DISCASレビュー

カッツ
2025/11/01 08:18

鎌田行進曲

1980年11月公開、つかこうへい監督、松坂慶子、風間杜夫、平田満の主演で、日本映画が低迷していた時代に久々の大ヒットを記録した作品である。
かつて「キネマの天地」と称された松竹蒲田撮影所はすでに閉鎖され、洋画ばかりが注目されていた1980年当時、日本映画の復権を感じさせる一本だった。
物語の舞台は京都の映画撮影所。そこで「新選組」の映画撮影が行われる中、主役を演じる風間杜夫、大部屋俳優の平田満、そして彼の“女房”である松坂慶子の三角関係が、笑いと涙を交えて描かれる。
中でも圧巻なのは、平田満演じる銀四郎が「女房がこれなんで」と妊娠を示すポーズをしながら、10メートルの高さから転げ落ちる“階段落ち”のシーン。命がけの演技と裏方の誇りが交錯するこの場面は、日本映画の魂を感じさせる名場面だった。

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