とす魅力は彼にしか出せないだろう。いつ、まばたきしてんだろ?という程の眼力で、私は目薬片手に抱かれに行きたい、と思いながら、16年後へ。

ゴッドファーザー最終章

出演:アル・パチーノ、アンディ・ガルシア

時間:162分


号泣、号泣、大号泣。実はシリーズの中で一番好きなのは、この最終章なのです。あれ?昔見たのはPartⅢだったはず。今回は再編集された【最終章】です。私の中で、マイケルコルレオーネというのは、実在した人物になっているのです。それ程までに感情移入しまくっているのですから、彼が苦しめば私も苦しいし、涙すれば彼以上に泣くのです。しかし前作から16年後に製作された、いわゆるPartⅢは、興行的にも批評的にも良くなかったのは事実。アカデミー賞もノミネートされても受賞には至らず。しかもコッポラはやりたくなかったと言うのに、これまた金銭的に苦しかったので仕方なくやったそうな。これは最初のゴッドファーザーを撮り始めたのと同じにも見えますが、今回もマリオプーゾと共に脚本・製作を始めます。


テーマは死と贖罪


1作目は父から受け継ぎ、全てを手にしようとするマイケル。そして2作目は、苦悩。さて今回のマイケルは、非常に悲しいのです。切なくて悲しくて、それはそれは可哀想な程。裏稼業から足を洗い、真っ当な実業家として成り上がりたい、マイケル。しかしながら、運命はそうはさせてくれません。この運命がそれはそれは過酷。 

マイケルを悩ます主な問題は、コチラ

・バチカン銀行での資金洗浄

・兄ソニーの忘れがたみ、ビンセント

・娘メアリーの恋

・マイケル糖尿病になる


自分も強大化すれば敵も大きくなる


今回の敵は強大。なんと、バチカン。生臭坊主とは言うが、この場合は何て言うんだろ、生臭神父?まさかのマイケルに資金を援助させて、それを騙し取ろうとするのです。この援助で叙勲されパーティが行われ、その場に血の気の多い色男が1人。なんとマイケルの兄ソニーの忘れがたみ、息子のビンセント(アンディ・ガルシア)でした。

その男に、なんとマイケルの可愛い可愛い娘、メアリー(ソフィア・コッポラ)が恋をします。このビンセントが生前のソニーにソックリで、後先考えずに動くのがまたマイケルを悩ませます。目は開け口は閉じろ!と叱りつけますが、おとなしく聞かず、昔マイケルが仕掛けたドンを集合させて一気に始末する方法を、逆に仕掛けられてしまいます。この黒幕は誰なんだ?マイケルも「足を洗ったと思ったのに、また引き戻される!」とイライラ。更には彼自信も糖尿病に悩まされて、ぶっ倒れます。この時、口をついた名前は『フレド』

その後、資金が騙し取られそうなカラクリを掴み、自らバチカンへ。そこでは、ローマ法王がこの頃死去間近、次の法王に近いランベルト卿に悪事を知らせるのですが、その時にマイケルがなんと、懺悔するのです。苦しかったのね、マイケル。そう思うと、私も自然と涙が溢れます。マイケルの息子アンソニーは、マイケルの跡を継がずオペラ歌手への道へ。デビュー舞台を観る為に皆でシチリア島へ行きます。ここでは、久しぶりにマイケルとケイがドライブ。ここで流れる『ゴッドファーザー愛のテーマ』実はシリーズ通してもそうなんですが、ココ!という場面でしか流れないのが、この曲なんですよね。2人が生涯愛したのは、お互いしか居ないと確信します。でも、普通の男にはなれないし、ケイが求めているのはマフィアではないマイケルなのです。はぁ、切ないわ。やはりここシチリアでも、マイケルを狙って怪しい動きは出てきます。


運命、それは因果応報


オペラの開演と共に、スリリングな展開が続きますが、これがまさかの悲劇を生むのです。ヴィト・コルレオーネはイタリア系移民としてニューヨークで、ドン・コルレオーネとなり家族も居て、最期はマイケルという跡取りが出来て、孫と遊ぶ中倒れました。ところが、このマイケルの最期はどうだったでしょう。同じく家族を愛してはいました。しかし、愛したからこその行動が、彼を忌み嫌う原因だったのです。自らが犯した罪がめぐりめぐって来る運命。

ラストシーンは(PartⅢとは違ったけど)いつ見ても悲しく、駆け寄って抱きしめてあげたくなります。エンドロール中、涙が止まる事はありません。あぁ、彼の魂が終わりを迎えてしまったんだと思うと、ただただ、悲しく辛くなるのです。さぁ、是非マイケル・コルレオーネの最期を見届けてあげてください。

 

じゅーんの過去コラムはこちら
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2 件の返信 (新着順)
LOQ
2024/04/11 19:28

海外でも日本でもオールタイムベストワンですね。
原作も「 ジ・オファー 」もものすごくよかった。
個人的には公開時の洪水のような宣伝と従来のギャング映画への偏見があって観ませんでした。
『 バラキ 』を先に観ました。 ( ノД`)シクシク…
数年後観て、ものすごくはまりました。1番好きなキャラはトム・ヘイゲンです。

ただ、これも個人的にはPART1、PART2にあまりにも思い入れが強いので,PART3は残念すぎて、なかったことにしております。


じゅーん バッジ画像
2024/04/12 00:16

コメントありがとうございます😭
ジ・オファー面白いですよね!まさかそんな事があってこの作品に漕ぎ着けていたなんて!また最初から観たくなるループドラマです。
公開当時はそんな宣伝してたんですか!いやぁ、生まれる前なんで貴重なお話です。トム、最終章出てくれたらまた違う展開があったでしょうね。。
確かにこのPartⅢは嫌われてますよねー。あまりにも前2作品が良すぎますから!

椿五十郎 バッジ画像
2024/04/08 19:15

じゅーんさんの『ゴッドファーザー』愛が伝わる熱いコラム!
読み応えありました!!
ゴッドファーザーPART3は、今、最終章なんて呼ばれてるんですか?PART3でいいやん(笑)
3はあまり評判良くなかったけど、自分も3結構面白かったと思います。
すみません、ついついオペラ好き視点でみてしまうと、息子がオペラ歌手になって、そのオペラが『カヴァレリア・ルスティカーナ』というのが実にうまい!シチリアのギャング(?)の色恋沙汰の話なので、物語とリンクさせるところ、って本当にうまいなぁ、と思いました。


じゅーん バッジ画像
2024/04/08 21:04

今回は最終章で、オープニングとエンディングが変わっていました。私も昔観たのはPartⅢでした。今回は、Part1と3はリバイバル上映してまして、初めて劇場鑑賞しまして、尚更感動、感涙しておりました。
オペラは私は詳しくないけど、本当に美しい旋律で。内容も昼ドラみたいな感じなんですかね?どこを切り取っても計算し尽くされていて、大好きです❤️