なんだこれは!「タローマン」

大長編 タローマン 万博大爆発
がタイトルであります。
冒頭、スタンダードサイズでNHK「タローマン」という特撮ドラマが始まります。フェイクかと思いきや、そうではなくNHKで実際に放送された番組で10本のミニドラマとして放送されていたのでした。この映画をみる直前にこの「タローマン」の再放送があったらしいのです。
それら予備知識もなく見たのでサッパリわかりません。
岡本太郎のエッセイにある言葉を引用してできたヒーローと怪獣ならぶ奇獣との奇々怪々の闘いを描く特撮ドラマ風になっています。1970年万博のシンボル、太陽の塔がお祭り広場から飛び出しあばれだす昭和100年という設定です。
科特隊のようなモンスターアタックチームとアイアンキングの石橋正次のようなヒーローが飛び交い、ギャグの応戦です。タローマンは太陽の塔は別の存在で、岡本太郎が太陽の塔に描いた過去・現在・未来の絵画でデザインされており、太陽の塔は別の奇獣として登場します。
タローマンは正義の味方のようで、そうでない。いっしょに奇獣たちと街を破壊していきます。既成概念をぶっとばし続けます。
でもさっぱりわからず約2時間ほど過ごしました。
どうしてこんな映画を見たかというと、出演者が知っている人なのでした。そこから見に来てくれと。彼らは着ぐるみを着ていて、誰がどのキャラクターをしているのかさっぱりわかりません。彼らはマイム役者なのでセリフはないんですね。
劇場はかなり満員にちかい盛況ぶり。みたこどもが満足げにおもしろかったと喜んでいました。わたしは半分くらいしか理解できず、劇場を後にしました。
70年万博の威力
大阪万国博覧会は昭和45年でその55年後の世界ですが、この万博には何度も行きました。万博というイベントが斬新だったのと、日本人に多くの外国人が訪れ、駅の改札は自動改札やムービングウオークという平行に進むエスカレーターなど文明の力が多数現れました。このシンボルが太陽の塔ですが、岡本太郎は人類に調和も進歩もいらないというアンチテーゼをうちたてました。パビリオンだけでなく各界の芸術家の発表の場でもありました。ここで芸術を爆発させていたのでした!
こんどの万博は単なる集客イベントで、70年のインパクトに到底及びません。
日本は博覧会病に
万博で大いに盛り上がった世代ですが、ことあるごとに博覧会が実施されました。「沖縄海洋博」、「ポートピア博」、「科学万博」、「花博」(横浜でも数年後に開催)に「瀬戸大橋博」など。ことあるごとに博覧会が開催されたため、博覧会というのがおもろしくないものと認識してされたのでした。これらの開催はいづれも好景気の時代のものでした。日本は博覧会をやればいいという単純思考ゆえに博覧会シラケ世代になっていたのです。
でもこの70年万博は記憶に残っています。岡本太郎もずっと存在し続けているようで。
いまの万博はでかいリングを部分的に残すことで進んでいるようですが、そんな部分入れ歯みたいものを残して何になるのでしょうか?
偉大なる太陽の塔
スクリーンに出てきた「太陽の塔」はお祭り広場というメイン会場であって、この太陽の塔をエスカレーターでのぼって、トラスのようなろころから出て各パビリオンへ行く導線でした。いまも万博記念公園に太陽の塔はありますが、その面影は微塵もありません。万博は今後の未来の発展、希望を唱えたイベントでしたが、実はあの頃の日本が頂点だったのでした。あの時日本人はみんなハッピーだったのです。いまや落ち目になった日本を再確認させる今日。55年後はこんなはずじゃなかったことを示す映画でした。常識にとらわれ、ずいぶんつまらない国なったと、もうヒーローもいないや!
