DISCASレビュー

映画『スキャンダル』（原題：Bombshell）は、2016年に実際に起きたFOXニュースでのセクシャル・ハラスメント事件を題材にした作品です。主演はシャーリーズ・セロン（メーガン・ケリー役）、ニコール・キッドマン（グレッチェン・カールソン役）、マーゴット・ロビー（架空の若手キャスター、ケイラ役）という豪華キャスト。

物語は、FOXニュース創立者でありCEOだったロジャー・エイルズによる長年のセクハラ行為が、女性キャスターたちの告発によって明るみに出る過程を描いています。2016年、グレッチェン・カールソンが最初に告発し、続いてメーガン・ケリーを含む20人以上の女性が声を上げたことで、エイルズは辞任に追い込まれました。

劇中では、エイルズが女性キャスターに「もっと短いスカートを履くように」と指示し、実際にスカートの裾を上げさせるシーンが描かれています。この場面は、権力による性的支配の象徴として、観る者に強い不快感と緊張を与えます。マーゴット・ロビー演じるケイラの視点から描かれることで、若い女性がキャリアと尊厳の間で揺れる姿がリアルに伝わってきます。

この映画は、#MeToo運動の文脈でも重要な位置づけを持ち、日本では約10年遅れて同様の告発が広がり始めました。映画は単なる再現ドラマではなく、メディア業界における構造的な性差別と沈黙の文化を鋭く批判する社会派作品として評価されていま