妖星ゴラス
妖星ゴラス
1962年 東宝 昭和37年3月21日公開
スタッフ 製作:田中友幸、原作:丘見丈二郎、脚本:木村武、
監督:本多猪四郎、特技監督:円谷英二
出 演:池部良、上原謙、白川由美、久保明、水野久美、志村喬、田崎潤、平田昭彦、佐原健二、
太刀川寛、西村晃、小沢栄太郎、河津清三郎、野村浩三、天本英世、二瓶正典、
沢村いき雄、ジョージ・ファーネス、ロス・ベネット、他

土星探査のため宇宙艇JX-1「隼号」が地球から打ち上げられました。土星へと向かう最中、地球の6000倍の質量を持つ黒色矮星「ゴラス」を発見したと言う連絡を受けた艇長の園田(田崎 潤)は、「隼号」を土星探査の任務から「ゴラス」の調査へと任務を切り替え「ゴラス」に近づきます。「ゴラス」に近づいた「隼号」は事前に通達

を受けていた質量よりも現在の質量が大幅に上回っていたことで引力の範囲を見誤り、脱出不可能な状態に陥ってしまいます。「隼号」のクルーたちは助からないことを確信しながらも最期の瞬間まで観測を続け、「ゴラス」の最新のデータを地球に送信し「隼号」は「ゴラス」に衝突しました。

田沢(池部 良)と河野(上原 謙)は人類が生き残る方法を見出せない中、園田の孫の言葉から、地球を「ゴラス」が接近するまでの100日間で40万キロ移動させ、「ゴラス」の引力場から逃れる計画を国連科学会議で発表し、地球の滅亡を前に団結することを決めた各国の協力を取り付けることに成功。

南極に重水素と三重水素を利用したロケット推進装置を設置する計画と並行して、国連は「鳳号」に別案として「ゴラス」を破壊する計画を進めるため「ゴラス」の観測任務を発令。

南極ではロケット推進装置建設のための基地が猛スピードで建設されていましたが、パイプ建設のための工事が落盤によって遅延するなど順調には進んではいませんでした。田沢と河野は人類が生き残る方法を見出せない中、園田の孫の言葉から、地球を「ゴラス」が接近するまでの100日間で40万キロ移動させ、「ゴラス」の引力場から逃れる計画を国連科学会議で発表し、地球の滅亡を前に団結することを決めた各国の協力を取り付けることに成功。

「鳳号」は「ゴラス」が地球の6200倍もの質量に増大していることを観測し、小型のカプセル艇にクルーの金井(久保 明)を乗せ「ゴラス」への接近を試みます。金井は「ゴラス」の観測と「鳳号」への帰投は成功しますが、引力場による強いショックで記憶を喪失してしまいます。艇長は金井の観測したデータから「ゴラス」の破壊は不可能であると判断し、田沢と河野の進める「南極計画」に全てを託すことになりました。

増大を続ける「ゴラス」に対して基地のパワー拡張を訴える中、地球の環境変化によって地底から這い上がって来た怪獣によって、南極基地の一部が破壊されます。戦闘艇で怪獣を殺害することに成功しますが、基地の破壊によって「ゴラス」の引力場から逃れきることが出来なくなり、「ゴラス」が最接近するタイミングで地球に大規模な災害が発生することとなってしまいます。

妖星ゴラスの衝突を避けるために地球が避けるというユニークな発想のSF映画。特撮やミニチュアが精巧に作られており、見応えばっちり。特にゴラス接近により発生した天変地異により街が破壊されていくシーンは恐怖を感じるほどリアル。
余談にはなりますが、地球を動かすという荒唐無稽のテーマですが、東京大学の教授に出来るとして計算してもらい、地球を動かすのに必要な力660億メガトンや、ジェットパイプ噴射口の面積と噴射の威力、宇宙空間での慣性飛行、ゴラスの引力による天変地異など、「それらしさ」は満点です。
ただし、後に発売された「帰ってきた怪獣VOW」と「空想科学読本」によると、やはり科学的にはかなり無理のある話らしいことです。
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投稿を表示京介さん、またまた東宝特撮の記事ですね。大好物です。
『妖星ゴラス』といえば東宝SF作品の中でも一番、突拍子もないアイディアで、巨大な黒色矮星(実際にはそういう星はありません。今でいう中性子星とかから想像したのでしょうか。)が地球軌道に近づいてくるので、ちょっとだけ地球を避けといて、その星が行っちゃってから、また戻すという落語みたいなお話を金をかけて映像化した訳で、私がときどき言ってる”馬鹿SF”です。これは誉め言葉ですからね。
でも、SFって大風呂敷を広げるだけ広げた方が面白いので、こういうバカバカしいほど荒唐無稽なアイディアを現実化した人を私は尊敬しちゃいます。惜しむらくは大人向けに地球の危機をとことん描いてくれると良かったのに、子供に色目を使ったのか、怪獣を出しちゃったのが残念でした。この怪獣自体、のちに『ウルトラQ』の1エピソードに出てましたね。そういえば、この怪獣を倒したジェット機はもろに科学特捜隊のビートルでした。円谷プロも物持ちがいい。