DISCASレビュー

かずぽん
2025/11/09 11:35

新幹線大爆破

止められない新幹線】

 

(1975年/日本/152分)
監督:佐藤純弥

今から60年前の1964年10月1日に東海道新幹線が開業した。人間でいえば還暦を迎えたことになる。過日『タモリステーション』で、そんな新幹線をテーマにした特集が放送された。興味深いことには、その番組内で高倉健さんが爆弾を仕掛けた犯人役を演じた『新幹線大爆破』が取り上げられたのだ。
高速で走行する新幹線を安全かつ速やかに停止させる高性能ブレーキが搭載されていることの説明や、トラブルが起きた時の回避方法など、新幹線の総合指令所内も紹介された。
本作の劇中、宇津井健が演じる倉持運転指令長の居た場所が総合指令室で、列車の運行状況がわかる運行表示盤も、列車がどの位置に在るのかが一目でわかる仕組みになっているのも忠実に再現されていたことが分かった。

東映では「世間をアッと言わせるような作品」を模索しており、「何か問題があれば必ず止まる安全な新幹線」が、「乗っ取られる」「爆破される」という危機に直面するというアイデアが採用されたようだ。タイトルもシンプルに「新幹線大爆破」

今年は草彅剛主演の新作(タイトル同じ。リブート)も公開されて、オリジナルの本作も再注目されたので、私も18年ぶりの鑑賞となった。
犯人の要求は、500万米ドル。

彼が仕掛けた爆弾は速度が80㎞以下になると爆発するという。タイムリミットは博多駅に到着するまでの9時間だと伝えて来た。爆弾の解除方法は、現金を受け取った後で教えるという。

爆弾が仕掛けられた「ひかり109号」の乗客1500人の命を守ることを第一に考える国鉄指令長倉持(宇津井)と犯人逮捕を第一に考える警視庁の立場の違いが顕著で興味深かった。ラストのシーンをすっかり忘れていたのであるが、丹波哲郎演じる警察庁刑事部長の出した指示が、日本の警察にしては異例に感じた。海外での上映を意識していたのだろうか。

兎に角、犯人のボスである沖田(高倉)の計画が見事なまでに完璧で、予期せぬ事態にも臨機応変に対応したのが凄かった。なのに、事態は犯人にとって悪い方へ悪い方へと展開していくのだ。それは、彼ら(犯人)が根っからの悪人ではなかったのが理由だと思う。善人のままでは犯罪を冒すなど所詮、無理なのだろう。
事件が解決したというのに倉持運転指令長が自ら辞職したことについては、人命についての考え方の違いが明確になったシーンだと思う。この点に関しては模範解答はないだろう。
とはいえ、ハラハラドキドキが繰り返すパニック映画として楽しめることをお約束。そういえば本作、『夜空の大空港(1966)』に似ているかも。(あれ~?「新幹線大爆破」の方が後だ・・・)

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