日本のVFXが認められた瞬間

アカデミー賞視覚効果賞受賞

監督:山崎貴

主演:神木隆之介

時間:１２５分

おすすめはモノクロ、マイナスカラー

うわぁ、これ絶対にモノクロですわ。

既にカラーでご覧になった方も、これからの方も（いるかな？）悪い事言わないから、絶対にモノクロで行って下さい。もうこの白黒で映画を作っていた時代の作品に観えてくるという、絶妙なハマり感がありました。今回のゴジラ、普段ゴジラシリーズを観た事ない人も観ていたりして、大評判になっていました。そうです、私人生初のゴジラ体験なのです。

流行りにノるかソるか。

悩んでいた所、まさかの大ハマりの友人と。だったら行っちゃおっか！って半ば勢い任せに行ったんですが、このモノクロにやられましたね。

ゴジラの特徴と時代設定

そもそもゴジラって、喋らないんですよ。だから、何の目的で現れたか誰も知りません。人間の敵なのか、はたまた味方なのか。モスラとか他の怪獣と戦ってみたりするけど、人間の為にやったとも思えず。しかも口とか背中からビームらしきものを発射したり、それが放射能って超恐い。頭も目も小さくて鋭い。一時、丸っこくてユーモラスな時あったわよね、あなたと、言いたい気持ちもしますが、今回のゴジラの特徴は背中のトゲ。ガシンガシンって出てくるのヤバい。

舞台は第二次世界大戦中から、終戦にかけて。

この設定も良いですねー。主役の敷島（神木隆之介）は特攻隊から逃れるため、戦闘機の故障と偽って大戸島へ不時着した。そこで早速、ゴジラ登場。そこでもビビって攻撃できず、島にいた整備兵は橘（青木崇高）以外全滅した。

特攻隊として国のために死ぬ事も出来なかっただけでなく、その場にいた整備兵たちも見殺しにしてしまった。

深く傷ついて東京へ戻るも、生きて帰れと言った両親は、空襲によって亡くなっていた。瓦礫だらけの町に呆然と立ち尽くすも、近所の澄子（安藤サクラ）からは『あんた達がしっかりしてたら、あんたの親もうちの子供らもまだ生きてたんじゃないのかい』となじられる。こーゆー話、実際に沢山あったんでしょうね。また、先日の日本アカデミー賞でも助演女優賞を安藤サクラが受賞したように、確かな演技力の猛者たちが、この作品レベルを上げている。また、敷島はPTSDの症状とサバイバーズギルドに悩まされて病んでいる様子。彼の「戦争」は終わっておらず、常にギリギリで生きていました。このように、人間ドラマが素晴らしくリアルで感情移入出来るのは、モノクロだからではないでしょうか。

そんな時、あのゴジラが日本を襲ったのです！

せっかく復興してきた東京が、壊滅的なダメージを受けるのです。その犠牲者には典子（浜辺美波）も含まれました。その後、野田（吉岡秀隆）を先頭にした作戦によりゴジラ退治に行く海兵隊の残党たち。この場面はアメリカも日本政府も役に立たないから、我々がやらねば！という批判が込められているし、作戦を説明する野田がいう『この国は簡単に命を粗末にしてきてしまった』という台詞も、正に反戦を訴えるメッセージだった。なんとなーく台詞が説明的だったり、キャラの設定がブレてる感じがあるのは、山崎監督のご愛嬌という事で。しかしこの船の作戦シーンは、もうこれ以上ないタイミングでテーマ曲が挿入され、正直興奮いたしました。また、私の弱点というか泣きポイントである『何かの為に全員集合』シーンもあり、非常に胸熱でした。総じて素晴らしい反戦映画となっておりました。

だからエンドロール中に、あぁこのメッセージは戦争についてなんだなーと理解していくにつれて涙が次々に溢れ、轟音で迫り来る足音も終わり、明るくなってもずっと涙が止まりませんでした。今でもまだ公開中、受賞によりさらにロングランしていくでしょう。絶対にスクリーン推奨です！