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私の好きな映画

Nami
2023/07/21 11:00

孤独に生きる現代人の<心揺さぶる>ロードムービー『658km、陽子の旅』

(c)2023「658km、陽子の旅」製作委員会

孤独に凍った心が、溶けていく。

真夏の暑い季節に、雪の舞う東北を舞台としたロードムービー『658km、陽子の旅』が7月28日からユーロスペース、テアトル新宿ほか全国順次公開されます!TSUTAYA CREATORS' PROGRAM 2019の脚本部門で審査員特別賞を受賞した室井孝介の脚本を原案に、監督・熊切和嘉が映画『空の穴』('01)以来22年ぶりに菊地凛子とタッグを組んだ本作は、第25回上海国際映画祭で最優秀作品賞、最優秀脚本賞、最優秀女優賞と本年度のコンペティション部門に於いて最多となる3冠を達成しました。

先日、公開に先がけ都内でおこなわれた完成披露試写会に参加してきました!ということで今回は、映画『658km、陽子の旅』の見どころをご紹介いたします!


映画『658km、陽子の旅』STORY

(c)2023「658km、陽子の旅」製作委員会

東京から青森へ 明日正午が出棺。
父親の葬儀にも、人生にも何もかも間に合っていない―

42歳独身、青森県弘前市出身。人生を諦めなんとなく過ごしてきたフリーターの陽子はある日、20年以上断絶していた父の訃報を受けて、所持金もほとんどなく携帯もなしで実家のある青森へヒッチハイクをすることに。しかし、父の出棺は明日正午。青森へ向かう一夜の旅で出会う様々な人々、そして突然現れる若き日の父の幻により、陽子の止まっていた心は大きく揺れ動いてゆく。はたして陽子は出棺までに実家にたどり着くのか…。(参考:映画『658km、陽子の旅』公式サイト)


生きる痛みを抱えた主人公を菊地凛子が熱演!

(c)2023「658km、陽子の旅」製作委員会

主人公の陽子を演じるのは、国内のみならずハリウッドをはじめとした海外でも活躍されている菊地凛子さん。本作で、初めて邦画単独主演を務めます。本作は、圧倒的な演技力と人々を惹きつける魅力を持った彼女だからこそ成り立ったと言っても過言ではありません。というのも、劇中に彼女がスクリーンに映らない場面はほとんどなく、113分間、”陽子の旅”を見届けることになります。夢破れ、人生を諦め、何年も人と触れ合わずに生きてきたことで孤独に凍ってしまった陽子の心が、東北横断の旅で出会った人々との交流によって少しずつ溶けていく様子を、ときに痛々しく、ときに優しく繊細に、真っ直ぐにぶつけてくる菊地凛子さんの演技に、最初から最後まで釘付けでした。彼女の演技を、ぜひスクリーンで浴びてほしいです。


ヒッチハイクが繋ぐ、人との出会い

(c)2023「658km、陽子の旅」製作委員会

長い間、人との距離を置いてきた陽子にとって恐ろしいほどに難易度が高いであろうヒッチハイク。所持金も携帯電話もない、頼る相手もいない陽子がヒッチハイクの旅先で出会う人たちは、よく喋る毒舌なシングルマザー、ワケありだけど心優しいヒッチハイカー、怪しいウェブライター、親切な年配夫婦と実にさまざま。人との距離感に戸惑ったり、優しさに救われたり、欲望に傷つけられたり・・・。一夜にして様々な人と出会った陽子は、徐々に自分の殻を破っていきます。旅の終わりに見せた涙、そしてゆっくり一歩ずつ自分の足で歩む姿は、旅のはじまりとは別人のよう。人との出会いによって、陽子が希望を取り戻していく過程は必見です。


若き日の父の幻とともに、父の葬儀へ

(c)2023「658km、陽子の旅」製作委員会

陽子のヒッチハイクの旅には、様々な人との出会いのほかにもう一人忘れてはならない存在がいます。それが、若き日の父の幻です。かつて夢への挑戦を反対され、以来24年ものあいだ断絶した関係であった陽子にとって、父は24年前の40代の姿で止まったまま。そんな若き日の父の幻影が、父の葬儀へ向かう旅の途中に何度か現れます。演じるのは、唯一無二の魅力で俳優として活躍しているほか、近年は脚本や監督をするなど活動の幅を広げているオダギリジョーさん。劇中では、一言もセリフがなく佇まいや醸し出す雰囲気、存在感によって物語に確かな深みを残していきます。陽子が話しかけると微笑みかけたり気まずい様子を見せたり・・・でも表情はどこか切なく、断絶した娘との関係を変えたいと願っているように見える。そんな父と娘のぎこちなくて、あたたかくて切ない少し不思議なコミュニケーションも本作の見どころです。


人生いつも間に合っていない、けれど愛おしい

(c)2023「658km、陽子の旅」製作委員会

父の葬儀にも、人生にも、何もかも間に合っていない陽子。そんな彼女が、旅を通じて自分を見つめ直し、世界と向き合う覚悟を持ったことで見えた世界はどのような景色だったのでしょうか。過去に蓋をしている人や心の片隅にある思いをしまいこんでいる人など、世の中には人の数だけ痛みや傷が存在すると思います。たとえその痛みを消すことはできなくても、周りの人や手を差し伸べてくれる人の温もりによって癒すことはできる。間に合っていなくても、ここから一歩ずつ前に進むことができる。陽子とともに行く658kmは、見ている人の人生をもあたたかく包み込んでくれる旅でした。この温もりをぜひ、劇場でご覧ください。


■映画『658km、陽子の旅』作品情報

監督:熊切和嘉 

原案&共同脚本:室井孝介

共同脚本:浪子想
出演:菊地凛子、竹原ピストル、黒沢あすか、見上愛、浜野謙太、 仁村紗和、篠原篤、 吉澤健、風吹ジュン、 オダギリジョー 

製作:『658㎞、陽子の旅』製作委員会
製作幹事:カルチュア・エンタテインメント
制作プロダクション:オフィス・シロウズ
配給・宣伝:カルチュア・パブリッシャーズ
宣伝協力:DROP. 

©2023「658km、陽子の旅」製作委員会


ということで今回は、映画『 658km、陽子の旅』の見どころを紹介しました。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

Instagramでも日々投稿しておりますので、ぜひ覗いてみてくださいね!

Nami

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