ロボット達の友情、裏切り、覚醒と闇堕ちが見られるトランスフォーマー前日譚『トランスフォーマー/ONE』
■トランスフォーマー/ONE
〈作品データ〉
『トランスフォーマー』シリーズのメインキャラのオプティマスプライムとメガトロンの若き日のエピソードを描いた3DCGアニメのSFアクション&アドベンチャー映画!惑星サイバトロンのエネルギー集積の労働ロボットのオライオンパックスはD-16と共に地下都市アイアコンで鉱山労働に従事するが、数々違反を犯し、地下50階の廃棄施設の部署に落とされる。そこで、労働ロボットのB-127と出会い、その時、ひょんなことからマトリクスの在り処のヒントを知ることになり、オライオンパックスらはさらにエリータ-1を巻き込み、地上に脱出することに。主人公・オライオンパックスの声をクリス・ヘムズワースが担当し、他ブライアン・タイリー・ヘンリー、スカーレット・ヨハンソン、キーガン=マイケル・キー、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・フィッシュバーン、ジョン・ハムが出演。
・9月20日(金)よりTOHOシネマズ日比谷他全国ロードショー
・上映時間:105分
・配給:東和ピクチャーズ
【スタッフ】
監督:ジョシュ・クーリー/脚本:エリック・ピアソン、アンドリュー・バレル、ガブリエル・フェラーリ
【キャスト】
クリス・ヘムズワース、ブライアン・タイリー・ヘンリー、スカーレット・ヨハンソン、キーガン=マイケル・キー、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・フィッシュバーン、ジョン・ハム
原題:Transformers One/製作国:アメリカ/製作年:2024年
公式HP:https://tf-movie.jp/
〈『トランスフォーマー/ONE』レビュー〉
ついに人間を排除し、ロボット達のみの世界観で構成された3DCGアニメ映画の『トランスフォーマー/ONE』。つまり、労働ロボットのオライオンパックスがオプティマスプライムになるまでのストーリーで、
世界観に慣れれば『インディー・ジョーンズ』シリーズと『スター・ウォーズ』、『DUNE/デューン 砂の惑星』を併せたような壮大なSFアドベンチャーとアクション大作で、シリーズ屈指の面白さに仕上がっている!
主人公に当たる後のオプティマスプライムのオライオンパックスらの労働ロボットは変身能力トランスフォームが出来ないが、鉱山労働の苦しい環境から脱出したい強い意志があり、そこからの脱出とレジスタンス劇と考えればいい。プロットとしては『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が比較的近いかもしれないが、主人公となるオライオンパックスがD-16(後のメガトロン)とB-127(後のバンブルビー)、女性ロボットのエリータ1を仲間に、地上へと脱出し、フォースではなくてマトリクスを探す旅に出る。
さらにこの話の鍵になるのがアイアコンでカリスマ的な存在のセンチネルプライムで、一見、労働ロボットらを思うような言動でアイアコンの民の心を引き付けているが色々と裏があり、後半はこのセンチネルプライムへのレジスタンス劇となる。面白いのはD-16の心境の変化で、最初は鉱山労働の作業を真面目にこなしていた優等生タイプだが、ある真実が分かってから疑念とショックから怒りへと変わり、感情の変化が著しい。それと主人公のオライオンパックスが常に大胆な行動をするので何かと危機に直面し、ストーリーの波が激しい。
普通の労働ロボットがトランスフォーム出来るロボットに覚醒するコアとかマトリクスとか、人物相関等の世界観を知るのに時間を要するが、マトリクス探索の流れは『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』等の『インディー・ジョーンズ』シリーズっぽいし、クインテッサ星人とのやり取りは『DUNE/デューン 砂の惑星』風、「アイアコン5000」やバトルシーンなどは『スター・ウォーズ』シリーズの世界観の応用、さらには地下都市アイアコンのセンチネルプライムと鉱山労働の労働ロボットの構図はSF映画の古典『メトロポリス』をも思わせ、
古今東西のSF作品のエッセンスが詰め合わさっている。
後のオプティマスプライムやメガトロンになる壮大な前日譚としては波が激しく、アドベンチャー&アクション映画として存分に楽しめる。