【Foyer vol.5:ポレポレ東中野】文化と異国情緒が交差する東中野で、知的好奇心を満たす街歩きへ

新宿駅からJR中央・総武線でわずか2駅、約4分。都営大江戸線も乗り入れ、都心からのアクセスが抜群でありながら、駅を降り立つと、そこには穏やかな生活の空気が流れる、東中野が広がる。
駅前には活気ある商店街があり、飲食店が軒を連ねる一方で、少し歩けば閑静とした住宅街が広がる、利便性と暮らしやすさが両立した街だ。
しかし、この街の魅力は「暮らしやすさ」だけではない。一見すると落ち着いた街並みの中に、アジアの熱気を帯びた書店、異国の料理が香るレストラン、そして深く思考する時間をくれる映画館など、強烈な個性を放つ文化の担い手たちが静かに息づいている。
映画を観る前でも、観た後でも。あなたの知的好奇心を刺激する、東中野の発見に満ちた街歩きへ出かけよう。
目次
ポレポレ東中野|「思考の場」の核となる場所
Space & Cafe ポレポレ坐|映画の余韻と対話が生まれる広場
platform3|アジアの「声」と出会う、4階の独立書店
キャラバンサライ・パオ|シルクロードの風を感じる、アフガン料理
驢馬駱駝 (ろまらくだ)|夜景と音楽に酔う、天空の隠れ家
1. ポレポレ東中野|立ち止まり、向き合う「思考の場」
東中野を文化の街たらしめている、その核となる場所がここ「ポレポレ東中野」だ。
駅西口から1分、地下へと続く階段は、まるで異世界への入り口だ。踊り場には壁を埋め尽くすどころか溢れ出しそうなほどのチラシが積まれ、全国のアートイベントや映画祭の熱気が渦巻いている。この情報量に圧倒され、劇場にたどり着くまでに「ゆっくり」と時間がかかってしまうのも、ポレポレならではの体験だ。

扉の先には、96席の鮮やかな赤い座席と、地下とは思えないほど解放的な天井高の空間が広がる。ドキュメンタリーを中心に、自主配給作品や新人監督作など、「今、観客に届けたい」とスタッフが選び抜いた作品が上映される。毎日のように開催されるトークイベントの濃密さは圧巻で、作り手の生の声を直接浴び、観客と対話する姿は、まさに「思考の場」。まずはじっくりと一本の映画と対峙することから、この街の散策を始めたい。
【SNS】X:https://x.com/Pole2_theater
【公式HP】https://pole2.co.jp/
【住所】〒164-0003 東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル地下
【座席数】96席(車いす席有り、車いす用トイレ、エレベーター完備)
2. Space & Cafe ポレポレ坐|映画の余韻と対話が生まれる広場
映画館ポレポレ東中野と同じビルの1階に位置し、その世界観を共有するカフェスペース。古材のぬくもりが感じられる落ち着いた空間には、こだわりの珈琲の香りが漂い、壁には多くの書籍やチラシが並ぶ。 ここでは、映画を観る前の期待に胸を膨らませる人、観終わったばかりの映画の余韻に浸る人、そして鑑賞した作品について語る人々が、自然と混ざり合っている。

“語りの場”としても機能しており、ライブイベントやトーク、朗読会なども頻繁に開催される文化の発信地でもある。映画の感想を語り合うもよし、窓から差し込む光の中で静かに読書にふけるもよし。映画体験をより深く、豊かにしてくれる、この街の重要なハブ(結節点)だ。
【SNS】X:https://x.com/polepole_za
Instagram:https://www.instagram.com/space_cafe_polepoleza/
【公式HP】https://pole2za.com/
【営業時間】11:00-20:30(20:00L.O.)/不定休
【住所】東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル1F
3. platform3|「小さな声」を紡ぐ、雑居ビル4階の独立書店
東中野のカルチャーシーンを語る上で、ポレポレと並んで欠かせない場所がここ「platform3」だ。
東中野駅東口、雑居ビルの4階。エレベーターはなく、階段を上った先にある赤い扉が目印だ。一歩足を踏み入れると、そこは3人の運営者がそれぞれの鋭い視点でセレクトした本が並ぶ、濃密な空間が現れる。かつて大久保に拠点を置いていた書店「loneliness books」とインディペンデントな出版レーベル「(TT)press」によって共同運営されており、アジアやクィアカルチャーに関するZINEや書籍のラインナップは圧巻で、大手書店では決して出会えない、「小さな声」を紡いでいる。

