映画名セリフ ‘Bond, James Bond’
イギリス諜報部きっての腕利きスパイ、007ことジェームズ・ボンド。
彼がスクリーンに登場し、紳士然として自己紹介するセリフが ‘Bond、James Bond ’
‘ボンド、ジェームズ ボンド’ である。
このいたって単調なセリフが実に心に響き、シリーズ全作を通しての象徴的意味合いにもなっている。
これまで「007シリーズ」は全25作品が作られ、6人の名優がジェームズ・ボンドを演じた。
俳優ごとに出演作品数は異なるが、それぞれの代表的な作品を振り返ってみたい。
「007/ドクター・ノオ」(1962年・イギリス):テレンス・ヤング監督
記念すべきシリーズ第1作で、日本初公開時のタイトルは「007は殺しの番号」であった。
ボンド役は勿論、ショーン・コネリー。 ボンド・ガールはウルスラ・アンドレス。
フロリダから発射されるロケットの軌道を狂わせる怪電波の発信地を突き止めるべく、ジャマイカに飛んだボンド(ショーン・コネリー)は、中国人のノオ博士(ジョセフ・ワイズマン)が所有するラブ島の人口要塞を突き止め、潜入を開始する。その後ボンドは、エキゾチックなアメリカ娘ハニー(ウルスラ・アンドレス)と知り合う...
本作が製作・公開されたとき、まさか60年にわたって続編が公開されるとは誰も思っていなかっただろう。
お馴染みのファースト・シーンでは、歩くジェームズ・ボンドを追うカメラの絞りのような瞳が、ボンドに撃たれて赤く染まり、下がっていく...タイトル・デザイナー、モーリス・ビンダーの傑作は、シリーズのトレードマークにもなった。
プロデューサーのハリー・サルツマンとアルバート・R・ブロッコリは、ショーン・コネリーがボンド役に適している理由を次のように述べている。
‘何といってもダンディズムとセックス・アピール、そして頑強そうな肉体、動物的な優雅さ、ヒョウのような歩き方、恐れを知らない度胸、そして彼の演技...これらの調合である’ と。
ショーン・コネリーは本作を含めて6本のシリーズに出演した。
本作におけるボンドの初登場シーンは、ロンドンのアンバサダー・クラブのカジノである。
そして此処でボンドが言う、 ‘Bond, James Bond’
「女王陛下の007」(1969年・イギリス):ピーター・R・ハント監督
ショーン・コネリーに代わり、新しく2代目ボンド・スター、ジョージ・レーゼンビーを迎えたシリーズ第6作。 ボンド・ガールはダイアナ・リグ。
歴代のボンド俳優の中、ただ一人「1本のみ」のジョージ・レーゼンビー主演の貴重な作品である。
ジェームズ・ボンド(ジョージ・レーゼンビー)はポルトガルの海岸で、トレーシー(ダイアナ・リグ)という若い女性と知り合う。彼女は自棄的だが大胆な振る舞いをみせる女性で、ボンドは彼女に心酔する。だがトレーシーの父親ドラコ(ガブリエレ・フェルゼッティ)は、犯罪組織のボスだった。我儘な娘を立ち直らせたいと思うドラコは、ボンドに救いを求める。一方、英国秘密情報部のM(バーナード・リー)からスペクターの首領プロフェルド(テリー・サヴァラス)の所在を突き止めるよう命令を受けていたボンドは、ドラコの援助により、プロフェルドの本拠がスイスにあることを突き止める。
ジョージ・レーゼンビーが本作1本に終わった理由は諸説あるが、ここでは触れないでおく。
彼は歴代のボンド俳優のなかで、最も若い30歳でボンドを演じている。
大雪渓の中でのスキー・アクションや、ボブスレーでの格闘シーンなど、十分にボンドのスタイルを貫いている。
「007/死ぬのは奴らだ」(1973年・イギリス):ガイ・ハミルトン監督
3代目ジェームズ・ボンドにロジャー・ムーアが抜擢された、シリーズ第8作。
彼は本作から第14作まで、7本のシリーズに出演した。
本作のボンド・ガールはジェーン・シーモア。
ボンド(ロジャー・ムーア)のもとへM(バーナード・リー)から緊急指令が入る。麻薬を無償で配布し、社会の壊滅を目論むDr.カナンダ(ヤフェット・コットー)を抹殺せよとの指示だ。早速ニューヨークへ飛んだボンドだが、その動きは既に敵に筒抜けだった。敵地のレストランで、ボンドは神秘的美女ソリティア(ジェーン・シーモア)に会うが...。
元々、原作者のイアン・フレミングは初作からロジャー・ムーアをボンド役に推していた。
初代ボンドのショーン・コネリーと異なり、エレガントでユーモアに長けるボンドを演じたのが、時代の潮流に上手く乗り、足掛け13年もボンド役を張った所以であろう。
ジェーン・シーモア演ずるソリティアは、タロット・カードを操ったり、超人的霊感能力を発揮するのだが、ボンドとベッド・インした後は予言力を失うのだから、こういったところが面白い。
ビートルズのポール・マッカートニーが主題歌を作詞・作曲している。
「007/リビング・デイライツ」(1987年・イギリス):ジョン・グレン監督
第4代ジェームス・ボンドに抜擢されたティモシー・ダルトンの出世作で、シリーズ第15作。
ボンド・ガールはマリアム・ダボ。
永くMの秘書マネーペニー役を演じてきたロイス・マクスウェル(14作品に出演)に代わり、キャロライン・ブリスが登場。
