DISCASレビュー

女王蜂（1978）

　1978年　東宝　劇場公開：1978年2月11日

スタッフ　監督：市川崑　脚本：市川崑、桂千穂、日高真也　原作：横溝正史　

　　　　　製作：馬場和夫、田中収　撮影：長谷川清　音楽：田辺信一　協力監督：松林宗恵

キャスト　石坂浩二、高峰三枝子、司葉子、中井貴恵、沖雅也、草笛光子、坂口良子、萩尾みどり、

　　　　　加藤武、大滝秀治、神山繁、小林昭二、佐々木勝彦、佐々木剛、中島久之、高野浩之、

　　　　　石田信之、常田富士男、冷泉公裕、武内亨、白石加代子、伴淳三郎、三木のり平、

　　　　　岸惠子、仲代達矢　ほか

昭和二十七年、伊豆天城の月琴の里にある大道寺家の大時計で、大道寺智子の求婚者の一人、遊佐三郎が廻る歯車に体を引き裂かれ死んでいた。この事件に、当主の銀造、妾の蔦代、家庭教師の神尾秀子も息をのんだ。しかも、遊佐のポケットには智子から誘いの手紙が入っていたのだ。金田一耕助は、事件直後、京都の山本弁護士の依頼で、十九年前の事件の真相調査のため大道寺家を訪れる。十九年前の事件とは銀造が大道寺家の婿養子になる前の学生時代に親友の日下部仁志と伊豆旅行をした時、日下部は大道寺琴絵を愛し、やがて琴絵は妊娠したが、日下部は母に結婚を反対され、崖の上から転落事故死したことだ。その後、京都に住む銀造は琴絵と結婚するが、琴絵が月琴の里を離れないため、二人は名目だけの夫婦であった。琴絵は以前大道寺家の小間使いであった蔦代に銀造の世話をさせる。そして、二人の間に文彦が生まれた。琴絵は智子が十五歳の時に死亡する。

原作の舞台「月琴島」は「月琴の里」として伊豆山中に設定変更され、大道寺銀造、智子父娘らの居住地である京都を第二の舞台とした。かつて金田一シリーズに出演した大女優の3人、「高峰三枝子」「岸惠子」「司葉子」を共演させることとなり話題となった。その時点でまだ脚本が出来ておらず、どんな役を演じるのか全くわからなかったにもかかわらず、3人は出演を即答で快諾した。なお、3人はそれまでに映画のみならずテレビや舞台でも顔を合わせたことがなく、初共演となった。過去3作の犯人役スターを勢揃いさせた上、仲代達矢を加え、シリーズ随一の豪華キャストを売りにした。本作はカネボウのタイアップ映画としての一面も持っていて、カネボウは映画公開と合わせて、新製品の口紅を発売した。カネボウのCMには中井貴恵が起用され、「口紅にミステリー」「女王蜂のくちびる」といったキャッチコピーで広く大衆に認知された。