二面窓から光が差し込む心地よい空間にはソファも置かれ、単に本を買う場所としてだけでなく、訪れた人々がくつろぎ、読書し、時には語り合う<プラットフォーム>となっている。トークイベントなども開催され、新たな視点やインスピレーションを求めて、多くの人がこの4階の隠れ家を目指してやってくる。
【SNS】X:https://x.com/plat_form3
Instagram:https://www.instagram.com/plat_form3/
【営業時間】平日:14:00〜22:00、土日祝:12:00〜22:00 /不定休
【住所】東京都中野区東中野1-56-5 ホシノビル401号室
4. キャラバンサライ・パオ|シルクロードの風を感じる、アフガン料理
映画や本で知的な刺激を受けた後は、異国の食文化で空腹を満たしたい。東中野駅東口の商店街を抜け、少し歩いた先に佇む「キャラバンサライ・パオ」は、東京でも極めて珍しい本格的なアフガニスタン料理の専門店だ。

店名の「キャラバンサライ」とは、シルクロードの隊商宿のこと。その名の通り、一歩足を踏み入れれば、異国の絨毯や装飾品に彩られた空間が広がり、まるで中央アジアを旅しているかのような錯覚に陥る。 メニューの中心は、もちろん羊肉料理。炭火でじっくり焼かれた串焼き「カバブ」や、トマトの酸味とスパイスの香ばしさが溶け合う「ペハーワル・カラヒィ」は必ず味わいたい逸品だ。スパイスとハーブが織りなす奥深くも優しい味わいは、日本人の舌にも驚くほど馴染む。この異国情緒あふれる空間で、遠いシルクロードに思いを馳せる夜を過ごしてみては。
【SNS】Instagram:https://www.instagram.com/caravansarai_pao/
【公式HP】http://www.paoco.jp/caravan/
【営業時間】17:00〜23:00(L.O. 22:00) /定休日:火曜
【住所】東京都中野区東中野2-25-6 1F
5. 驢馬駱駝 (ろまらくだ)|ディープな夜景に酔う、天空の隠れ家
東中野の夜を締めくくるなら、「キャラバンサライ・パオ」と同じビルの9階へ。エレベーターで昇った先にある「驢馬駱駝(ろまらくだ)」は、知る人ぞ知る天空の隠れ家だ。ムーディーな照明が灯る店内は、まさに大人のための空間。そして、大きな窓には、一面にビル群がきらめく圧巻の夜景が広がっている。

ここは本格的なバーでありながら、ワールドミュージックや様々なジャンルのライブも行われ、音楽と夜景、そして美味しいお酒が溶け合う。その日体験した出来事に思いを馳せて、この街のディープな夜に身を委ねたい。
【SNS】Instagram:https://www.instagram.com/romarakudaokumura/
【営業時間】19:00〜翌2:00 /定休日:月曜
【住所】東京都中野区東中野2-25-6 9F
新宿からほど近い利便性からは想像もつかないほど、東中野は奥深く、多層的な文化に満ちている。 ポレポレ東中野で一本の映画と向き合い、カフェで思考を深め、書店で新たな視点に出会い、異国の料理と音楽に酔いしれる。この街では、映画体験がスクリーンの中だけで完結しない。街全体が、あなたの感性を揺さぶり、日常を豊かにしてくれる思考の場そのものなのだ。 忙しない日々から少しだけ離れ、この街でゆっくりと立ち止まる、贅沢な時間を過ごしてみてほしい。

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