ボンド(ティモシー・ダルトン)はKGB高官のコスコフ将軍(ジェローン・クラッベ)が亡命を望んでいることを知り、チェコに飛んだ。美しきカーラ(マリアム・ダボ)の妨害に遭うも、計画を成し遂げて亡命は成功する。コスコフは英国に渡り、首脳部に対し、西側スパイ暗殺計画の情報を提供する。やがてボンドは、コスコフが国際的武器商人(ジョー・ドン・ベイカー)と繋がりがあるのを突き止めるのだが...。
新ボンド、ティモシーへのアドバイスを求められたショーン・コネリーは、「彼はいい俳優だし、私からのアドバイスなどないよ。ただし、優秀な弁護士は確保しておくべきだと思うね」とコメントしている。いわんやダルトンのシリーズ出演は、本作に続いて公開された「007/消されたライセンス」(1989年)の2本に終わった。
「007/ゴールデン・アイ」(1995年、英・米):マーティン・キャンベル監督
第5代ジェームズ・ボンド役で、スマートなピアース・ブロスナンが登場したシリーズ第17作。
シリーズで6年もブランクが空いたケースは1度もなく、まさに新生007で、殆どのスタッフ・キャストが一新されている。
ボンド・ガールは、長身のファムケ・ヤンセンとイザベラ・スコルプコ。
米ソ冷戦終結後の現在。モナコでは、アストンマーティンを運転するボンド(ピアース・ブロスナン)と、フェラーリを操るゼニア・オナトップ(ファムケ・ヤンセン)がカー・チェイスを繰り広げていた。オナトップは国際的な犯罪組織ヤヌスの女殺し屋で、フランスが誇るNATOの最新鋭ヘリを奪って逃走した。ヤヌス一味は、北極圏にあるロシアの監視基地を奇襲し、ゴールデン・アイと呼ばれるディスクと起動キーを奪うのだが...。
従来のボンドは一線を画し、時代が求めたスマートさとカッコ良さで、ピアース・ブロスナンの人気は急上昇、本作に続き「007/トゥモロー・ネヴァー・ダイ」(97年)、「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」(99年)、「007/ダイ・アナザー・デイ」(02年)と4作品に出演した。
新生007だけあって、「M」役としては初めての女性、ジュディ・デンチが起用されているほか、主題歌をティナ・ターナーが力強く歌っている。
「007/カジノロワイヤル」(2006年、英・米):マーティン・キャンベル監督
6代目ジェームズ・ボンドで登場したのは、孤独感漂うダニエル・クレイグ。シリーズ第21作。
ボンド・ガールには、エヴァ・グリーン(あの名女優マルレーヌ・ジョベールの娘)が起用されており、ストーリーの需要なカギを握る役柄。
若きジェームズ・ボンド(ダニエル・クレイグ)は、テロリストへの資金供給ネットワークを捜査、‘死の商人’の異名をもつル・シッフル(マッツ・ミケルセン)に迫る。シッフルは株価操作のために企業への破壊工作を企んでいたが、ボンドの妨害で失敗、1億ドル以上の損失を出す。テロ組織から資金の返還を迫られたシッフルは、モンテネグロのカジノ・ロワイヤルでのポーカー勝負に乗り出す。そこへまたしてもボンドが登場、シッフルとの勝負に挑むが、ボンドは大敗し、窮地に陥る。
ダニエル・クレイグのボンド起用は間違いではなかった。当初は、それまでのボンドのイメージが先行し、様々な物議を醸した。しかし、本作の公開直後から徐々に反対意見は消滅、「007/慰めの報酬」(08年)の時点では、すっかり ‘クレイグのボンド’ が定着していた。178cmと、過去のボンド俳優に比べて低身長だが、引き締まった身体から発散される無限のエネルギーを感じるし、寡黙、冷酷、厳格...良い意味で、そういう言葉の似合う新・ボンドの誕生だった。
現時点では、ダニエル・クレイグの「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2020年)が最も近作となっている。シリーズ第25作である。
果たして、次のボンド役に誰が抜擢されるのか、実に興味深い。
私は本命リチャード・マッデン、対抗エイダン・ターナー、大穴ラシャーナ・リンチ。そろそろ黒人女優のボンドが誕生してもいいと思っている。
そして、新たなボンドにも名台詞を期待している。
‘Bond, James Bond’
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投稿を表示次のボンド役、アーロン テイラー ジョンソンに決まっちゃいましたね!
洋楽さんの希望も、私の望みも玉砕されました😵
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投稿を表示魔女さん、早速コメントをいただき有難うございます。
>私は次のボンドはヘンリー・カヴィルを熱望致します!(^^♪
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」でのコメント交換で、確かにそう仰ってました。
魔女さんの御推薦には敬意を表しますが、
ボクも3人押しのなかから選ばれてほしいとの思いは変わりません。(笑)
いずれにしても、第26作を是非とも製作・公開してほしいですよね。
2024.02.22
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投稿を表示以前にも洋画さんに言った気がしますが
私は次のボンドはヘンリー・カヴィルを熱望致します!(^^♪
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