笑いのツボ! ローワン・アトキンソン
ローワン・アトキンソン(1955.01.06 ~ イギリス生まれ)
彼の笑いのツボは ‘セリフを一切喋らない’ ことにある。
百面相の如く、目、眉、鼻、口を自在に動かし、軟体動物の如く、身体が微妙に柔らかい。
そこから繰り出される笑いの数々は、日本のコメディアンには到底無いものだろう。
本欄で彼の「笑いの代表作」を4本ご紹介したい。
「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」

(2007年、イギリス、カラー、90分)

冒頭からいきなりの笑いです。
くじ引きの景品は「カンヌでのバケーション&ビデオカメラ」。当たりくじは「919」番なのですが、ビーン(ローワン・アトキンソン)は自分の持っている札番を「616」番と思い込んでしまう。
そう、逆さまに見てたんですね。カンヌでは丁度映画祭が催されており、高速列車に乗って向かうビーンは、途中でロシアの映画監督エミール(カレル・ローデン)と知り合います。しかしビーンのせいでエミールは途中駅でおいてきぼり。車内でエミールの息子ステパン(マキシム・ボルドリー)と一緒になるも、ビーンの失敗続きで旅行は滅茶苦茶。今度はアメリカの映画監督クレイ(ウィレム・ダフォー)と出会い、彼の作品に出演している若い女性サビーヌ(エマ・ドゥ・コーヌ)と一緒にカンヌへ向かうことに。ようやく到着したカンヌで、ビーンはまたまた凄いことをやらかします!

数え上げたらきりがありません。(以下、笑いのシーンの、ほ~~の一部)
①.自販機の紙幣を入れる部分にビーンのネクタイが挟まり、引っ張られて吸い込まれそうになる。
②.ビーンがレストランで生牡蠣を食べるときの表情と、実は食べなかった生牡蠣の処理方。
③.カンヌ行きのバスの切符が風で飛ばされ、自転車で追うシーン。
④.ビーンがドイツの軍人に扮し、足を高く上げて歩く所作。
⑤.ビーンが運転する車。睡魔の連鎖から脱する為、あらゆる方法を試みるサマ。極めつけは爪楊
枝。
...とまあ、ふんだんに盛り込まれているのですが、「笑い」は観ないとわかりませんよね。
ラストの、映画館での上映シーンからエンディングへと繋がる流れは見事でした。
「ジョニー・イングリッシュ」

(2003年・イギリス、カラー、88分)

冒頭のジョニー・イングリッシュの登場シーンは、007ばりに颯爽としていて、(やや)高級スーツに身を固め、ポーズもキマッテいます。
この映画に理屈は不要、とにかくイングリッシュ(ローワン・アトキンソン)の笑いのオンパレードです。
①.敵と闘っているようにみせかける一人芝居。(ドアの半開きを利用して)
②.口から出まかせで証言した犯人の似顔絵 ⇒ 実に滑稽で、エンドクレジットの際、再登場。
③.イングリッシュの自宅に仕掛けられてあった自身の盗撮映像。
④.葬儀中の参列者を犯人扱いし、部下に‘精神病者扱い’され、バツの悪そうなイングリッシュ。
⑤.いわゆる ‘ウン〇ネタ’ 、詳細はあえて割愛。
⑥.回転寿司店でのシーン。会話の内容もさることながら、ネクタイが回転レーンに挟まってしまう場
面 *このシーンが1番笑えました。

これら以外にも随所に様々な笑いが仕掛けられています。
本家本元の「007/ダイ・アナザー・デイ」や「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」の脚本を担当した、ニール・パーヴィス、ロバート・ウェイドの両氏が本作脚本に関わっています。
共演者にジョン・マルコヴィッチの顔も見えます。
「ジョニー・イングリッシュ / 気休めの報酬」

(2011年・イギリス、カラー、101分)

冒頭のチベットの僧院での修行シーンから、いきなり笑えます。
独特なんですね、彼の所作が。
目の動き、鼻の下の伸び具合、口の開き具合、手先のひねり、身体全体の動き、歩き方...これに突拍子もないセリフが入るわけですから、笑えない筈がありません。

