韓国とフィリピンの国際間の問題を取り入れた社会派アクション映画『貴公子』
・2024年9月4日よりTSUTAYAにてレンタル開始!
■貴公子
《作品データ》
『新しき世界』『THE WITCH 魔女』のパク・フンジョン監督が、ドラマ『海街チャチャチャ』でキム・ソンホを主演に添え、巨額の遺産にまつわるノワールコメディアクションを撮った。
フィリピンで暮らす混血の青年マルコは母の病気を治すため、地下ボクシングで金を稼いでいたが、突如韓国本国の父が自分を捜していると聞いて、韓国に帰る。マルコは飛行機内で、自らを「友達」と呼ぶ怪しい男「貴公子」と出会い、彼に追われることになるのだが…。ドラマ「こんにちは?私だよ!」のカン・テジュがマルコを演じ、「君だけが知らない」のキム・ガンウ、ドラマ「ヘチ 王座への道」や映画「蒼き狼 地果て海尽きるまで」ら実力派が集まった。
・2024年9月4日よりTSUTAYAにてレンタル開始!【PG12】
・配給:シンカ
・公式HP: https://synca.jp/kikoushi/
《『貴公子』レビュー》
『新たなる世界』や『The Witch/魔女』シリーズなどアウトローやSFアクションなど、あらゆるジャンル映画を手掛けるパク・フンジョン監督の最新作『貴公子』。
サイコパスによるサスペンス・スリラーと逃走劇アクションに若干社会派の要素を混ぜた新感覚のアクション映画で、終わってみればまた新たなるアクションシリーズが出来たかなといった感じである。
フィリピンに住む賭けボクシングでギリギリの生活をする韓国系のフィリピン人マルコがソウルにいる父親に会いに行くが、ソウルに着くと謎のイケメンに襲われ、追われながら展開。このイケメン襲撃者は途中まではマルコにとって敵か味方か分かりにくいが、これには別の真意があって終盤になってコメディ要素も少しある別ジャンルの映画になっている。
中盤までのアクションは見応え十分。キム・ソンホが演じる貴公子はイケメンなのにめちゃくちゃ強く、時折不気味にニヤけ、その得体のしれ無さ加減がサイコパスっぽくある。それとカーチェイスや走っての逃走劇も多く、緊迫感がある。
しかしながら、この映画の本質は終盤の展開と主人公マルコの「コピノ」というフィリピンの混血児の貧困家庭というのが根底にある。韓国人男性がフィリピンに売春旅行に行き、現地の女性との間に出来た子どもをフィリピンに残して自分は韓国に戻り、その子どもを認知しないといった社会問題がある。母子家庭の上、母親が病気でギリギリで貧しい暮らしを支える主人公に、閉鎖間近のコピノの施設、マルコがソウルに行く動機や目的、詳しくは書けないが貴公子についても、この映画はズバリこのコピノ問題を大胆に使った映画である。
ただ、前半のマルコとユン・ジュの出会いはかなり強引というか、もっと違ったやり方があるように思えてならない。