DISCASレビュー

カッツ
2025/12/14 08:25

ホワイトアウト (2009年)

2009年/監督:ドミニク・セナ 本作は、グレッグ・ルッカの同名グラフィックノベルを原作としたサスペンス映画である。物語は、南極の上空で消息を絶ったソ連の飛行機と、その50年後にアメリカ基地で発生する殺人事件を軸に展開する。二つの出来事が時を隔てて結びつき、謎が次第に明らかになっていく構成が特徴的だ。

主人公は、極寒の基地で孤軍奮闘する女性連邦保安官。嵐が吹き荒れる中、事件の真相を追う彼女は、ホワイトアウトの極限状況で素手でロープを掴み、指を切断せざるを得ないほどの過酷な試練に直面する。その姿は、極地での人間の脆さと強さを同時に描き出している。

南極の吹雪のシーンは迫力があり、映像的にも重厚感が際立つ。全体に制作費を惜しまず投入したことが伝わり、極地の孤独と恐怖をリアルに体感させる。サスペンスとしての緊張感と、極限環境を舞台にした映像美が融合した作品であり、最後まで観客を引き込む力を持っている。

コメントする