「007」シリーズのパロディ、なかでも「007/慰めの報酬」を意識している感がありますが、
「007」シリーズの他の作品の場面をパロッているところも多々登場します。
代表的なのは、掃除婦を装った老婆の殺し屋(ピク・セン・リム)で、これは63年「007/ロシアより愛をこめて」(テレンス・ヤング監督)に登場する、クレッブ大佐(女優ロッテ・レーニャ)を彷彿させます。同作のラストで、クレッブ大佐が、靴に仕掛けた(靴から飛び出る)毒塗りナイフで、ジェームズ・ボンドを攻撃するシーンです。
共演陣では、メジャーとなる前のロザムンド・パイクが出ています。(M17の心理学者、ケイト役)
「ゴーン・ガール」(2014年)など、今ではすっかり有名女優となりました。

そして主人公ジョニー・イングリッシュの上司役で、ジリアン・アンダーソンが登場。
そうです、「X-ファイル」の彼女ですね。
本作ではイングリッシュに徹底的に振り回され、コメディでなければ可哀そうなくらい。
「ジョニー・イングリッシュ / アナログの逆襲」

(2018年・イギリス、カラー、89分)

ローワン・アトキンソンの ‘笑い’ は、自然と出てくるものと、仕掛けられた笑い(しかも観客はそのことが分かっている)の2種類が混在しているから余計に可笑しい。
主要各国首脳が集まるG12サミット(何故か12)が控える中、ロンドンでサイバー攻撃が発生。苦悩する首相(エマ・トンプソン)は諜報機関M17を通じ、引退していたエージェントのジョニー・イングリッシュ(ローワン・アトキンソン)に犯人捜しを命ずる。イングリッシュは相棒のボフ(ベン・ミラー)と共に南仏へ向かい、サイバー攻撃の発信源の船に乗り込むが、謎の美女オフィーリア(オルガ・キュリレンコ)に捕えられる。一方、ロンドンでは首相が富豪のジェイク・ヴォルタ(ジェイク・レイシー)と提携、英国のシステムを一元管理しようとするが...。
イングリッシュの失敗の数々がいちいち面白い。
①.レストランでのボーイに化けた大迷惑の数々。
②.睡眠薬と間違えて精力剤を飲み、ハイテンションで踊りまくる。
③.ゴーグルを着用してのシュミレーションの筈が、間違って実際にロンドン市内に出てしまう。
④.パワースーツにフロッピーを装着すると、とんでもない威力を発揮する。
⑤.教習車を盗んでの暴走シーン。(運転する教習者のおばちゃんの表情がすごい)
⑥.ラスト、首相が ‘揺るぎない品格...’ と言った途端、イングリッシュのパンツがずり落ちる。
(後部のカメラからだが、ここは見たくないモノを見てしまった/笑)

エマ・トンプソン、オルガ・キュリレンコの出演は、英国のコメディ俳優として第一人者に上りつめたローワン・アトキンソンへの敬意の表れかと思う。
また、冒頭に、引退したベテラン・エージェントの役として、エドワード・フォックス(AGT9)、チャールズ・ダンス(AGT7)、マイケル・ガンボン(AGT5)のベテラン俳優3人が登場、出演シーンはほんの僅かだが、これもアトキンソンへの名刺代わり(祝福の意をこめて)だろう。
踊りのシーンでは、よく聴いているメロディが一瞬流れた。

オランダのロックバンド、ザ・ショッキング・ブルーの「ヴィーナス」である。
この曲は懐かしさのあまり、時々、YOU/TUBEで聴いている。
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投稿を表示ミスタービーン懐かしいですね、観たことはないのですが話題になっていたのを覚えています。
日本でいうと志村けんさんみたいな感じでしょうか?
一本見てみたいと思うのですが、最初は何から見たら面白いでしょうか?
話題になっていた当時ミスタービーン演じている本人はリアクションばかり求められて嫌気がさして、もう映画は撮らない!普通に戻るみたいなことを言っていたとか聞いたことがあります。