最近のスタジオジブリ作品よりもジブリっぽい元ジブリのクリエイターによるジブリ風アニメ映画
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こんにちは、じょ〜い小川です!
今回、まだやってなかったお題は「ジブリ映画」。
まぁ、正直、ディズニー以上に苦手なジャンルである。
ほんわかした世界観か、妙に説教臭くくっそ真面目な倫理観など、色々と相性が悪い。そんな中では昨年公開した宮崎駿監督作品『君たちはどう生きるか』は戦時中の時代のパラレルワールドだったので比較的好きなタイプの作品だったのだが、うっかり「やっぱりDISCAS」に書いちゃったんだよね……。
と思ったら、やや反則だが元スタジオジブリのクリエイターの安藤雅司と宮地昌幸が作った『鹿の王 ユナと約束の旅』がわりと良かったから「オススメ教えて!」の「ジブリ」で使いますか。
■鹿の王 ユナと約束の旅
《作品データ》
上橋菜穂子の原作小説をスタジオジブリで『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』の作画を手掛けた安藤雅司と宮地昌幸が監督を手掛けたアドベンチャーやアクションがあるアニメ映画!
圧倒的支配国家東乎瑠(ツオル)帝国に黒狼熱(ミッツァル)という黒死病みたいな流行病が蔓延し、ツオルの従属国家のアカファ王の懐刀トゥーリ厶はオタワル人の医師ホッサルにミッツァルを治す謎を解明してほしい、と頼む。そのヒントとして先頭集団「独角」の頭目ヴァンが握っており、捕らえてアカファ岩塩鉱で奴隷になったはずが山犬(オッサム)が岩塩鉱を襲撃の際に脱走。偶然出会った幼い少女ユナと共に旅をし、アカファの離れ里・火馬の郷で村人たちと狩猟や放牧をしながら逗留することに。
主人公・ヴァンの声を堤真一が演じ、他竹内涼真、杏、木村日翠、阿部敦、安原義人、櫻井トオル、藤真秀、中博史、玄田哲章、西村知道が声を担当する。
・公開日:2022年2月4日
・配給:東宝
・公式HP:https://shikanoou-movie.jp/
《『鹿の王 ユナと約束の旅』レビュー》
監督の安藤雅司がスタジオジブリにいたということもあるが、予告編の雰囲気から『風の谷のナウシカ』と『もののけ姫』のような雰囲気を感じた『鹿の王 ユナと約束の旅』。独特な世界観で人物相関などにやや難解な部分はあるが、『風の谷のナウシカ』と中世ヨーロッパとモンゴルの遊牧民を足したような世界観と「子連れ狼」的なメインキャラのヴァンとユナの関係と展開などを楽しめる。
王政の国家に黒死病のような流行病など、全体的な中世ヨーロッパテイストがある。野心を持つ戦闘国家に、メインキャラの一人であるユナのあどけなさなど、どことなくかつて監督の安藤雅司や宮地昌幸が在籍していた昔の「スタジオジブリ」っぽさが味わえ、「スタジオジブリ」作品でなくとも「スタジオジブリ」らしさが引き継がれ、味わえることが分かった。特に少女ユナは『となりのトトロ』や『崖の下のポニョ』に出てきた少女っぽく、ジブリ作品ではないがジブリの伝統と思わず言いたくなる。
ただ、序盤のヴァンとユナの脱走シーンや時折山犬の群れに入るユナの描写など油断すると「?」なシーンもあるし、ツオル帝国とアカファの関係も悪いのにツオルの王もアカファの王も一緒にいたりするので、いまいち分かりにくさがある。それぞれの人物相関は原作未読者にはパンフレットか公式HPのチャート欄をしっかり読み込む必要がある。
流行病の謎の部分は伏線も伏線回収もお見事。そこは原作がしっかりしている、とみた。ただ、わりと盛り上がり、さらにどうなる、と思ったらあっさりと終わるので、そこの惜しさはあるも、次回作に期待ができるし、それだけ引き込まれたかな。流行病・黒狼熱も新型コロナウイルスとは当然違うし、むしろ中世ヨーロッパに起こった黒死病みたいなものだから、そこは現代性とかメタファじゃなくて、純粋に中世ヨーロッパテイストとしての味わいとして捉えることができる。
繰り返して恐縮だが、ジブリ作品じゃないけどかつてのジブリっぽく、