キングコング対ゴジラ
キングコング対ゴジラ
1962年 東宝 劇場公開:1962年8月11日
スタッフ 監督:本多猪四郎 脚本:関沢新一 製作:田中友幸 音楽:伊福部昭 特撮:円谷英二
キャスト 高島忠夫、佐原健二、藤木悠、浜美枝、若林映子、田崎潤、松村達雄、平田昭彦、三島耕
、有島一郎、大村千吉、小杉義男、松村いき雄、根岸明美、松本染升、堺左千夫、中山豊
、千葉一郎、加藤春哉、D・フェーン、ハロルド・コンウェイ、オスマン・ユセフ、
桐野洋雄、田島義文 ほか
パシフィック製薬の多湖宣伝部長は、自社提供のテレビ番組「世界の驚異シリーズ」が不評のため悩んでいる矢先、南方野生薬草の調査旅行から帰った牧岡博士から、ファロ島に大異変が起りつつあるという原住民の噂を聞くや、TV局の桜井カメラマンや古江社会教育部員を海外取材班として急行させた。そのころ、国連派遣の科学者を乗せて北極海を航行中の原子潜水艦シーホーク号は、突如大爆発を起した氷山から怪獣ゴジラが飛び出してくるのを見た。彼は咆吼と共に放射能を吐きつつ北方軍事基地を粉砕、ベーリング海峡を一気に南下した。一方南海のファロ島に上陸した古江たち一行は、浜辺で大蛸と格闘するキングコングに胆をつぶした。原住民の土器の赤い汁を飲んだキングコングは昏睡状態に陥って、難なく生捕りにされた。大筏にしばりつけたキングコングを貨物船が曳いて日本へ向う途中、待ちきれない多湖がヘリコプターで飛んできた。キングコングとゴジラを戦わせれば、これ以上の宣伝はないと、大ハリキリだ。

アメリカが生んだ怪獣キャラクターの元祖「キングコング」をゲストに迎え、ゴジラが7年ぶりに復活した。前作『ゴジラの逆襲』の続編であるが、前々作『ゴジラ』から描かれてきた反核のイメージはほぼ廃され、キングコングとゴジラの激闘をユーモアを交えて描いた、明快な娯楽映画の色彩が非常に強い作品となっている。ゴジラシリーズ中では歴代1位となる1,120万人を動員する大ヒットを記録した。内容や製作体制において、昭和ゴジラシリーズの礎を築いたとされ、初めて、ゴジラの体色や放射能火炎の青白い色が披露され、本作品以降の怪獣映画は単独キャラクターものから対決路線へと転換していった。ゴジラとキングコングの対決は曖昧な形で終わっているが、これは自国のキャラクターを敗者にすることを避けるために日米の関係者が議論を重ねた末の結果と言われている。監督の本多猪四郎は、当初キングコングの起用には抵抗があったが、会社からは強く要望されたといい、やるとなったからには一生懸命であったと述べている。本多は1933年版『キング・コング』を研究した結果、キングコングへの美女の悲鳴が演出上の要になると考え、該当シーンの演出や浜美枝への演技指導に力を注ぎ彼女の喉をからせるほどだった。