DISCASレビュー

カッツ
2025/12/02 07:33

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

2007年公開のアメリカ映画で、第80回アカデミー賞では作品賞を含む8部門にノミネートされ、主演男優賞と撮影賞を受賞した。物語は20世紀初頭のアメリカを舞台に、石油開発の先駆けとなった山師の生き様を描いている。主人公は息子をかわいがりながらも、土地の所有者を巧みに言いくるめて油田を手に入れ、巨万の富を築いていく。宗教との関わりも深く、信仰と欲望の対立が物語の大きな軸となっている。

石油が噴出し、炎に包まれる場面は圧巻で、映像の迫力に圧倒された。CGなのか実際の撮影なのかと思うほどのリアリティがあり、映画の緊張感を一層高めている。ラストは宗教との絡みが強調され、理解が難しい部分もあったが、主人公の孤独と破滅を象徴する場面として強い印象を残した。

この作品は、アメリカ資本主義の黎明期における欲望と権力、そして人間の孤独を描いた重厚なドラマであり、映像美と演技の力が融合した傑作であると感じた。

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