パトリス・ルコントの「メグレと若い女の死」に登場する、パリのおしゃれな映像パーツも素敵!
いろいろとレンタル可能な作品を中心に観てきているが、今回は、パトリス・ルコント作品から、久々の最新作を取り上げたい。
■パトリス・ルコント(1947.11~)
IDHEC(フランスの高等映画学院)で映画監督になる勉強をしたが、卒業後にバンド・デシネの漫画家またイラストレーターとして漫画雑誌社で働く。1975年に初めての長編映画を製作した。以来、コメディ、ドラマ、ラブストーリー、アクションまで幅広いジャンルの映画を製作している。「リディキュール」で第22回(1996年度)セザール賞作品賞と監督賞を受賞している。
■「メグレと若い女の死(Maigret) 」(2022)
ジョルジュ・シムノンが生み出した世界的人気キャラクター、メグレ警視を、往年のジェラール・ドパルデュー主演で映画化したミステリー・ドラマ。身元不明の若い女性の刺殺体が発見され、ほとんど手掛かりがない中で事件の真相に迫っていくメグレ警視の捜査によって、少しずつ被害者の人物像が浮かび上がってくるさまを、丁寧な筆致で描き出す。
監督にとっては、「仕立て屋の恋」(1989)に続いてのジョルジュ・シムノン作品となる。ちなみに、シムノンは、昨年生誕120年の記念の年を迎えている。
■これまで鑑賞したパトリス・ルコント作品
「レ・ブロンゼ」(1977)は、結構コミカルで笑えた作品。やはり「髪結いの亭主」(1990)がダントツで好きな作品で、ジャン・ロシュフォールのにやにやして踊りだす日々の様子や、最後に消えたしまった奥さんとの静かな葛藤の日々を過ごしていたことを考えさせられる。「ぼくの大切なともだち」(2006)は「パリタクシー」(2023)のダニー・ブーンがタクシー運転手役で登場しているが、ハートウォーミングな作品でもある。
★Wikipediaから抜粋(これまでに鑑賞した作品) レ・ブロンゼ/日焼けした連中 Les Bronzés (1977) レ・ブロンゼ/スキーに行く Les Bronzés font du ski (1979) 仕立て屋の恋 Monsieur Hire (1989) 髪結いの亭主 Le Mari de la coiffeuse (1990) イヴォンヌの香り Le Parfum d'Yvonne (1994) 橋の上の娘 La Fille sur le Pont (1999) フェリックスとローラ Félix et Lola (2001) 列車に乗った男 L'Homme du train (2002) 親密すぎるうちあけ話 Confidences trop intimes (2004) ぼくの大切なともだち Mon meilleur ami (2006) 暮れ逢い A Promise (2013) メグレと若い女の死 Maigret (2023) |
■この作品の素敵さ
原作からして、警視役というハードなテーマでありながら、メグレ警視のヒューマンな良さを描いた映画だけあって、鑑賞後には、あったかい空気感を感じた。年を重ね、原作の主人公の体型にも近く、貫禄もついた、今のドパルデューだからこそ、はまっている役だと思った。
また、亡くなった若い女性が住んでいた等身大の小さな部屋には、フランスのアンティーク雑貨店で見かける可愛い小物が置かれていて、パリの夜のセーヌ川や、メグレ警視が一人で歩く丘のシーン等には、パリらしいパーツが計算された様に使われていた。ミニマムながらも、映像のパーツの選択は抜群と思った。画像では、被害者女性に似ている若い女性に食事をおごり、デザートにタルトタタンを食べれば?と提案しているところも、さりげない、おしゃれなカフェの佇まいを感じた。