【シネコヤ店主へ独占インタビュー!!】映画館でもミニシアターでもない、”シネコヤ”という新たな映画空間の確立へ
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前回の記事でご紹介した鵠沼海岸にある小さな映画館”シネコヤ”。
コンセプトの由来やシネコヤの在り方などについて
店主の竹中翔子さんにお話を伺いました。
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以下、インタビュー内容
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Q:シネコヤを建てようと思ったきっかけを教えてください。
A:”街の映画館”の閉館がきっかけ。
大きなきっかけとなっているのが、藤沢で70年ほど前からあったいわゆる”街の映画館”が閉館したことです。都内でも次々とミニシアターがなくなっていました。
その当時、私は映画制作を学ぶ大学に通い、映画監督を目指していました。しかし、自分が映画を作っても上映する場所がなければ意味がないなと思って、だんだん映画館の方に興味がシフトしていきました。
Q:「映画と本とパンの店」というコンセプトに至った経緯についてお聞かせください。
①本について
A:小さい頃から本に囲まれた空間への憧れがあった
本は私の中でも特に想いがあります。ずっと藤沢育ちだった私にとって、自分がみてきた街並みが変わっていく寂しさの中に古本屋もありました。
子供の頃は近くにブックオフのようなチェーンの古本屋がなかったのですが、個人店の古本屋は結構たくさんありました。それぞれの古本屋で特色があって、休みの日なんかは家族で古本屋巡りをするくらい徒歩圏内にたくさんあったんですよ。
当時は小さかったので、古本屋には漫画を買いに行ってたんですけど、店には漫画だけじゃなくて、難しい本なんかも並んでるじゃないですか。本の虫と言われるほど本にハマったわけではないのですが、そんな本がバーっと並んだ空間への憧れみたいなものを持っていました。
本と映画ってすごく親和性の高いコンテンツだと思っていて、自分がどんな映画館を作りたいかって想像した時に1番に本がある空間がいいと思いました。
②パンについて
A:開業当初の事情からパンになったが、今考えるとパンにして正解だと思う。
1階にカフェがあり、奥にライブラリー、2階にはシアターがある。そんな空間にしたいという思いから飲食部門は入れようと考えていました。
パンになったのはオープン当初に飲食部門をお任せしたいという人が、たまたますごくおいしいパンを焼く方だったからです。
最初は、昭和の喫茶店のようなナポリタンとかそういう昭和なメニューにしたいなと思ってたんですけど、カトラリーを使うものって音とかでるので、難しいじゃないですか。なので、パンでよかったな〜と、ラッキーだったなと思います笑
リアルな話をすると、東京などの人口規模がある街で映画館が潰れて言ってるということはいわゆる今までのホールの映画館で営業していくのが難しいと思っていました。
そのため、”小規模で開業できるシアター+売り上げを期待できる飲食部門”でやっていくことにしました。
Q:シネコヤは他の映画館と比較してリラックスできる工夫がされている印象ですが、どのような評判を受けていますか。
A:映画館の空間が苦手な方がシネコヤを気に入ってくれるケースがあります。
お客さんからは「自分の部屋やリビングの延長」や「友達の家に遊びに来た感覚」という言い方をされることがあります。でも、一方でパーソナルな感覚はもしかしたら他の映画館より薄いんじゃないかなと思っています。
例えば、性描写が激しい作品では全然動員が入らないんですよ。
一般の映画館ではシートに座るとあまり周りの人が視界に入らないじゃないですか。
自分のスペースが守られているから、映画対自分になるんですけど、ここって前に座ってる人見えるし、隣の気配も感じるし、なんか気まずいのかなと思って笑
でも、逆に最後に盛り上がる作品はすごいお客さんが入ってるから、一体感みたいなものは生まれてるのかなと思ってます。
地域性もあると思いますが、空間によって作品の動員が変わるのは、シネコヤのひとつの特徴かもしれないですね。
Q:お客さん同士で交流が生まれることはありますか。
A:シネコヤで顔見知りになり、挨拶するとかはあります。あと、シネコヤの外でお茶したりはある模様です。
現在はコロナでなくなっちゃいましたが、開業当初は自然発生的な交流も見受けられました。
常連さんが新しいお客さんに店のルールを説明するということがよく見られました。
自由席とか、飲み物は席まで持ってきてくれますよ〜など、下で受付してから入るんですよとか、そういう微笑ましい光景をよく見かけました。
Q:シネコヤが街のコミュニティへ与える影響はありますか。
A:地域コミュニティから出たことがないため、そこにあまりピントが合わない。
個人商店の在り方として、お客様同士の交流は重要な要素の一部であると思ってます。
そういうものがないと、長くやっていけないと思ってます。あと、単純に見ててほっこりするので笑
ただ、そういったコミュニティを意図して作っていきたいという意識はあまりないですね。
Q:翔子さんの意識はどこに向いていますか。
A:生活の身近なところに映画がある状況を作りたい。
映画を見なくとも、映画というものが日々の生活の中で感じられる距離感のところに存在していたいなというのが目標です。
パンだけ買いに来る方とかいるんですけど、映画は一度も観にきたことないけど、「今何やってんの?」と上映作品について聞かれることがあります。観にきたことはないけど、その人の中で映画というものが存在しているということが、長い目で見たときに映画が生き残っていくために必要なことだなと考えてます。
地方でシネコヤみたいな映画空間が徒歩圏内にできていくと良いなと思っていて、そのモデルケースを作って行こうかなと思っています。
Q:映画館という括りではないのでしょうか。
A:映画館でもミニシアターでもなく、”シネコヤ”という新しい映画空間として認識が広がっていけばと思っています。
”シネコヤ”という映画空間がどんなものかはもう少し定義付けしていく必要がありますが、小規模で映画+αがあり、生活の自転車・徒歩圏内にあることが条件だと思っています。
最近話していた中で、「商店街にある」という点がシネコヤのイメージにピッタリだと感じました。映画に触れられる環境が商店街のような身近な場所にあることが大事だと思います。
目指すところは”シネコヤ”というジャンルの確立です。
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私の拙い文章でシネコヤと翔子さんの魅力が伝わったか不安ですが、最後まで読んでいただきありがとうございます!
翔子さんはとてもフレンドリーで穏やかな性格ですが、シネコヤや映画の未来を語る様子には熱い意志を持った素敵な方でした。また、地域コミュニティにピントが合わないと仰っていましたが、シネコヤで行っているイベントや企画は交流を生み、結果的に地域に還元されていると思います。
いろんなイベントが企画されていると思うので、興味を持ったら行ってみてくださいね。
取材を受けてくださった竹中翔子さん、ありがとうございました!
シネコヤさんの情報
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投稿を表示最後まで読ませていただきました〜!
井田さんのシネコヤへの愛がいっぱい感じられました!
言い換えると、シネコヤへの愛がないとここまでの深い取材ができなかったと思います。
行ってみたい映画館の一つです!魅力がたっぷりですね♡
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