プルガサリ 伝説の大怪獣
プルガサリ 伝説の大怪獣
1985年 北朝鮮 劇場公開:1998年7月4日
スタッフ 監督:チョン・ゴンジョ 脚本:キム・セリュン 撮影:チョ・センミン、パク・スンホ
音楽:ソ・ジョンゴン 美術:リ・ドイク 編集:キム・リョンスン 特殊効果は:キム
・ドクホ 特撮美術:パク・チョンギル 協力特撮監督:中野昭慶
キャスト チャン・ソニ、ハム・ギソプ、リ・ジョングク、リ・イングォン、ユ・ギョンエ、
ロ・ヘチョル、リ・リョンウン、パク・ヨンハク、薩摩剣八郎 ほか
高麗朝末期。朝廷の圧制下、腕のいい老鍛冶屋のタクセ(リ・イングォン)は、役人から農民から没収した鉄の農具や釜で武器をつくることを命じられるが拒否して投獄される。死に瀕した彼は、娘のアミ(チャン・ソニ)から差し入れられた米粒を精魂こめて練り、鉄を食うという伝説の大怪獣プルガサリの人形をつくって息絶える。アミが誤って針で指を刺し、血が人形にしたたった瞬間、怪獣プルガサリが誕生した。鉄なら武器でもなんでも食い漁って成長するプルガサリは、人民の強い味方となった。

「プルガサリ」とは「不可殺」の意であり、想像上の殺すことができない怪物を意味する。朝鮮民話に題材が取られており、時代劇の中に怪獣が登場する特撮映画作品で、屋根瓦や内部の柱や梁まで忠実に再現された王城のミニチュアとその破壊の迫力、社会主義国ならではのエキストラ大量動員による革命軍対政府軍の激突など、現実感がある戦闘シーンなどが特徴として挙げられる。製作に際しては日本から中野昭慶やスーツアクターの薩摩剣八郎など、「ゴジラシリーズ」を手がけた東宝特撮チームが招かれ、特殊技術を担当した。1985年に完成して世界公開を目指したが、「政治的な理由」で公開が中止された。実際にこの映画を監督した申相玉(シン・サンオク)が本作の制作を最後に北朝鮮からアメリカ合衆国へ亡命したことも一因と推測されている。エピソードとして日本スタッフは「予算が使い放題だった」と話していたが、一方で、招聘は強制的なものであったといい、撮影中はパスポートを没収されていた。また、映画好きで知られる金正日自らがプロデュースした作品であるとされる。製作当時は金日成も存命であり、金正日は「最高権力者」ではなく当時公衆にはほとんど姿を見せなかったとのことである。北朝鮮製作の怪獣映画としてファンにその名を知られながらも長らく未公開だった幻の1作。意外だけど普通に面白いよ。