宇宙征服
宇宙征服
1955年 アメリカ 劇場公開:1955年7月22日
スタッフ 監督:バイロン・ハスキン 原作:チェスリー・ボーンステル、ウィリー・リー
製作:ジョージ・パル。脚本:ジェームズ・オハンロン。特撮:ジョン・P・フルトン
キャスト ウォルター・ブルック、エリック・フレミング、フィル・フォスター、ベンソン・フォン、
ミッキー・ショーネシー、ウィリアム・レッドフィールド、ウィリアム・ホッパー、
ロス・マーティン、ビトー・スコッティ、ジョン・デニス、マイケル・フォックス、
ジョアン・ショーリー ほか
時は未来。場所は地球から1100マイル上空の宇宙旅行中継所。これは人類がつくった地球の衛星である。すでに1年にわたってサミュエル・メリット大佐(ウォルター・ブルック)以下の特にえらばれたアメリカ陸軍将兵が、この中継所で月世界旅行のため、宇宙船の運送に従事していた。月世界行きのため特別の訓練をうけている6人の兵はマホニー軍曹の監督下におかれていた。ジョージ・フェントン博士が地球からロケットで来て、メリット大佐が少将に進級したこと、月世界行きが火星旅行に変更されたことを知らせた。大佐とその息子のバーニー以下、シーグル、井本、フォダーが火星行きロケットに乗り組むことになった。

この映画は、宇宙ステーションやロケット、流星、火星を襲う大地震など映し出される数々の特撮シーンは大変出来が良くて、一見の価値があります。しかし、ストーリーは、火星への往復の飛行中の乗組員の様々な人間模様が描かれた異色作で、長期間にわたる宇宙の旅において人間にどのようなストレスが発生するのか、そんなことを描いている作品ですので、当時の大多数の観客はSF映画に娯楽や夢を求めていたことを考慮すると、本作は、観客の求める方向性の映画ではなかっただろうと予想され、時代的には早く世に出すぎた作品であったかもしれません。飛行中、通信アンテナに異常が起きて修理のため船外に出るシーンは『2001年宇宙の旅』に似たようなシーンがありました。当時の特撮技術の粋を凝らして撮影した宇宙の美しいシーンが、いつまでも印象に残る作品でした。