DISCASレビュー

カッツ
2025/11/11 07:31

アメリカングラフティ

主演は若きリチャード・ドレイファス。1962年の夏、カリフォルニア州モデストを舞台に、高校卒業を迎えた若者たちの一夜の出来事を描いている。

物語は、進学や就職、恋愛や友情といった人生の岐路に立つ若者たちが、夕刻から翌朝までの時間をそれぞれの思いを抱えて過ごす姿を追う。アメリカ人の誰もが持つ“高校時代の記憶”を映像化したような作品であり、観る者の心に懐かしさと甘酸っぱさを呼び起こす

登場人物たちのファッションや車、音楽は、1960年代初頭のアメリカ文化を色濃く反映しており、まるで古いアルバムをめくるような感覚に浸れる。特に、カーラジオから流れるロックンロールの名曲たちは、物語のテンポを軽快にしながら、時代の空気を鮮やかに伝えてくれる。

『アメリカン・グラフィティ』は、派手なドラマや事件が起きるわけではないが、青春の一瞬の輝きと、過ぎ去った時間への郷愁を見事に描いた作品である。観終えた後には、ノスタルジックな気分に包まれ、かつての自分の青春をふと思い出すような余韻が残る。

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